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第17話 装備を整えてもらおう③

本日1本目です。

 コールマンズマテリアルスミスに入る。


「おう。いらっしゃい。好きに見てくれていいぜ。」

 顎鬚が立派なドワーフが金属を加工している。真剣なのであろう険しい顔に迫力がある。


「あ。あの、くるるさんからのご紹介で来ました。買取をお願いしたいのですけど出来ますか?」


 加工している手をゆっくり止め、ドワーフがぎろっとこちらを見る。

「くるる?神殿でか?」


「はい。御神託を貰いに行ったときに、たまたまご紹介をいただきまして。」


「なるほどなぁ~。ってことは今日はうちの宿に泊まってくれてるのか?ん?」

 ドワーフは後ろのサニーに気が付く。


「すげぇなコモンウルフの亜種かい?」


 この男もサニーさんの毛皮目当てなのかと少しムッとする。

「はい。大事な大事なパートナーです。パートナーとも宿でお世話になっています。」


「ああ、わりいわりい。取って食ったりしねぇよ。安心しな。で、買取は何だ?」


 バックから黒銀石を取り出しドワーフに渡す。

「黒銀石なんですが、ここに向かう途中で手に入れまして。入場料やら神託料やらでお金が心もとなく、いい値段で買い取ってくれるならと。ははは」


「どれ。」

 手に取った石を鑑定する。


「お~確かに黒銀石だなぁ。結構珍しいんだぜこれ。大きさと純度はっと…。まずまずだな。」

 てきぱきと買い取り作業を進めるドワーフに専門家なんだなぁと見ていて感心する。


「そうだなぁ。大きさ的には銀貨20枚ってとこなんだが、質がいいんだよなぁ。どうだだい?銀貨22枚で買い取らせてくれないか?」


 おー。辞典で調べた価格が銀貨20枚~だったもんな。いいんじゃないか?

 買取価格も適正だと思うし、職人気質なこのドワーフには信頼がおけると思う。


「助かります。自分は丈二といいます。今後も、素材の買い取りお願いしていいですか?」

 宿の隣で信頼できそうなマテリアルスミスなので、是非お得意様になっておきたい。商売は信頼大事だからね。


「かまわねぇぜ。ただうちも必要なものを買う程度のしのぎしかねぇからなぁ。買わないものは買わないし、場合によっては安く叩くぜ?」

 と握手を求められる。


「そのときはお手柔らかにということで。」

 出された手を握り返す。。


「俺は、コールマンっていうんだ。くるるの親父で宿屋のヒビキの旦那だ。ヨロシクな。」

「よろしく。コールマンさん。」


 コールマンから銀貨22枚を受け取る。


「しかし、質のいい物だなぁ。どこで手に入れたんだ?」


 あなたの娘が働いている神殿の女神がお詫びでくれましたとは流石に言えない。

「旅の途中で、たまたま手に入れまして。いいものだと聞いていましたので、もしもの時にと取っておいたのですが。すっからかんになってしまい。ははは。」


「なるほどなぁー。なら俺は運が良かったってことにしとくか。」

「それと…ひとついいか?お前の来ている服が珍しいなと見てたんだが、かなり質がいいよな?お前さんの国のものなのか?」


「そ…そうなんです。一張羅でして。暖かいんですよ。」

 もう、誤魔化してばかりだなあと頭をかく。


「まぁ珍しいと思っただけだ、悪かったな。」


「いえいえ。で、旅の途中で持っていた短剣が壊れてしまいまして、折角お金も出来ましたし身の守りも含めて買いたいなと思いまして。」

 そう。堕女神の悪意にさらされて忘れそうであったが、これもこの街に来た大事な目的である。


「いいぜ?職業は何だ?」


 あ。しまった。手にする職は決めているがまだなっていなかった。


《サニーさん。くるるさんのお父さんなので神託を聞きに行ったことは話すべきだと思うのですが、問題は職業をどう説明しましょう?あれの悪意は別として、行き成り上位職のスカウトレンジャーのことは話して良いものなんですか?》

