第8話 箱庭③
「契約しちゃいましたねぇ~~。何も知らずにしちゃいましたねぇ~。ふっふっふ~。知らないっすよ~。」
ケレースが裂けんばかりに口を吊らして笑う。
「え?えええええ?まずい…のか?」
《ご主人様。この人のこの手の話は無視してください。悪意しかないのが上司として情けない。》
「あ!ノトス分身。今ひどいことを言いやがりましたね。」
《さて、誰のことでしょう。今の私はサニーです。》
「あはははは…。」
「冗談はさておき。」
さてととケレースが真面目な顔をして話し出す。
「ここからは真面目に話すっす。まずサニーのことをよろしくお願いするっす。サニーは聖霊ではあるっすけど、契約者の実力に力が比例するっす。ジョジさんの今の実力については、あたしが語るところではないので黙るっすけど、強くないっす。」
「強くないって言っちゃってるやん…。」
「細かい話は追々サニーから聞けってことで、サニーの能力とかも省くっす。」
《了解しました。》
「次に何故100点中80点なのかについてっす。まず、先ほども言いましたが、この箱庭はあたしの権力で作られていますが、庭の世界観はこちらに来たゲストによって異なるっす。所持品についてもその世界観とその人の特性を鑑みて構成したものをプレゼントしているっす。」
「人それぞれのってことは、俺の場合はこの樹海がそれで、例えば他の人なら火山だったりするってことですか?」
「そうっすね。暗黒ふわふわの概念は先ほどの通りなんですが、もう一つ、その人が思い描く文明に依存しない場所のイメージを読み取る目的もあるっす。ジョジさんの場合は、幼年期におじいさんと籠った森の中をイメージしていたっす。途中から思考が一周して異世界ヒャッハーな世紀末荒野になってたっすけどね。ぷw」
「うわぁ…遂にこの人笑いに草生やしちゃったよ。ずっと使うの我慢してたのに。」
「荒野でひゃっは~の厨二野郎に何言われてもwぷぎゃーwwwぷ~くすくすwwっす。」
「《はぁ・・・》」
「で、何故そのような箱庭を用意するのかは、理由が4つあるっす。2つの理由は理により言わないっす。言えるのは、今から進む世界とジョジさんの世界とで文明が全然違うことに起因するっす。その為に文明社会から離脱した生活をして備えてもらうってことっす。もうひとつは、ジョジさんの考察のとおりで、ここに来てしまったゲストを生かすためで、その人の想像を超えない範囲の世界を提供するためっす。」
「あぁそうなるのか。なるほど、あの人為的な森の違和感はケレースさんやサニーさんによるものというよりは、俺の想像によるものって感じですか?」
「正解っす。次にこの箱庭とこの先の世界はジョジさんの世界と繋がっていることは言ったと思うっすが、繋がっているってことは何方の世界も現実っす。なので死ぬと死ぬっす。お互いの世界は少なからず影響を与え合っている存在っすかね。そして、あたし達神格がこの両世界を管理してるっすから、どちらからどちらかへ転生するって概念は当然あるっす。ジョジさんのケースのようなゲストの場合は転移者に当たると思っていただければいいっす。」
「ふむ。難しいことはよくわからないので、今からお邪魔する世界は異世界ってことにするが、厳密には「いとこの世界」って感じでいいのかな?転生も転移もあるってことは、あちらに同郷のものもいるってことか。」
「転生者は記憶がないのがほとんどっすが、稀に薄っすら覚えている人もいるみたいっすね。転移者はジョジさんと同じでしっかり記憶があるっすね。なので転移者を探してみるのもひとつの手かもしれないっす。」
「なるほど~。」
「最後に、何故に風の聖霊を探すことが向こうに進む試練なのかってことっすが、あちらの世界は魔法やマナの概念が明確にあるっす。それは技術で文明の一部っす。その為、どれだけ時間がかかったとしても、ノトスのようにマナで補助をしてくれた存在に気が付くことがマストになるってことっす。まぁ逆にジョジさんの世界には0と1で何でもできちゃうテクノロジーがあるんすけどね。向こうの世界からすれば情報処理技術は魔法っすからね。」
「ふむ。俺は異世界ってのは、じいさんの与太話の範囲しか判らないが、魔法って概念があるのはファンタジーだよなぁ。で、その逆が0と1のデジタル世界ってのはちょっと前までガラケだった俺には納得だ。」
ポケットに入っているスマホを取り出し、納得した表情で答える。
「え~。こんなとこが補足になるっすね。この補足を聞いて80点の意味が分かったと思うっす。」
「ああ。よくわかった。それに今の補足があって90点ってとこなのも。」
「当然そういうことっすね。ちなみに契約したといっても、そこはサニーも答えれないっすから悪しからず。」
《すみません。ただ、ご主人様が自ら辿り着いたことであればその限りではありませんので、その時はお役に立てるかと思います。》
「ちゃんと辿り着けれたらっすけどね!」
これで、今の自分に降りかかった災難の概要は、概ね理解ができた。
出発の準備をしながらケレースとサニーと雑談をした。
向こうではモンスターが出るのだの、剣や魔法で倒すだの、基本的に元の世界よりフリーダムでハーレムOKっすよ~だの…。
あと、ここで支給された荷物セットはそのまま持って行っていいらしい。
そして、箱庭からの卒業迎える。
「そろそろ行くっすかね。」
「おう。」
《え?ケレース様?まだ…。》
「あ?いいんすよ。ジョジさんにはメインイベントを早く体験していただいたほうが良いと思うっす。わかったっすか?わかったっすよね?他の細かいことはお前がいるから問題ないっすよ。ねぇサニーさん。」
《・・・。》
「では、異世界定番の女神様謁見の時間っす。」
「は?女神って、まだあるの?。ケレースさん。あなた様は堕女神だからノーカンってことでOKっすか?」
「まじでそれ凹むっすけど…。あたしはこの箱庭の担当っす。そして箱庭は進む世界の入口の手前でジョジさんの世界の延長でもあるっす。あたしのお母さまがジョジさんが今から行く世界の女神になるっす。だからまずはお母さまに会ってもらうっす。」
「え?あ。なるほど…。ケレースさんの次はケレースさんのお母さんっすか…。いや、『悲観的になるのは、自分のことばかり考えているからである。』だな。ケレースさんは残念堕女神だけどちゃんと導くことができる人!そのお母さまならきっと素敵な女神様って僕は信じる!!」
そう自分を奮い立たせ、丈二はサニーと、女神謁見のために、ケレースの作る扉を進むのであった。
※ ※ ※ ※
扉の中
「で、俺のカブは何処に行ったんだ?」
「それも後でサニーに聞くっす!もう説明がめんどくさいっす。」
「さいですか…。」
[悲観的になるのは、自分のことばかり考えているからである:斎藤茂太]
丈二編はここでひと段落し、次回は若月編に移ります
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