プロローグ
物語は2人の主人公のお話が交差しながら進んでいきます。
どちらのストーリーなのか、前書き等でアナウンスを致しますので、よろしくお願いします。
ローマ神話でも地母神として崇められた女神ケレースの分体は、供物の甘味を持ちこの地を訪れる。
前に訪れたときに飲んだ、甘く刺激の富んだ黒めの飲み物を嗜みながら、彼女の母である女神オプスの統べる世界を覗き観るのが目的である。
この世界を管理するようになって、どれくらいの時が経ったのであろうか。
退屈でしかたなかった彼女にとって、彼女の世界である『箱庭』を巣立っていったひとりの青年の活躍を見るのが最近の彼女の唯一(?)の娯楽となった。
女神ケレースは、母の世界では信じられない程の厳重な鉄の扉に手をかける。
そして、ここに来るまでの出来事を少し思い出しながら「クスっす」と笑い、その扉を開けた。
※ ※ ※ ※
女神はドアを開け中に入る。
そして、母の世界を映し出す魔法の鏡のある間までゆっくりと足を運び、その鏡を横目に見ながら、鏡を管理している青年に向かってこう声をかける。
「いや!今日も面白いことになってるっすねぇ!『異・世・界・T・V』。只今絶賛ピンチ中っすか?」
「おかえりー。」
「ポテチっちやポッキリ―な諸々買ってきたっすよ?後は、コーラっす!ジンジンの分もあるっすよ~。はいお釣りっす♪」
「お釣りはそこ置いといてー。」
女神は、青年のマンションの一角にある部屋の机上に、コンビニで買ったおやつをお釣りと一緒に置く。
「でね。今いいとこなんで僕全開。ケレたんは、彼らにアドバイスでもヨロ。」
「らじゃっす!」
女神はボイチャ用ワイヤレスヘッドホンの電源をONにして装着し勇敢に戦う青年に優しく艶やかな声を届ける。
『あっ・あっ・皆さんのケレー『『黙れ堕女神!!!』』
「ジンジン…こいつら酷いっす。」
「ごめんねー。多分こいつら余裕ない。ほれ。」
青年が女神の前にあるディスプレイに送ったデータを映す。
『なぁ、こいつめっちゃ強くね。大丈夫?』
白金色の鎧を身にまとった敵の大剣を、棍で受け止めながら、異世界に飛ばされた青年は、ディスプレイ越しにこの戦いをアシストしている現世の協力者達に確認をしてくる。
『相手は金騎士ゲルンの亜種…ふぇ?白金騎士ゲルクっすか!流石ジョジさんと若ちゃん、相変わらずの悪意に晒されてるっすねぇ…。』
『あ。それレア種。倒すと美味いぞー。』
『え?マジ?』
『ほれ。DROP一覧。』
青年は、パソコンをカタカタと操り、ものすごいスピードで対戦相手の情報を整理して送りながら、無気力そうな冷静な語りで早急に必要そうな情報を伝える。
異世界に迷い込んだ彼は、とっさに情報を展開させ、内容を目で追い「うお。マジで?イイね!」とブツブツ言いながら確認する。
彼は、鍔迫り合いをしていた相手が剣の力をより込めた瞬間に、半身の状態に左足を引き流しながら、離れ際に白金色の兜へ一撃を入れて距離をとり仲間の竜人族の女性に叫ぶ。
「おーい。指揮官。これ強いけど倒したら超うまいレア種だって!」
『何や!何や!馬鹿にしとるんか?わ~っとるわボケぇはげえ。内容までは知らんけど、この耳栓でお前んとこのお友達さんの声は筒抜けなんやでぇ。』と耳栓越しに竜人族の大声が響く。
その刹那、黒猫のオーラを纏った栗色の髪の少女が剣で一太刀を入れ、その勢いのまま、持っていた禍々しい小太刀を3度切入れると、白金の騎士は一歩下がり手に持つ大剣に黄金のマナを込める。
それを見た女神の眼光はは鋭く光り、イジけて飲んでいたコーラを机に置いてディスプレイに映る文字を操る。すぐさま、画面越しの彼らに情報を伝える。
『ジョジさんこれヤバメっす。黒猫を土魔法で強化しとくっすね。後、指揮官さん。こいつピンチになると剣にマナを貯めるみたいっすね。それヤバい攻撃の合図らしいっすよ。』
『チッッ。堕女神のくせに!』
『何や?君、まともな時もあるんやなぁ!』
「流石ケレたん。めげずに偉い偉い。」
青年は左手で女神の頭を軽く撫でながら、今日も異世界に迷い込んだ彼の親友のバックアップサポートを務める。
初の連載です。マメな更新を目指していきますので
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