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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
学園入学
47/302

英雄はクラスメイトと友達になる。⑤

 俺はジノとニナに友人にならないかと話を持ちかけ、ジノとニナは一度、顔を見合わせる。

「どうして、友達になりたいの?」

 ニナが聞き返してくる。

 まあ、それが普通だよな。

「単純に言えば、貴族だけ友人を持ちたいと言うだけではなく、幅広く友好関係を持ちたいんだよ」

「だから、どうして、友達になりたいの?」

 ニナって結構疑り深いのか? いや、ガキ大将だからこその警戒心だろうと思うけど――。

「正直に言うと信頼のおける友達がほしいんだ」

「信頼のおける友達?」

「俺と一緒にバカなことができる友達がよ」

 俺は本心かつ本音を言いつつ、澄まし顔で笑みを零す。

 俺の本心を少しだけ曝け出した。

 俺の本心を知れたニナは「ふぅ~ん」と微笑いや嘲笑する。

「なに、それ・・・バカなことができる友達? そんなのが友達って言えるの? 笑える冗談ね」

「確かにな。でも、まあ、それでも良い」

「どうして?」

 ニナがキリキリと聞いてくる。

「この国の伝説にして初代皇帝、レオス・B・リヒト・ライヒ。彼だって、バカなことをしていたんだぞ」

「初代皇帝をバカ呼ばわりするの!?」

 俺が言ったことに声を荒げるニナ。

 これはティア殿下もジノも目を見開いている。

「バカ呼ばわりはしないよ。ただ、初代皇帝は人族と異種族を対等にし、互いに尊重し合える世界を目指した男だ。俺が彼のようにバカなことをしても問題ないだろう」

「貴方と初代皇帝とは雲泥の差よ」

「雲泥の差か。確かに雲泥の差だな。だけど、歴史に名を残した偉人たちがなにも天才だったのか?」

「「「え?」」」

 ティア殿下、ジノそしてニナは揃いも揃って呆ける。

「たとえば、武を極めたとされる[戦神ヘルト]。彼はこの世から戦争がなくそうと各地の戦地に赴いては暴れ回った。彼とて初代皇帝と似ていると思うが?」

 俺は前世の自分が目指したことを言う。

 そんな前世の自分()をバカ呼ばわりできるとは思えないがな。

「私が最も尊敬している人をバカにするなんて許せない」

 ニナは怒りを露わにする。

 許さないか。まあ、それもそうか。千年も経つんだ。前世の自分()への過度な信奉者がいてもおかしくない。

 なぜなら、俺の隣にいるティア殿下も前世の自分()の熱狂的な信奉者だからな。

 俺がこんなことを言えば、怒ってくるとだろうな。

 と、俺は横に目線を向ければ、ティア殿下もジロリと俺を睨んでいた。

「分かった、分かった。[戦神ヘルト]を悪く言ったことを申し訳ない。だが、()()()()()()()()()()()()()だけは知っておいといてほしい」

 俺は彼らに謝罪する。

 あと、謝罪の後に歴史が全てではないと告げておいといた。

 それは本当のことである。

 リヒトが世界にある全種族を対等にしようとしていたことを――。

 俺が世界から戦争というのをなくそうと戦場で暴れ回ったことを――。

 レイが全種族を愛し続けた道を選択したことを――。

 俺は歴史の全てを知っているわけではない。だが、この時代に語りつがれている歴史が全てというわけではない。

 だけど、千年の真実を知っているのは俺とレインだけだろう。

 そういえば、レインは今、どこにいるんだ。


 ズィルバー()が今、ティア殿下たちと話している最中、レインは小鳥に姿を変えていた。

 レインは小鳥の姿のまま、枝に居座ったまま俺たちを眺めていた。

(全く、貴方はなにをやっているのよ。貴方が友達を作る方法なんて難しいでしょう。まあ、千年前と今とじゃあ、友達の作り方なんて違うと思うのよね。ハァ~、なんか心配になってきた)

 と、レインは主であるズィルバー()のことが心配している。今でも続いている。

 だけど、レインは、ふと、空を見上げる。

 それは自分と同等の力を秘めている()()()()を気にしていた。

(ヴァン…ネル…レン…フラン…貴方たち、今も自分の主が見つかるまで眠っているのかしら? そうだとしたら、悲しいわね)

 悲しんでいた。

 彼女たちに何かあったのかは誰も知らない。

 知っているのは初代皇帝レオス・B・リヒト・ライヒなど、複数名のみだ。

 レインの中では未だに抱いている疑問がある。

 リヒトがどうして、レインを含めた神位精霊を封印させたのかが分からない。

(リヒトほどの男が私たちを封じることがなかったはず・・・・・・いったい、どういう理由で封印することを考えたんだろう。今でもリヒトが行った経緯が分からない)

 レインは今でもリヒトの真意が分からない。


 レインは小鳥の姿のまま、昔を振り返る。

(ヘルトの死後、リヒトは私やヴァン、レン、フラン、ネルを集めさせ、なにかを与えられた後、封印させられた。私たちはなにを与えられたかも知らずに封印させられて、挙動不審に陥った。私でも不安がるんだから。ヴァンやフランだったら、リヒトを疑るに違いない。でも、今は千年の時が経過した。リヒトもいない。今もリヒトの言葉を信じていればいいのか。私にはそれが分からない)

 レインは今なき、リヒトの言葉の真意を聞きたかったのが本心だった。

 今の時代を生きる人たちは知り得ぬ事実。

 レインらを含めた五神帝。彼女らを封じることを決めた初代皇帝リヒト。

 彼はどのような思いで彼女たちを封じる決断に至ったのか。それは彼だけであり、彼のことを深く知っている人物たちだけだろう。

 だが、その中にはズィルバー(ヘルト)は含まれているのだろうか。

 しかし、彼ほどの智謀なら、いずれ、気づくだろう。

 初代皇帝リヒトがどのような思いでレインらを封じようとしたのか。そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

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