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第32話 (仮称)チームみたらし団子③

本編は一旦ここまでで、次回から若月編

冒険者組合でチーム登録と組合からの銅鉱山調査報告回です。

 八木のファインプレーで、無理な説明をせずに、丈二の置かれた立場を3人に伝えることが出来た。お陰でチームの結束は、そこそこ固まった…と思う。



 自分が迷い人だとカミングアウトをした翌日。

 彼ら4人は、冒険者組合のリリアの元を訪れて、ギルドの設立の報告をする。


 ギルド名は「(仮称)チームみたらし団子」、ギルドマスターはカットレイである。彼女からの条件は、ギルマスと呼ばない。取り合えず団長か指揮官かそんな呼び名でいいだろう。



 先日の宴に参加していたリリアもギルド登録を彼らがすることを嬉しく思う。

 また、組合長のシトリアルも銅鉱山を生き延びた面々で組むことに期待を寄せているようで、リリアが別室を用意し、組合長も顔を出してくれた。


「先日はありがとう。改めてお礼を言わせてもらう。それにしても、君達が組んでギルドを起こすと聞いて私は嬉しく思うよ。」


「まぁ流れ的そうなった感じやったなぁ。命預けれる奴なんて冒険者なりたてのワシらには、そーはおらん。それはそれとして、個人的にはあのエセ貴族の報復とか視野に入れとるんやが、そっちはどーなったんや?」


 カットレイが、物応じせず組合長に銅鉱山でのその後を聞く。


「その話もそうだが、まずは、君たちのギルドのランクについて先に話しておく。くしくも、結果的に中級ダンジョンの階層ボスを倒した実績を持つ、カットレイ君と丈二君が同じギルドとなるため、ギルド設立後のランクはDとする予定だ。」


「それはありがたい話なんでしょうけど、まだ実質的な冒険者活動を1日しかしていないメンバーで作ったギルドがDランクとなって大丈夫なのですか?銅鉱山の事件は、他言無用なんですよね?」

 もし周りから疎まれても困るもんなと丈二が確認をする。


「その点は…たまたま組合依頼を達成したとか、レア希少種の討伐をしたとかで誤魔化してくれると助かる。他の冒険者は他人の依頼達成状況なんて知り得ないので大丈夫!大丈夫!」

 わぁ…考えなしだったのか。まぁその場合は交渉術様に頼ろう…うん。


「大丈夫ですよ!このことで文句を言ってきたら、私がそいつらの依頼を工夫して言えないようにしますから!にこっ」

 依頼を工夫して…どうするのだろう。笑顔のリリアが何か怖い。



「それはそれとして…。」


 組合長が銅鉱山の調査について話しだす。

「まだ調査は昨日しかしていないため、分かったことは少ないが報告しておく。まず、君たちの提供してくれた黒蜘蛛の残骸とその中にあったコアの欠片から、君の推測の通り気配偽装がなされていた可能性が高い。それと…。」


 組合長が傍付きのエルフに目を配ると、エルフが金属製の丸いものを取り出し言う。


「これは、従魔の足かせという、魔物をティムするスキルを入れ込んだ魔道具かと思われます。あの強さの魔物を使役できるとなると、非常に高価で珍しい物ですが。」


「これが魔物の体内に仕込まれていた。普通は首や足の関節に装備させるものなんだが…。間違いなく人為的に仕込まれている。と言うことだけはわかった。このことは、もう少し調べて上へ情報を上げる。その際には、君の立てたキャスリングの案も併せて、仮説として報告する予定だ。」



「なぁ聞いていて思った…んやが。体内にってことは、一度、黒蜘蛛を倒してそれを仕込んだ後に、生き返らせて送り込んできた。とか、有りえな…ありえへんか?」


 狼人族のナッツがギリギリな関西なまりを入れて言う。もう、そのこだわり捨てて、標準語でもいい気もするが、これはこれで、結構鋭い発言なのかもしれない。その証拠に組合長の顔が少し歪んでいる。


「なかなか豊かな想像力だ…と言いたいところだが、実は我々もその路線を視野に入れている。ただ、その場合は…いや。今の君たちには関わりのないことだから気にしないでくれ。」



 気になると言えば気になる情報だな。

 戦いがなくて暇だと、朝から脳内で五月蠅い二人組にこのことを委託しておく。


『了。腕が鳴るー。』っす☆』

 よしよし。これで少しは静かになるであろう。



「併せて、君達が懸念している、ギルドアルターキングスのジアス・ピオンなのだが、この国の西にある小さな領土…フリット領の領主の長男のようだ。まぁ…使えない息子で勘当されて冒険者になったようで、最初に入ったギルドで問題を繰り返し追い出されてこの街に来たみたいだな。」