 パスを伝いサニーに相談をする。


《最初から上位職なのは珍しいと先ほど言いましたが、居ない訳ではないので、この方なら問題なく対応してもらえると思いますよ。あと、この際マジックバックのことも話してしまいましょう。買取の時にいずれ怪しまれますし。》


《わかりました。そうしてみます。》


「実は、職を得るために神殿で御神託をいただきに行っていまして、職はまだ就いていないのですが…。」

 敢えて少し間を置く。


「上位職の御神託を頂まして…。びっくりしているところなんです。」


「ほう。上位職か。すごいもんだな。で、それになるんだろ?何だい?」


「スカウトレンジャーなんてお仕事なんですが。おススメの武器なんてありますかね?」


 ふむ~と考え込むコールマン。

「スカウトレンジャーかぁ~。またレアな職業だな。」


「スカウトレンジャーは器用なんだ。重たい武器以外大抵使いこなしてしまうんだよなぁ。だからおススメってのが紹介しにくくてな。得意な得物は何かないのか?」


「なるほど…。得意なのですか…。」

 平和な世界で生きてきて得意な得物って言われてもなぁと考える。


 あ。弱そうだけど、あれなら…。


「棒ってあります?真っすぐの。俺の国では棍と言っていましたが。」


 コールマンは棍と聞いて髭を指でなでながら苦笑いをする。

「またニッチな。あるぜ?木製と金属製どっちがいい?」


「軽いなら金属。」


「ちょっとまってな。」

 と、奥に武器を取りに行くコールマン。


「棍は流石にニッチでしたか。ははは」

 とサニーの方を見て笑う。


《職がニッチなので丁度よかったのではないですか?しかし何故剣などではなく棍なのですか?》

 とサニーが不思議がる。


《むかし、じいさんから教えてもらってまして。棍って弱そうですけど使い勝手とか結構いいんですよ。》


《なるほどそうでしたか。ご主人様器用ですし、確かにニッチな武器ですがそれもご主人様らしくていいですね。ふふふ》

 サニーが微笑む。


 そこうしていると、コールマンが棍を持って帰ってくる。

「ブルーマウント鉱石の棍でしなりがある。先端部にブラックマウント鉱石を尖らせて加工してある。打撃がメインの武器だが、先で突くこともできる。」


 棍を渡されて、棍の中央を左手で握り、片側の先を右手で添え構えてみる。


「軽く振ってもいいっすか?」

 と少し広い場所に移動する。


「壊すなよ?壊したら弁償だからな。あ、なら壊せ壊せ。ハッハハハハ」

 調子のいいことを言ってくる。


 丈二は支点の左手を起点に棍をビュッっと振り下げてみる。


「あー。重さも丁度いいかもしれない。使いやすいですね。これでいってみます。」


「毎度~。銀貨12枚だ。」

「う。結構高いんですね。でも気に入ったのでこれにします。」


「気前よく買ってくれんで、皮の鎧のあまりで作った肩と胸当てをやるよ。後籠手もな。ここらならこれで十分だろ。更新するときはまたよろしくな。」

 そういうと奥の木箱から肩と胸当て、籠手を渡される。


 コールマンにお礼を言い、それらを装備してみる。革製品なので体に馴染むため動きやすい。

「うん。いいな。他は今後おいおい考えていこう。」


「それとコールマンさん。このバックなんですけど実は…。」

 そういうと、今買った棍をバックに収納する。


「驚かされるねぇ。マジックバックか?」

「5つしか入りませんが。」


「馬鹿言え。それでも貴重なもんだぞ。てかな、こんな機能おいそれと人に見せるもんじゃねぇ。取られるぞ?」

 少し呆れた顔でコールマンに注意される。


「いや。これからの素材の買い取りで、どうしても隠し切れないなと思い今のうちに。」

「なるほどなぁ。よし分かった。秘密は守るぜ?にいちゃん今後とも御贔屓にな。」


 これで、身なりも整ったので、さっそく職業を得てみよう。

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