第15話 謝罪文(御神託)①
本日2話投稿です。
ここから暫く、若月編から丈二編にもどります。
門から真っすぐに伸びた大通りを歩く。
途中、警備兵のような身なりをした人に声をかけ、神殿の位置を聞く。
そのまま、真っすぐに進めば川と交差するそうで、その交差位置がこの街の中心であり神殿もその区画にあると教わる。
併せて、よい宿と武器屋はないかと尋ねると、宿屋と隣接した武器を取り扱ってくれる店が神殿の近くにあるとのこと。
まずは、神殿に行き、その後にその宿屋に行ってみよう。
暫く歩くと露店が増え、いい香りが漂ってきた。
「サニーさん。ちょっと何かつまみませんか?考えてみたら自分で作ったサバイバル料理しか食べてませんし、そろそろまともな料理が食べたいです。」
本当に、そろそろお腹がぐーぐぐーである。特に匂いによる刺激が駄目押しをする。
《そうですね。私も久しぶりに市井の食事を楽しみたいですし、まずはお腹を満たしましょうか。》
サニーにそう言われ周りを見渡す。
狼も美味しく食べれるものはないかなーと、肉類を探す。
「お。あの串焼き旨そうだな。サニーさんあれにしますか。買ってきますので待っていてください。」
丈二は串焼きの露店に走る。
「らっしゃい!今日はコモンボアとコモンウルフ、クルックの肉が新鮮だよ。どうだい?おひとつ」
コモンウルフって食べれるんだなと苦笑いをしながら、肉質からコモンボアが豚肉でクルックが鳥かなとそれを頼んでみる。
「コモンボアとクルックを4本づつくれ。」
「あいよ。丁度銅貨1枚ね。」
お金を渡し串焼きをもらう。コモンウルフも進められたが、従えているのがあれだと指を刺すと、あぁと言って苦笑いされた。
流石に共食いはねぇ。
サニーのところに戻り2本づつ分ける。
ご主人さまが多めにと言われたが、最初の食事は気兼ねなく一緒に楽しみたいじゃない。
そして、まずは、コモンボアを頬張る。
「うふぉ~アツアツで肉汁じゅわ~で美味い。臭みを消してる香辛料もいいな。」
次にクルックを。
「うほお~こっちも弾力があり地鶏みたいでうめぇ~。」
こちらで初のタンパク質。サバイバルで欲しくてたまらなかった調味料。特に塩が振ってあるのにホッとする。
塩分がない料理はさすがに毎日となると厳しいし、体調面にも不安を覚える。
《美味しいですね~。味付けが絶品ですです。これは辞典でお調べになって知ったのですか?》
サニーもご満悦のようだ。
「いや。最初の街だからなぁ。時間もあるし旅の醍醐味として行き当たりばったりです。美味しいお店で良かった。」
《そうですか。フフフ》
と、楽しく美味しく最初の食事をぺろりと平らげた。
※ ※ ※ ※
神殿はすぐに分かった。
教会のもっと豪華な感じ?な石造が、ここですとアピールしている。
《ご主人様。本来なら自分の基礎能力値は皆さま把握しているものです。なので適正職業の神託をお求めください。》
「わかりました。てか…誰でも知ることをワザととか…あいつめ。」
要所要所でじわっとくる嫌がらせにわなわなと来るが、考えても仕方がない。
正装した身なりの少女に声をかける。
「すみません。自分の適正職業の確認に参りました。御神託をお願いできますか。」
「ようこそいらっしゃいました。こちらへお越しくださいー。」
ドワーフなのかな?小さくて可愛いが流石神官。凛としている。
奥の聖堂に通される。
見事な女神のスタチューが正面で飛んでいる。
《オプス様の像ですね。信仰心の高い神殿なのでしょう。オプス様との繋がりを感じます。》
確かに、先ほどまで包まれていたオーラのような温かさを感じる。その傍らに短髪の天…あぁあれはいい。
「それでは、こちらの御神紙に血を一滴お願いします。」
神官の子が云う。
置かれている紙が御神紙なのであろう、一緒にナイフが置かれておりそれで指を切り血を垂らす。
「その上に手を置きマナを注入下さい。」
はて、マナを注入とは。ビンタで闘魂みたいなのではないよな。
