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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
学園入学前
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英雄は魔法を知る。

 昼食を終えたら、再び、図書室に戻って、ルキウスから魔法について教えてもらった。


「お坊ちゃま。お昼前に聞かれたことなのですが、魔法というのは元来、複雑なものだと思ってください」

「複雑?」

「そうです。お坊ちゃまがお読みになってる本は基礎的な魔法を学ぶ本です」


 あれで基礎。あんな複雑な術式が基礎か。意味がわからない。

 俺が首を傾げると、ルキウスはなんだかひどく驚いた顔を浮かべる。微妙な沈黙が落ち、やがて、ルキウスはコホンと咳払いしてから話を再開する。


「魔法は誰もが使える者ではなく、生まれながらの才能によるものだと帝国の学術論文で発表されました」


 生まれながらの才能。これもおかしい。魔術は得意不得意があるとはいえ、誰もが扱えるものだ。才能の良し悪しで決まるものじゃない。


「なお、本にも書かれているかもしれませんが、魔法は詠唱しないと効果が発揮されません」


 詠唱って…なんで、詠唱する必要がある。確か、教えでも詠唱は最低限だって、神々や精霊たちが言っていたはずだ。


「魔法を発動するには、人の体内にある魔力。マナを行使しないと発動できません」

「マナ? オドじゃないのか?」

「……坊ちゃま」


 ここで、俺とルキウスで意見の食い違いが起きる。

 ふむ。どうやら、ここらへんから魔法と魔術に違いが生まれたのかもしれない。英雄だった頃は、マナとオドを行使すれば魔術が使えたからな。

 とりあえず、ページの文面に読んでみるも全然分からないし。書いてる内容がデタラメだ。俺からしたら、基礎中の基礎中の基礎な気がする。

 一応、本に書いてある魔法陣の近くにある白紙に書いてみる。基礎的な魔法でも、こんな乱雑にあるものなのか。これじゃあ、使用者の負担が大きすぎるし、扱いづらい。

 実際に、魔法というのを行使するにも詠唱は不要だ。こんな雑な魔法陣も――


「……坊ちゃま?」

「ハッ!」


 俺が魔法陣にオドを流すと、紙に書いた魔法陣に雷が迸った。ルキウスは俺が魔法を行使したのを目を見開かせる。


「…できた」

「……お坊ちゃま」


 ルキウスが、どうして疲れたような顔をするのか。俺は皆目見当がつかない。

 ペラペラとページをめくる音が図書室に響き渡る。俺はなにごともなかったかのように勉強に勤しむ。ルキウスはもはや、なにも突っ込む気力すらなくなっていた。


 時間がこくこくと過ぎ去っていく。


「お坊ちゃま。そろそろ、お夕食の時間です。本日のお勉強はお開きとしましょう」

「は~い」


 俺は気兼ねない返事をして、ルキウスと一緒に本を棚に戻していく。

 図書室を出て、昼食と同じように来た道を辿って、食堂に戻ってくる。

 食堂に入ると、昼食の時にいなかった姉がいて、彼女に対面する席には、寝間着をしている女性がいた。肩まで伸ばし、銀髪藍色と蒼色のオッドアイの女性が次女のエルダ・R・ファーレン。彼女はヒルデの対面する席に座っていた。

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