第10話 えっへん!(謁見!)②
次で1章完結ですので続けてお読みいただければ嬉しいです。
「まず、娘にはこれ以上言葉を紡ぐことを禁じさせていただきますのでご安心ください。」
そう云うとオプスの手のひらから光の風が吹きケレースの口の周りを覆う。
「ん~ん~~~ん~~っす。」
「…っす。って言ったが黙るんならまぁいいか。」
突っ込みを入れてしまう自分を自覚し滅入る。
「本題です。暁 丈二。あなたは、あなたの世界からこの世界に迷い子としてここまで辿り着きました。あなたの身体は既にこちらの世界にあります。従ってこの世界で生きて頂きます。」
慈愛は依然としてあるが、少し口調が凛々しくなったであろうか…オプスが続けて告げる。
「この先の世界は、あなた方の誇る文明が栄える世界ではありません。ご存じかと思いますが、この世界で栄えている文明は魔力や魔法…マナと呼ばれる力で栄えている文明となります。その中であなたは自分の意義を見出し生きていかなければなりません。」
「その目的が元の世界への帰還であったとしてもそれは変わりようのない事実となります。しかしながら、このような事態となったことについて我々にも責任がないとは言えません。我々といたしましてもあなたが彼の地で生きていく手助けをしたいと思っております。」
そこまで伝え口を止める。
少しの間を置き再びオプスは話を再開する。
「あなたに、あなたが望む、彼の地で生きていくための力をひとつ授けたいと思います。何がご要望がありますでしょうか。」
気のせいだろうか。少し悲しげに見える。
「望むもの…本当にこんな展開になるんですね…。」
丈二は、考える。そしてじいさんの話していたことを思い出す。
《いいか丈二。俺は一人で都に上京し事業を起こした。その時に思ったのは情報を得ることが如何に大切だということだった。また、山で遭難しかけた時にも同様で、どうすれば助かるか何が食べれるのか、そんな知識と情報がない自分が怖かった。だからこそ、俺は、知るってことが大事なんだと俺は思っている。》
…知ることかぁ
「ひとついいですか?実はケレース様から俺は強くないって聞かされています。本人は口が滑ったのでしょうが…。そんな自分が今からの地で腕力や魔法の力以外の権能を得て生きていけるのでしょうか?」
思ったこと、考えたこと、不安なことそれらを全て込めて投掛ける。
「そうですねぇ…。彼の地はマナが力と先ほどお伝えしました。当然その力を強く使えることは優位になるでしょう。しかし彼の地にいる人々はそこまでの力を与えられていません。なので生きていけるのかという問いかけにはイエスと答えます。」
「また、彼の地では成長の概念が違います。分かりやすくあなた方にはステータスやレベルアップとして示すこととなりますが、それらを上げることで状況によってはとても強くなることが望めます。これで答えになるでしょうか?」
「十分です。…では…情報が手に入る術が欲しいです。可能ならば元の世界とこれからの世界と知り得たい情報を知る力を。それが俺の望みです。」
自分の力で何とかなるのなら、最初から必要以上の力はいらない。だが今から行くのは未知である。その未知を知ることが出来れば後はやりようだ。丈二の結論はそこにあった。
「2つの世界の…となると条件が付きます。まず文献や定説となっている正確な情報に限られること。次に元の世界での情報はその情報を提供するものがいること。要は協力者が必要となります。今のあなたの状況を信じ…理解してくれる者がいなければこの世界の情報しか得れません。」
「…大丈夫だと思います。大丈夫だと信じているやつがいます。後、正確な情報に限るってのはありがたいですね。情報の正確さの可否は最も重要な情報ですから。」
「わかりました。それでは…あなたに『万科辞典』の権能を与えます。」
そう告げると、オプスは両手を額に当て、その手を丈二に向けてかざす。その光が丈二を包み込み、最後に丈二のスマホに宿る。
「あなたの持つスマートフォンを活用させていただきます。この世界の情報はその中に蓄積され、あなたの世界の力をお借りしてアプリで管理するようにさせていただきました。充電の概念ははマナの力で補いますので安心してください。」
光に包まれたスマホが空に浮きオプスの前で止まる。
「それと…元の世界への通信については、理の内のため理屈の説明は控えますが、通じることができるものは一人だけです。慎重に協力を得られる方を選び連絡をしてください。その他の詳しい内容については、サニーが分かると思いますので、後ほど確認をして頂ければと思います。」
※ ※ ※ ※
「これで願いは成就されました。もう少しお話をする時間がありますが何かありますか?」
「ありがとうございます。なるべくサニーさんが有意義な旅が送れるように頑張らせて頂きます。後…悔しいけど最後に、その堕女神にもお礼が言いたいので話せるようにして頂いてもいいですか?」
くそっっと思いながらも、ケレースの破天荒な振る舞いには助けられた。不覚にも楽しかった。なのでお礼が言いたかった。
「くすっ。あなたは本当に面白い人ですね。分かりました。ケレースもう話してもよいですよ。」
「ジョ…ジョジすヴぁん!ふぇええん。そんなにザビジインデズガ~ふぇええん。」
泣きながらケレースが云…てない。満面の笑みで云っている。
「あたしもちょっと寂しいっすよおお。楽しかったっすよ。きゃはは。そうだ!いいこと思いついたっす。」
頭に電球マークを点しケレースが悪い顔をする。
「いいこと思いつかなくていい!不安しかねぇ!」
丈二は心底嫌そうな顔をする。母である女神オプスも苦虫を噛んだような顔をする。
「スマートフォンにあたしの電話番号を入れておいたっすから何時でも電話してきていいっすよ。きゃは☆彡」
丈二は、万科辞典のアプリを確認するよりも、元の世界の協力者へ電話するよりも先に「美の女神あなたのケレース」と書かれた連絡先を抹消するのであった。
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次で箱庭編終了でございます。




