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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
西方交流

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305/320

かつての西方――。

 それは古く古く大昔に遡る。

 千年前、西方。

 大きな街があった。その街を覆うように野営が点在していた。

「どうやら――」

 大きな天幕の中で好青年と女性が議論していた。

 女性は額に赤い入れ墨があり、風の神様からお告げを語る。

「どうやら、原初がまたもや画策に乗り出しそうです。アルブム(あなた)?」

「うーん。それは困るなぁ~。

 原初の藍(インディクム)もいい加減に諦めてほしいものだ」

 ため息を漏らす好青年ことアルブム。

 西方を任されし大将軍の一人である。

「アルブム様! ■■様!」

 天幕へ入ってくる伝令。

「どうかしましたか?」

「はい! たった今、増援部隊としてヘルト様並びに■■様がこちらへ!」

「やれやれ、原初絡みだと彼が動くのは明白だね」

「そうでしょうか?

 私としては彼女が動いていることが気になりません?」

 アルブムを“あなた”と敬称するあたり、二人が夫婦なのが見て取れる。

「フフッ。確かにその通りかも……彼女が動くということは此度の原初騒動は原初の藍(インディクム)だけじゃないかも」

(もしかして、原初の■(■■■)? いや、彼女が動くということは原初の■(■■■■)かな?)

「とにかく、増援が来たら丁重に迎え入れないとね」

 アルブムは席を立つ。

 傍らには仔馬が寝転がっていた。

「じゃあ行こっか。ヴァン」

 優しく撫でた後、仔馬は彼を追いかけるように立ち上がってトコトコとついていく。


 その後ろを彼女は見つめていた。

「風は未だに導かれていない……世界は未だに導かれていない……故に奏でるのみ。私らの未来に幸あらんことを――」


 それが千年前の古い古い一幕である。古く古く誰も語り継がれない思い出――。


「さあ諸君、気合を入れようじゃないか。

 すべての勝利はライヒ帝国に捧げよう!」

「すべての勝利はライヒ帝国に捧げよ!」

 これがかつての騎士たちの掛け声であった。


 この思い出は風とともに過ぎ去っていく。

 何事もなかったのように過ぎ去っていく。

 そう。これは西方大将軍――アルブム・Z・ファルベの記憶ではなく、共に歩んできたヴァンの記憶だからだ。

「諸君、敵は原初の一柱・原初の藍(インディクム)。恐れることはない。

 この僕がみんなを勝利に導こう。風の赴くままに。勝利の風を手繰り寄せようではないか!」

「おぉ~!!」

 兵士らの掛け声が街の外に木霊する。

 そう。この街こそ、後の“緑銀城(ファルベンブルグ)”なのだから。

 風の道行くままに彼らは戦いに興じた。


 そう。未来という風を手に入れるために彼らは走り続けたのだ。

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