第30話 (仮称)チームみたらし団子①
本編に一度戻ります。2章プロローグの翌日からのお話です。
コメントありがとうございました。愛読していただけて嬉しいです(≧▽≦)
銅鉱山での一件の翌日、丈二とサニー、そしてカットレイは遅い朝食を迎える。
寝過ごしたとかではなく、どうにも身体が痛くて起き上がれなかったのである。
おまけに、昨日の祝勝会での酒が残り頭も痛い。完全なバッドモーニングで目が覚めた。
サニー曰く。
《ご主人様、、これは恐らくレベルアップによるレベル酔いと呼ばれるものの酷い症状かと思われます。寝て起きると症状が出る特徴とも一致しています。私達は、昨日だけかなりレベルアップしてしまいましたし、、うっぷ…。》
た…確かに、元の世界の筋肉痛や成長痛の酷い症状と言われればそうなのかもしれない。
レベルアップは、戦闘等でマナを取り込み、それが一定量溜まれば一気に開花するこちらのシステム。それがオーバーフローを繰り返し7つも上がったんだ。
「どれだけ、求めてもいないパワーレベリングだったんだよ…。あのゴミ貴族め。」
原因となった、ジアス・ピオンとか云う貴族様を恨めしく思いながら、恐らくは自分のせいであろう二日酔いで激痛に耐えながらトイレに立つ。
それの繰り返しをし、昼を過ぎやっと、食事を取るだけの気力が沸く。
1階の酒場に降り、宿の従者アロにカットレイ達を呼びに行って貰うと、カットレイだけがこちらも絶賛地獄絵巻の顔をして降りてきた。
どうやら、レベルアップを果たした彼女だけは地獄の真っただ中で、他の虎・狼の二人は、朝早くから、そそくさと宿を出発して行ったらしい。
「何や…にいちゃんもサニーはんも、えらい窶れとるなぁ…。ワシと同じ症状かいな。」
やっとの力でカットレイがぼそぼそっと聞いてくる。
「おはよ。サニーさん情報では、レベル酔いと呼ばれるレベルアップ特有の症状の酷いやつバージョンみたいだぞ…。」
「ほんまか…。一気に上がったのはえぇけど、何か得したのか損したのか分からんわぁ。」
「御最も…。」
そんな二人を見かねてか、ヒビキがりんごのお茶を入れてくれる。
付け合わせのキッシュもりんごの入ったもので、アップルパイをもう少しスッキリした口当たりにした今の2人と1匹には有難い組み合わせであった。
※ ※ ※ ※
「なぁ夜のこと覚えてるかぁ?」
カットレイが呟く。きっとチームを組むってことだと思う。
「ああ。どうする?今日組合行くか?」
「もう少ししたら行けそうではあるんやけど、ナッツとミッツがおらんねん。」
「ナッツとミッツ?」
「はぁ?虎と狼やんけぇ!そんなん知らんと昨日一緒にあれだけ飲んどったんかぁ?訳わからんわぁ。」
いやいや。本当に知らなかったわ。
正直馬車での帰路では、こいつらの名前何だっけ?って思ってたけど、そこから組合行ったり店を探したり、堕女神と親友がイチャついてるのを見せられるしで、どうでも良くなっていた。
あ…まだ、そのことサニーさんに話していないなぁ。どうしようかな~サニーさんも辛そうだしなぁ…と、考えているとカットレイが再び聞いてくる。
「チーム名は追々でいいとして、にいちゃんはチーム組んだらやりたい方針とか持っとるんか?」
「ん~。昨日の夜も少し話したと思うが、俺はどうやら生産系もそこそこ出来るっぽいんだよな。」
丈二は、祝賀会中に少し別の場所でカットレイと話をし、彼女だけには自分の権能をある程度話している。勿論、迷い人…異世界人であることや女神のことは伏せてだが。
「そやったなぁ。それは聞いたわぁ。」
「それでなのだが、俺は生産者組合にも登録をしようと思っている。」
「ふむ。」
「で、どうせあっちでも、ギルドを入れとか作れとか、そんな話になるだろうから、お前らとの冒険者ギルドと合わせて、ひとつのギルドを作ってしまえば楽でいいと思っている。」
実はこれ、八木と堕女神からの提案でもある。
朝方交信があり、動けずベットで固まっているあの状況をを堕女神に、いじられるだけいじられた後に、ついでで提案された。
どうやら、こちらの世界では、生産者が冒険者になることは、そんなに珍しいことでは無いらしく、例えばコールマンのような「スミス」は鈍器の扱いに長けていることから、戦士系に匹敵する能力値を持っているらしい。
余談ではあるが、料理人は短刀や小刀で魔物を切り刻むとかなんとか…。
「ん~。そりゃ、ええ考えかもしれへんなぁ。ワシ達と一緒にこの街に来た奴で、生産者になるからって別れた奴らがおるんやが、そいつらを誘ってみてもええのかもしれんなぁ。」
カットレイは少し考え込むも、丈二の考えに賛同してくれる。
「逆にお前は何か考えているのか?」
自分ばかりの意見を押し付けてもなと思い彼女の意見を聞いてみる。
「ワシは昨日言ったように、「ギルド」って名前じゃなく、「チーム」って入れてくれれば、それでええんやけど。そうやなぁ…仲間になったら、生産職も必ず参加して貰う『狩りの日』ってのを作ったらどないやろか?」
「狩りの日?」
「せや。冒険者は当然依頼をこなしたい。生産職かて、自分の作りたいものの素材が欲しい。その為にチームで行うクエストや。毎週どこかで会合をして行き先を決める。そんなとこやろな。」
「あぁ。それは良いな!俺は何を生産するかまだ決めていないが、その提案はすごくありがたい。」
丈二には、願ったりかなったりの提案で断る理由もない。
「なら、そーしよか。ナッツもミッツも文句ありゃせんやろ。てか、言わせへんけどなっ!」
身体は痛くて動きたくない…でも、冒険はしたい。
そんな思いが強い2人は、新しい門出について冗舌となっており、結局酒場で虎と狼コンビが返ってくるまで、酒を飲みながら意見の交換に花を咲かせしまい、冒険者組合に行くのは翌日となってしまった。
因みに、チーム名は丈二が教えた出身地の甘味「みたらし団子」に興味を持ったカットレイが、「どうせお試しの仮称や!それでええやろ!」と、ギルド「(仮称)チームみたらし団子」に決まった…らしい。
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