英雄はクラスメイトと友達になる。
俺はヒルデ姉さん、エルダ姉さん、レインそしてティア殿下と一緒に学園校舎に歩いて向かっているところだ。
学園校舎の位置は姉さんたちの方が詳しいので案内を任してもらっている。
学園のことを熟知しているのは姉さんたちだ。
案内には姉さんたちがうってつけだ。今度、姉さんたちに案内を頼もう。おそらく、学園側も粋な計らいで学園案内があるだろうから。その時にもわかるだろうけど、学科に振り分けられることを考えて、姉さんたち生徒が知っている場所を聞いておきたい。
校舎に到着したんだが、校舎が豪壮だな。
「どれだけお金をかけているんだ?」
「クラディウスよりは劣るけどね」
俺が校舎の豪壮なところをティア殿下も便乗してくる。
「学園にある校舎のほとんどはエドモンド殿下の無茶ぶりで豪壮になっているの」
「無駄金を使っているな」
校舎が豪壮な理由をヒルデ姉さんが教えてもらい、俺は思わず、エドモンド殿下が無駄に見栄っ張りなのを知る。
「無駄にお金を使わないでください」
学園以外にもお金を使えるところがあるはずなんだが……。
俺は頭を抑える。
「おかげでエリザベス殿下も頭を悩ませているのよ」
「なんか、エリザベス殿下の気持ちというか心労を知った気がする」
それとエドモンド殿下の無能ぶりが発揮されているのが嫌でも分かった気がする。
ティア殿下がいる前で言いたくないな。
エドモンド殿下が無駄食いをしている感があるのを――。
と、まあ、そんなことはさておき、俺たちは校舎へと入っていく。
校舎に入ってすぐに気づいたことは階段と渡り廊下。何故、校舎に入って階段と渡り廊下に直面するんだ? と、俺は疑問符を浮かべ、首を傾げる。
「目の前の階段と渡り廊下は特進クラス、成績優秀クラスと一般クラスを分けているのよ」
「クラスを分けている?」
どういうことだ? なんで、クラスを分ける必要がある。
「これもあのアホ殿下の無茶ぶりよ。「平民なんかと一緒に学びたくない」という言葉で無理矢理、分けられたのよ」
「…………」
まさか、皇族が才能で優劣を決め込んでいるとは思いもよらなかった。才能の良し悪しはあるが、それは向き不向きがあると思うんだ。
しかも、その才能の適性を見極めるのにも評価基準が違う。
その人にあった評価基準で才能を見極めればいいと俺は思っているんだがな。
兎にも角にも、エドモンド殿下が無能であることがさらに知れた。
まあ、俺とティア殿下、姉さんたちも特進クラス、成績優秀クラスなので階段を上がっていく。
“ティーターン学園”の校舎はクラスで分かれている。昇降口にある階段と渡り廊下。
階段の方は特進クラスと成績優秀クラス。渡り廊下は一般クラスへ続いている。姉さんたちの話によるとエドモンド殿下の無茶ぶりで貴族とそうでない身分に分けようとしたが、学園側もできないと言われて、特進クラス、成績優秀クラスと一般クラスに分けようと提示したらしい。
さらに言うなら、試験の方針についてもいちゃもんをつけたとか――。
もう我が儘し放題だな。
俺は皇族として大丈夫なのかと心配してしまう。と、俺はそう思いながら、教室へと歩いていく。
俺とティア殿下は階段を上がって次の階に教室にあるので、姉さんたちと別れて、教室へ向かう。レインは俺とティア殿下と一緒にいる。理由は簡単。レインは俺の契約精霊だからだ。
俺にもしものことがあったら、不味いからな。
レインには俺の傍にいてもらいたい。もう一つ、理由があるとしたら、レインに何かあったら心配だからという理由もある。
何故なら、エドモンド殿下のことがある。彼が俺に声をかけられる際、傍にいてほしいのと、レインに何かされても俺の目が届くからという理由だ。
俺、ティア殿下、レインは特進クラスの教室に到着する。
教室に入れば、俺と同じ新入生が席に座っていた。全員とまではいかないが半分以上は席に座っている。制服は一緒だが、来ている新入生の髪質からどういう身分なのか把握できる。
だけど、そういうのは自己紹介したとき、判断できることだ。
とりあえず、席に着くことにしよう。
俺とティア殿下は黒板に書かれている自分の席に座る。
レインはというと――。
(せっかく、あなたの勉強している姿を見たいけど、人の姿だと不安だし。小鳥にでも化けましょう)
思い切りがいいのか。はたまた天然なのか。他の動物に化けようと考えに至った。
なお、それが後に俺が気づかれてしまうのも知らずに――。
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