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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
学園入学
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英雄は学園に入学する。②

 俺は差し伸べてくるエリザベス殿下の手に握手しつつ、自己紹介を含めた挨拶をする。


「知っているわ。ヒルデとエルダの弟さんで私の妹のティアの婚約者よね」

「は、はい」


 なんでだろう。エリザベス殿下を前にすると背筋を伸ばしてしまう。

 前世、リヒトに怒鳴られるときと同じ感覚に陥る。

 もしかしてだが、エリザベス殿下も()()()()()()()()()()()()()()()? と、俺は疑ってしまう。

 俺が背筋を伸ばしていることを知ったエリザベス殿下は微笑しつつ、優しい言葉を告げる。


「そう緊張しなくてもいいですよ。気を楽にしてください」

「は、はい」


 うぅ~ん。彼女は無意識かつ自覚していないようだな。()()()()()()()()()()()()()()()――。その所為か、緊張するなというのが無理な話だ。

 とりあえず、俺は緊張を解そうとしたとき、レインが「あっ」となにかを思いだしたように呟く。


「そうよ。貴方を見て、誰かに似ていると思ったらリヒトよ」


 彼女が告げられた言葉にヒルデ姉さん、エルダ姉さん、エリザベス殿下らは「どういうこと?」と疑問符を浮かべる。

 レインはエリザベス殿下を見つつ呟く。


「やっぱり、あなたを見ると雰囲気がリヒトに似ている」

「リヒトと言いますと…初代皇帝にして、[建国神]とも言われる『レオス・B・リヒト・ライヒ』のことですか?」

「そう。その人よ」

「私を初代皇帝と雰囲気のは恐縮ですが…それにしても、初代皇帝を友人みたいな呼び方をするのはいかがなものかと思いますが…」


 まあ、エリザベス殿下の言い分ももっともだな。だが、前世の魂を持つ俺とレインはリヒトのことを友人に近い呼び方をするのは致し方ないと思える。

 なぜなら――。


「申し遅れたわね。私はレイン。今はズィルバーに契約している精霊だけど、その昔はヘルトと契約した精霊よ」


 そう、レインは前世の俺と契約していた精霊だ。

 精霊だったら、何年、何十年、何百年と生き続ける。しかも、千年となれば、もはや、伝説ともいえるだろう。

 レインが精霊であることを知ったエリザベス殿下はすぐに臣下の礼をする。


「先の無礼をお許しください。あなたが精霊だと知らず、無礼なことを言ってしまいました」


 非礼及び謝罪を述べる。

 頭を垂らすエリザベス殿下。彼女の行動に驚きを隠せない姉さんたち。

 でも、レインはエリザベス殿下の謝罪を受け止めつつ、


「頭を上げてください。私は精霊と人は対等にあるべきだと考えています。誰が偉いとか考えていません。なので、顔を上げてください」


 立たせようとする。

 誰かが偉いのではなく、この世界の種族は全て、対等であるべきだという考え。それはまさにリヒトとレイの考えそのものだ。

 レインもリヒトとレイに感化されたな。まあ、前世の俺も二人に感化されたから文句は言えないけど……。


「お優しいのですね」

「そう? 私は普通だと思うけど……」

「いえ、父からは精霊を敬うように言われたものですから」

「あら、そうなの」


 なるほど。精霊を敬うか。これは俺もびっくりだな。千年前とは考え方が変わったな。いや、風潮が変わったともいえる。

 これもリヒトとレイが目指した世界かもしれんな。と、俺はほんの少しだけ口角を上げて微笑する。


 レインが精霊だったことの揉め事から少し、間を置いて、エリザベス殿下と一緒にいた少年が今日の段取りを教えてくれた。


「まず、入学式の段取りですが、まず、学園長の挨拶。次に生徒会長の式辞。最後が新入生答辞という形になっています」

「分かりました」

「それと先に総代であるズィルバーくんには自分のクラスがどこなのか教えておきましょう」


 少年から俺の所属するクラスを教えてくれた。


「ズィルバーくんは特進クラスです」

「ついでに言うと、ティアも特進クラスよ」


 ティア殿下も俺と同じクラスか。


「教えていただきありがとうございます」


 俺は少年に感謝の言葉を述べる。


「続いて、始業式なんですが、談取りとして学園長の挨拶。担任発表。学科紹介があります」

「学科紹介?」


 俺は少年が言う『学科紹介』とはなにが分からず、首を傾げる。

 そこにヒルデ姉さんとエルダ姉さんが教えてくれた。


「学科紹介というのは学園を生徒に紹介するのよ」

「通常、二学年の時に執り行われるのだけど、今年度から新入生の後半から学科の振り分けが行われることになったのよ」

「え? 半年後には俺やティア殿下を含めた新入生全員、学科に振り分けられるんですか!?」

「いいえ。今年度は特進クラスなどの成績優秀クラスだけを対象にするらしい。と、学園側の取り決めよ」


 エリザベス殿下が先の展望を教えてくれた。

 なるほど。エリートクラスのみに教えるという考えか。これは俺の想像通りだな。


「しかし、エリザベス殿下。一学年の後半から学科に振り分けるのはまずくないですか?」

「特に一般クラスの貴族からは批判の声が来ると思いますが……」


 姉さんらの考えにも一理ある。

 特進クラスなどの成績優秀クラスに庶民や、衛士、商人の子供だって入ることがある。逆に一般クラスに貴族が入る場合がある。

 貴族の中には選民思想が激しい者もいる。そういう人間ほど見下す傾向にある。

 まあ、そういった人間には会わなければいいだけだかな。

 それよりも入学式の段取りを確認しないとな。

 俺は入学式で読む答辞の内容を確認することにした。

 ヒルデ姉さんとエルダ姉さんはエリザベス殿下と交えて、入学式まで話をすることにした。レインは俺の傍にいてくれて髪の手入れをしてくれてもらっている。

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