《そうですね。私との契約のときに気の流れのようなものを感じたと思います。あれがマナです。そうですね。ご主人様の世界で例えるなら、掌から気を送るイメージでマナを送ろうとしていただければ大丈夫だと思います。》
サニーの説明は分かりやすいと思いながら、紙に気を送るイメージで実践してみる。
すると、紙は光り出し文字を浮かばせる。
「これで御神託が下りました。お布施として銀貨1枚をお納め下さい。」
銀貨を支払い紙を受け取る。
「基本的に御神託は、ご自身の大切な職業に対する神からの啓示となるため、我々のお手伝いはここまでとしておりますが、字が読めない場合や、ご心配事があるのなら、一緒に御神託の内容を確認し職の説明も致しておりますが如何しますか?」
神託と相談までがセットで神官の職務なのであろうか。慈愛のある目で神官の子は云う。
「大丈夫です。まずは自分で見て確認して、それでも心配なことがあったらその時はご相談させてください。」
一般論として神官さんの意見も聞きたかったが、ケレースの陰謀が怖いので人には見せにくい。まずはサニーと一緒に確認することにした。
「はい。大丈夫ですよ。『一人ひとりに天の使命があり、その天命を楽しんで生きることが、処世上の第一要件である』とも言います。よく考えて、職を得てくださいね。そして、何時でも気軽にお出でください。」
「ありがとうございます。で、ひとつお尋ねしたいことがありまして…。この辺に武器を取り扱っているお店と一緒に営んでいる宿屋があると聞いてきたのですが。」
「ふぇ?それ私のお父さんとお母さんがやってるお店だと思うよー?そよ風の響き停って宿とコールマンズマテリアルスミスってお店なの。」
急に仕事モードから通常モードになる神官さん。
「え?マジっすか?すっごい偶然。警備隊の方に教えてもらいまして。」
「私はそこの娘のくるると言います。お母さんのご飯はすっごく美味しいから良ければ末永く使ってあげてください。あ。あとお父さんは店を空けていることが多いですけど今日は居ますので行ってあげてください。」
神官さんのくるるちゃんの通常モードは、明るく笑顔が眩しい子で好感が持てた。
「わかりました!何かのご縁です。少しの間ご厄介になると決めましたので、見かけたらよろしくお願いします。」
「私の紹介と言っていただければスムーズだと思いますよー。はい。またよろしくですー。」
そよ風の響き停の行き方を教えてもらい、御神託を持って神殿から宿に向かう。
2つ程道を曲がったところに、コールマンズマテリアルスミスの看板を見つけ、その隣にある宿に入る。
「神殿のくるるさんに紹介していただきまして。お部屋開いていませんか?」
フロントにいる凛とした顔立ちの、恐らくくるるちゃんのお母さんに声をかける。
「あらあら。まぁ~くるるから紹介なのですねぇ。お部屋は…あらそちらの狼さんはあなたの従者ですか?」
「あ…。一緒に泊まれる部屋なんて…ないですよね?」
「少しお高くなりますけど、ありますよぉ~?従者とご一緒用なので内装は少し雑になりますが。どうしますか?」
「わ。あるなら全然そこで大丈夫です。よかった。一泊幾らでしょう?」
サニーといろいろ相談したかったので、同室なのはありがたい。
「一泊銅貨9枚になります。夜の食事をここで召し上がっていただければ一品サービスです。」
えーとこれで残高が…銀貨4枚と銅貨10を稼いで、入場と神託で銀貨3枚と銅貨5枚ががなくなり、串焼きで銅貨1枚で宿泊で銅貨9枚だから、差し引くと残りが銅貨5枚か。
それなら、なんとか今晩の食事にはありつけるな。
これで入場パスを購入する金はなくなってしまうが、辞書の権能を使えば何とかなるだろうと算段し宿泊をお願いする。
部屋に案内され中を見渡すが、雑といっていた割に全く気になるところもなく居心地もよさそうだ。荷物を棚に仕舞いベットに横になる。
取りあえず、神託を確認し今後の方向性を確認しよう。
[一人ひとりに天の使命があり、その天命を楽しんで生きることが、処世上の第一要件である:渋沢栄一 ]
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