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第1話 アンダーパス

丈二編の第1話 です。


物語を文字に起こすのははじめてとなりますので、誤字脱字ありましたがご指摘いただければ幸いです。よろしくお願いします。

 物語はプロローグから遡り、異世界に迷い込むことになる青年の話に移る。


 ※ ※ ※ ※


 早朝、日が昇る前から日常は始まる。

 異世界に迷い込むことになる主人公『暁 丈二』は、何時ものように、60㏄のカブに跨り新聞を届ける。


「二丁目のこの角を曲がったところのお宅は、最近、役所の職員が頻繁に来ている」だとか、「その隣のおばちゃんは、それを毎日こっそり見ていて、井戸端会議の話題にしている」だとか。そんな些細な噂をを思い浮かべながら、自分の町に新聞を届ける。


 その日も、そんな朝であった。


「今日は水曜日かぁ。じいさんの処に10時だったっけか…。じいさん二丁目のお宅のこと心配してたもんなぁ。町内会長も大変だ。」


 町内会長をしているじいさんは、Akatsukiという商社を立ち上げ全国屈指のカタログ物品販売会社を運営していたが、M&Aで旧知の仲であった友人に一部を残し会社を売却、その後は地元で兄弟が営んでいた新聞配達業を引き継いでいた。

 最近になって、孫の丈二に経営を譲り、長年ご愛好頂いた地域の方々への感謝を込めて町内の細かい世話を焼いている昔ながらの男である。


 丈二はそんなじいさんに気に入られており、いろいろと子供の頃から、例えばロープの結び方だとか、ナイフの使い方、レンガの焼き方みたいなころまで教わって育った。


 そんな間柄のじいさんとは、毎週水曜日の10時に会うこととなっており、そこで、町内での心配事などを丈二はじいさんに報告する。


 お節介な性格は丈二も少なからず受け継いでおり、この週一回の儀式は嫌いではなく、彼にとっても眠たい目を擦りながらではあるが、有意義な時間であった。


 ※ ※ ※ ※


 少し肌寒さを感じる軍手でコーティングした両手を握りしめ、「今日は朝寝できないな」とハニカミながらカブを吹かす。


 一軒一軒丁寧に新聞を配り、すれ違う同業者と指であいさつを交わす。


 辺りは朝日が昇るのであろうと薄っすら光を帯びてくる。

 それは、今日も朝の仕事は終わりであることを告げてくる。毎日の光景。


(ぶるりっ…しかし、寒くなってきたな。ラストに向けてもうひと頑張りだねぇ)


 東から顔を出したお日様がまぶしいなぁと、最後のエリアに向かうため握るハンドルの手を強める。


「ここのアンダーパスを抜ければ今日は終わりだな。」


 朝日を正面に、私鉄の路線をくぐるアンダーパスに入る。




 ※ ※ ※ ※


 …なんだ。何が起きた。記憶が定まらない。


 えーと確か…何時ものルートで新聞を届けていて…二丁目のお宅のことを思い出しながら…。そうだ!アンダーパスに入って最後のエリアを回ろうとして…そしたら光って。どうなったんだっけ?


 今日…はじいさんのところに行く予定だったな。行けないよ…なぁ。


 ――少しづつ…頭が回りだす。


 しかし。ここは何なんだ?真っ暗だぞ。さっきは、あんなに眩しかったのに、体の感覚すらない。…これは夢なのか?いや、俺は死んだのだろうか?


 良くわからない…暗闇で思考だけが存在するような現状に、普通ではないのはわかる。

 意識はハッキリしてきている…いや、意識しかないのだろうか。


 …光が見えるな。何だろう。お?あそこに向かうことは…出来るのか?


 そんな感覚の中、ぼんやりと見える光る何かを見つけ、パニック寸前の意識を集中させ、どんな仕組みかわからないがそこへ向かっていく。



 ※ ※ ※ ※


 ――どのくらい歩いた?進んだのだろう。


 数時間なのか、数日なのか、数か月なのか…。

 この真っ暗な空間は、時間的な概念が薄いようだ。

 そのため、光に向かうことと考えること以外はすることがないこの状況では、自分の置かれている状況を考察することくらいしか気がまぎれない。


 死んだときの冥府への道なのかな。

 寒かったし…脳溢血にでもなったのかな。

 明日から配達は大丈夫なのかな。

 引き継いでから経理とか…全部俺だったしなぁ…。

 皆…ごめん。



 …あの光にたどり着くと天国なのかな?

 …天国だといいなぁ。


 しかし鈍い、遠い、着かない。

 はぁ…『千里の道も千里の行も足下より始まる』か。



 突然訪れた非常。進んでいく。一歩一歩。


[千里の行も足下より始まる 老子]

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