英雄はこの世界を知る。②
俺はベッドから起き上がり、部屋を出ようとしたところで、部屋の外からノックが聞こえてきた。返事をすると、ルキウスが入ってくる。
「どうしたの?」
「お坊ちゃま。今日の予定は屋敷の図書室でお勉強になります。準備は既に整えてますので、図書室に向かいましょう」
と、図書室? なんだ、それは? 初めて聞くな。ひとまず、ルキウスの言葉を信じて、その図書室に向かおう。
「分かった。行こうか」
俺はルキウスの後ろをついて行き、図書室という場所に向かう。
場所は1階の奥にあるようだ。
図書室に入ると、荘厳なお部屋だった。膨大な蔵書量。これには、目を見開かせてしまう。
「凄い」
おもわず、口を漏らしてしまった。
「お坊ちゃまの忘れがちは全くですね。ファーレン公爵家はライヒ大帝国の中で1,2の公爵家です。今までは自室でのお勉強でしたが、今日からは図書室でのお勉強になります」
ファーレン公爵家。それが、この少年の家なんだろう。そして、ライヒ大帝国。それが国名なんだろうな。
「それでは、復習として、この国の成り立ちと魔法についてのお勉強をしましょう」
魔法? 魔術じゃないのか? なにがなんだが分からない。
まあ、そこも、ここで調べたほうがいいな。
俺は図書室という場所で、ライヒ大帝国という国と魔法について。その知識を深めることにした。この時代には本という物があるんだな。英雄だった頃、吟遊詩人の口伝や神々や精霊たちの教えだけだったからな。改めて思うと、時が経ったのだと実感する。
えぇ~ッと、ライヒ大帝国は今から千年以上前に建国したとされる国で、三神を奉る国。建国者はレオス・B・リヒト・ライヒ。戦神ヘルトの唯一無二の親友。今では、[建国神]として言い残されている。
へぇ~。あのリヒトが建国させたのか。あの臆病者がな
あと、戦神ヘルトの妻とされるセリア・B・レイ・ライヒも建国に加担し、[女神]として言い残されている。
レイン…キミもこの大帝国を礎になったんだな。だけど…
あの時代は戦乱の時代。よくここまで生き延びたものだな。
なお、[建国神][戦神][女神]の三人を纏めて、[三神]と呼び、後世に語りついだとされている。
どうやら、俺が死んでから、千年以上は時が経ったことになるな。
あと、魔法というのは、現代における神秘。体内の魔力を行使して、攻撃、防御、治癒というさまざまな現象を起こすことを指すようだが、なんだ、これ?
英雄だった頃、魔力というのは確か、体内にある魔力を内在魔力で、体外にある魔力を外在魔力って呼んでいたはず…どういうことだ? 頭がこんがらがるぞ。
とりあえず、言えることは英雄だった頃から、神秘というのが廃れていることは分かった。本に書いてある魔法陣や術式が大雑把というか雑というか、かなり劣化しているのがわかる。
あとで、ルキウスに魔法を研究しているのか聞いてみるか。
国の成り立ちを調べている中、この国の役職なのか階級なのか分からないが、そういった本があったので読んでみることにした。
この国にも、貴族というのが存在するのか。英雄だった頃も、確かに貴族はいたが、ここまで上下関係のあるものじゃなかった。まあ、あの時は戦いに明け暮れていたから。貴族というのが無頓着だったといえば、無頓着だったと言える。何々、ライヒ皇家を支える5つの公爵家のことを[五大公爵家]という。公爵家? なんだ、それは? 俺は別の本と隣に置いて、貴族というのも調べる。
うげッ!? 俺は貴族というのも調べている。調べていくうちに、貴族階級と順位について知ることになって、頭がこんがらがってきたぞ。とりあえず、この少年の家名、ファーレン家が、公爵家というわけだな。それだけは分かった。
やっぱり、あとで、ルキウスに聞こう。
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