第28話 報告と受付嬢①
少し投稿時間が遅れました。
すみません><
フィルムの街に着くと早々、冒険者組合に兵士と共に赴く。
「兵士のおっちゃん。ワシ等先に依頼完遂の報告をしてきてええか?」
「ああ。俺たちもこの頭のおかしいのを先に引き渡したい。」
貴族出身の冒険者ギルドアルなんとかキングスのジアス・ピオン様というクズ様は、移動中の馬車で目を覚ましたらしい。馬車が別々であったから詳しくはわからないが、事態の説明を兵士がすると戦いの功績を誇らしげに主張していたらしい。
ただ、兵士は赤と黒蜘蛛の存在を敢えて言わずにいたようで、クズ様の誇った功績は全て「蝙蝠」を討ち取った武勇伝であったそうだ。語るに落ちたとは正にこれである。
冒険者組合のカウンターに行きリリアさんをお願いする。
カットレイ達には担当がいないらしいので、リリアさんに一緒でお願いをしたら快諾してくれた。
「はい。確かに依頼達成です。初依頼クリアおめでとうございます。カットレイ様達の依頼は、銅鉱石の納品×3、コモンバットの討伐×1ですので、銀貨1枚と銅貨4枚になります。」
「おおきになぁ。」
「丈二さ…んは、コモンボアの討伐と銅鉱石の納品にコモンバットの討伐ですので、銅貨9枚になります。皆さんお疲れさまでした。」
「ありがとう。それでなのですが、同行した兵士の方からギルドに報告があるかと思いますので、先に信頼できるリリアさんに相談したいことがあります。」
「し…信頼!ひゃ。ひゃい!な、何でも仰ってください。私はあなたの為なら何でも…いえ、冒険者の皆さんの味方ですから。」
丈二は交渉術も使いリリアに細かく顛末を伝える。
この世界でわからないことも多いのでしどろもどろになりかける場面もあったが、そこはカットレイと虎・狼が突っ込みを入れながらフォローしてくれた。
「確かに『ブラックオッドランチュラ』は西ベリーア帝国にある中級ダンジョン低層の階層ボスですね…。ワインレッドポズンスパイダーを召喚する特徴も一致しています…。それがあんな場所に…。すみま…せん。」
リリアさんは口を噤み震えている。無理もない。冒険者組合の受付として冒険初心者に斡旋した依頼がこんな事態になっている。
偶然にも上級職を持つ新人が2人おり、その眷属がそこそこ強い狼であったからこそ、辛うじて奇跡的に大事には至らなかったが、本来なら初心者に相手が務まるシロモノではない。
「リリアちゃんは何も責任感じることあらへんで?」
「そうだね。あんなの誰にも予想がつかない。初心者のわくわく鉱山ですよ?俺もカットレイもノリノリで出かけた結果だし、気にする必要なんかないですよ。」
「みなさ…ん。わかりました。私もやるべきことをします!多分この後は兵士の方々と組合長に報告の流れなんでしたよね?私もご一緒しフォローします。では早速取り次いできますね。」
目に力を取り戻しリリアが組合内部に走っていく。
◇
「ところでなんだが…にいちゃんもレベルごっつ上がってるんやないか?」
「みたいだな。必死すぎて気が付かなかったが赤蜘蛛倒した辺りで幾つか上がってたんだろうな。」
「せやなぁ…それもあって何とか倒せたんやろし。」
「何か初めてのレベルアップが実感がないってのが…何だかなぁ…。」
「まったくやで。何や色々スキルが追加されたみたいやけど、確認は乾杯してからでもうええわぁ。」
※ ※ ※ ※
暫くして組合の奥へ続くドアが開き、リリアが出てくる。
「お待たせしました。組合長がお待ちです。申し訳ないですが、実際に戦いに参加した2人はついてきて頂き、残りの方はお待ちください。あ。コモンウルフさんも来て大丈夫です。」
リリアに案内され組合長の部屋に入る。
兵士たちもそこに案内されていたらしく、目が合うと手を挙げ挨拶をくれる。
「今回はこちらの斡旋した依頼で迷惑を掛けた。すまなかった。生きていてホッとしているよ。」
初老ぐらいだろうか。紳士的な男が手を差し出す。
「私はフィルム冒険者組合の組合長をしている、シトリアル・マッケンシーだ。」
「今日からお世話になっとる冒険者のカットレイや。こっちのにいちゃんは丈二。たまたま銅鉱山でまきこまれ生死を共にした戦友や。」
