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第2話 森林と遭難①

2話目から少し短めに区切っています。


また、作者が実際に遭難した森林でのことを教訓として書いております。

本当に森で迷子になると方向感覚なくなって怖かったりするのです…。

 

 辛い遅い…辛い暗い終わらない。


 何度目の発狂だろうか。

 その度に白銀の光が横をすり抜け、恐怖と不安を払い落し、落ち着きを取り戻してくれる。


 そして進める。

 だから考える。考察する。

 自分を落ち着かせてくれる光に感謝を込める。


 …そして、また恐怖と不安が心を壊しかける。


 数えきれない繰り返しを体験し、恐怖と不安を覚えなくなった頃…。

 遂にたどり着く―——。



 ※ ※ ※ ※


「つ…着いたんだよな?」


「…四方八方樹木に囲まれてる?森の中か~。あの展開なら次はもう少し広い場所…神殿とかだろ~。今度は森の中で迷子かよ。」


 もう少しで狂ってしまいそうな永遠と思える時間感覚の中、やっとの思いで着いた光の先が深い森の中。ネガティブで安易な想像には飽きており、実は、生きていたり生き返ったりのポジティブ展開を何百回と妄想していた。


 それだけに、着けば女神が出てきて、お決まりの転生ひゃっは~なイベントを想像し、俺TUEEEを楽しみにするまでになっていた丈二は苦笑いをする。


「女神の胸元をチラ見するのを楽しみにと割り切ってただけに、いきなり森は予想していなかった。」


(さて、どうしたもんかねぇ…。)


 樹海の中、深緑から零れる木漏れ日を見上げ夜ではないことを確認し、大きく深呼吸をする。深呼吸で伸びた体に、穏やかな風が落ち落ち着けと囁くように優しく通り過ぎ、頭をクリアにさせる。


 まずは軽く体を動かす。

 手はある。足もある。体は…うん軽い。関節も回る。視力もいい。心臓の鼓動は波打っている。


「この鼓動…どうやら此処では生きている存在のようだな。」


 心臓の鼓動に喜ぶことってあるんだなと、予想とは違う混乱から生きている事実を噛みしめ、己のひとつひとつのパーツを確認しながら、健康上の問題がないことを把握する。


 ―—―ふぅ。


「夢か幻か、よくわからん!が、切り替えよう。今までの暗闇よりは全然マシだ。」


 改めて周囲を見渡し辺りを探り、大きな木の根元とその付近のシダ植物のような草葉をあさる。


「湿気があるな。あと土の臭い。ん、小さな昆虫もいる。」


「周りの植物も、熱帯雨林っぽいものではないな。本などでの知識でしかないから知らんけど。でも、どちらかというと日本の樹海に近いのだろうか。」


「ここが熱帯雨林なら未知すぎて、何も出来る気がしないから…まぁ、ましな方か。ここは、日本の樹海で遭難した。と考えよう。」



 丈二は幼いころから祖父に、災時の心構えみたいなことを教育され育てられている。うる覚えではあるが、遭難時の対応も教わっており、それを思い出しながら確認する。


 …確か。


 山や森で遭難したときに食材の確保とかとは別に生死を分ける行動は3つあると言われている。


 ひとつめ 不安な気持ちにならないよう心を落ち着かせること。


 これは、暗黒歩け歩け大会が非常識すぎて、確かに、そこからの森展開はびっくりはしたものの、知っている範囲の森の形態であることや、何より心臓の鼓動を確認したことで冷静になっており、普段より落ち着いているまでもある。


 ふたつめは、体温の確保である。


(そういえば服は…あぁ着ているのか?)

「やっぱ混乱はしてるのか?新聞配達の時に身に着けていた服や軍手はそのままだな。今気が付いた。気候は熱くもなく寒さも差ほど。」


 ふたつめも、夜の気温低下が心配ではあるが、どうにもならない程の体温低下で死ぬことはなさそうだ。


 最後は、無暗に動かず助けを待つなんだが…これは、この異常な状況で期待できない。

 

なので、

「この辺を拠点と考えて、戻れる範囲で動いてみよう。『時が物事を変えると人はいうけど、実際は自分で変えなくちゃいけない。』よね。」


 と近代芸術家の言葉を借り、丈二は良くわからないサバイバルを受け入れる。



 と同時に「しかし。何だろう…。」と、釈然としない気持ちで首を傾げる。


 ※ ※ ※ ※


「本人は気が付いていないようだけど、やっぱり何か感じてるっすね。この人。」

 彼女は、丈二を見ながら笑みを浮かべる。


「面白いっすね~。果たして、あたしと会えるっすかねぇ~。」




[時が物事を変えると人はいうけど、実際は自分で変えなくちゃいけない:アンディ・ウォーホル]


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