 それを聞いたカットレイが、凄く嫌そうな顔で組合長に質問をする。

「想像できるから嫌やわぁ…。参考までにチームを預かる身として、どんな問題やったんか教えてくれたら嬉しいわぁ。」


 どうやら、あの「ゴミ」は最初に所属したギルドで、俄か知識をひけらかしボス戦で他のギルドと共闘するも活躍ができず、面子を気にしてパーティメンバーを陰で恐喝。自分が少しダメージを食らいヒールを強要したのが戦士で周りのギルドに笑われるとまた恐喝。


 領主の息子ということもあり、ギルドメンバーが強く言えない状況であったが、ギルマスが組合長に相談をしたことにより、そのことが領主の耳に入りギルドだけでなく、領地も追い出されたらしい…。



「なぁ組合長はん。そこまで分かったんやったら、もうこの街も追い出そうや…。聞いてる限り百害あって一利なしやで?」

 カットレイの言うことは最もだと丈二も思う。


 頭の中で八木が『公開処刑』って言っているんだが、銅鉱山の戦いを見ていて、よっぽど嫌になったんだろうな…。


「それはそうなんだが、この街の領主の息子ラスルト様と昔からの馴染みらしくなかなか難しい。ラスルト様は悪い人じゃないがね。そこは…上手く取り入っているのだろう。」


「これだから貴族っちゅーやつは御しがたいでぇ!ってとこかいな?しかし、今回の一件で、あいつはその場にいた奴らを巻き込み生死の危険に晒した。この状況は変えられへんよなぁ。処罰はあるんやろ?」


「そうなる…と言いたいところだが、あれの言い分が英雄気取りでな。君たちが生きているのは彼のお陰らしいぞ?」



『『「「「「はぁ?」」」」』』


 チーム全員で突っ込んだ。脳内で堕女神すらも突っ込みを入れている。



「そうなるだろ?もう…ここまで来ると、狂っているとしか思えないのだが、そうなると色々と可能性が広がってしまい、時間がかかりそうだ。」


「操られていた。幻覚を見ていた。で、それを完全に信じとる。そんなとこかいな?」


「そんなところだろうな。何にせよ、彼を解放するのは先の話だ。そこは安心してくれればいい。」

 結構、深刻そうな顔をしている組合長に「了解」と伝えてると、彼は部屋を去っていった。

 その後、ギルド登録をリリアと進め、登録は無事終わる。



 ギルド登録の特権として一番のメリットは、「5人以上の面子が集まれば組合の所有する専用のアジトと格安で提供して貰える」ことらしい。これには全員テンションが上がった。


 また、生産者ギルドと合わせたギルドは「総合系ギルド」と呼ばれるそうで、大手ギルドでは良くあることらしく、その場合はお互いの担当者に報告をすれば、事務的なことを進めて貰えるとのこと。


 黒蜘蛛の素材処分を任された丈二が、夕方にリリアへ相談に来ることを約束し、これで、取りあえずの組合での用事が終了である。


 その後、チーム結成を終えた高揚感から、虎と狼のレベル上げを兼ねた依頼をリリアに斡旋して貰うことになり、「(仮称)チームみたらし団子」の面々は、ワクワクした顔を抑えきれない笑みを浮かべて、その日の身銭を稼ぐために門の外へ向かうのであった。



 ※ ※ ※ ※


 因みに、依頼遂行中に確認した八木君ご所望の仲間の情報はこんな感じである。


【竜人族の女性カットレイ・チョコガケ】

 共闘でそれなりに情報交換をしているが、職業は上位職の指揮官で、レベルは8まであがっている。体力値、力強さ、器用さ、賢さが高い。魔法の適正は火と光だが、まだ魔法を覚えていない。固有スキルは、地火範囲攻撃のアースフレイム


【虎人族の男性ミッツ・マグレディ】

 職業は重戦士でレベルは昨日の戦いでは上がらなかったらしくレベル1のまま。

 体力値、力強さが高い。魔法適正は土で覚えた魔法はまだない。

 固有スキルは、相手を慄き後ろに下がらせるノックバック


【狼人族の男性ナッツ・ウルブス】

 職業は槍使いで、同じくレベル1。

 器用さと素早さが高い。魔法適正は風でこちらも覚えた魔法はまだない。

 固有スキルは、夜でも視界を確保する夜目



 全員が同じ、ロームス南東部の獣人の村育ちの15歳で、他の同郷の2人と一緒に、先日フィルムの街まで出てきたそうだ。他の2人は生産職に適性があったらしく、街の入り口で別れたようで、近々、虎のミッツがその二人にチーム参加を要請しに行ってくれるらしい。

基本的に、各能力値は得意なことへの参考値であるため、数値化は各主人公と眷属で成長度合の見える化として表し、その他は今回示した程度でお話を進めていく予定です。

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