「よろしくお願いします。丈二です。すみませんがこちらの従属の狼も同席させて頂きます。」
「よろしく。従属の同席は問題ないが席はないから丈二君の後ろでな。」
挨拶が終わったところで、早速兵士から報告がされる。
まず、当時、鉱山内に居たのは、4組7名と1匹で、生産者の2人組、どこぞの偉いゴミ、カットレイ達3人。そして、丈二とサニーであること。
突如強い魔物が発生した為、助けてほしいと生産者達が詰所に押しかけ、助けるために現地に着いたら、戦闘は終わっていたことが告げられた。
次に、現地に着いてからの現況が報告される。
その後は、実際の内部状況について、組合長から丈二とカットレイに質問があり顛末を伝える。
「うーん…。こんなことは初めてだな。この国にいない魔物が急に出現することが信じられない。そうだな…戦っていて何か気になったことがなかったかね?」
組合長は、信じられないと眉を顰める。
「そうですね。帰りの馬車でこいつとも起きたことの確認と推理をしたのですが、気になることが2つありました。まず、先に何故中級ダンジョンボスが初心者鉱山にいたのかを推理した内容と併せて気になることの1つ目を報告します。」
丈二とカットレイは、あの魔物が異国からキャスリングで送られてきたのではないかという推理。
そして、気になったこととして、急に強者の気配に変わったことを報告し、それは、気配を感知できる丈二とサニーを欺ける魔法がキャスリング前に付与されていたのではないかと推理したことを話す。
「次にもう1つの気になることですが。あのゴミ野郎の行動がいちいち魔物に都合が良い…言い換えれば、こちらが死にかけた原因になっていることです。これは偶然かも知れません。小物の取る言動極まりないですし。」
「せやな。ただ、さっきも話していたんやが、この推理やと、先ずあんな鉱山にあんな魔物を送る目的がわからへん。次に、あのゴミが絡んどったとしても命がけやぁ。糞尿も垂れ流しとったし、あれにとっても何やメリットがあるとも思えへんしなぁ。」
カットレイが補足する。
「これらはまぁ…憶測でしかありません。後のことは組合に任せますが、ただ…。ただ、あの強さの気配を急に把握させられた恐怖だけは忘れられません。」
「ふむ…。君の推理は大胆でもあり的を得ているとは思うが、いささか憶測の域を脱せない気もするな。まぁだから推理なのだろうが…良くわかった。これは組合本部にも報告するとともに我らフィルムの組合支部も調査を進めるため、他言無用で頼めるかね?」
「こちらとしても、今日冒険者になったばかりだ。変に目立って居場所を失いたくはないですし。」
「ワシ等もや。折角冒険を楽しめるんやでぇ?ただ、タダで黙っているのも癪に障るわなぁ。」
カットレイがリリアの方を見て片目をつぶる。
あぁそうか。
フォローするって気合い入れてたリリアがずっと棒立ちだったもんな。
「え…。あっ。そ、そうです組合長。この方々は奇跡の生還をして鉱山を守ったのですよ。もしあの蜘蛛が召喚を繰り返してあそこを根城にしていたら大問題でした。ここは特別報酬を支払ってはいかがでしょうか。組合が依頼した仕事として処理すれば、ひとつの依頼達成で済みますし。」
リリアはそれを察したのか、2人を納得させる材料を組合長に提案する。
「そう…だな。多くの額は出せないがそうしよう。後、当然だが素材は君たちのものだ。必要なもの以外の素材を組合で売ってくれるのなら、今回の処理費はこちらで持とう。これでどうだろう?」
組合長もカットレイの芝居を見抜いていたのだろう。笑顔をリリアに送る。
「毎度~。それでかまへんでぇ~。」
「お金がなかったので助かります…。」
このことについては、組合に任せることで落ち着き、追加報酬をGET。
面倒なこともなさそうだし、願ったり叶ったりの結果となったし。丈二達もリリアもにこにこで組合長の部屋を後にするのであった。
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