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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
学園入学前
27/302

英雄は双子の姉の体質を知る。

 俺はレインに姉さんたちにも体質があるのではないのか疑った。

 何故なら、エルダ姉さんが、身体が弱い理由も体質によるものだと考えている。

 だけど、確立で言えば、半々だ。

 本当かどうかも分からない。

 だから、レインにお願いする形で賭けてみた。

 しかし、レインがそれを了承してくれると思えない。

 だからこそ、俺がお願いする形で言った。

 命令する形で言うと、彼女の機嫌が損ねてしまうのは目に見えて分かっていた。

 俺のお願いを聞く彼女は


「命令だったら、聞かなかったけど、お願いなら、聞いてあげる」

「………………」


 これには、俺もほっと息を吐く。

 内心では「よかった」と安堵する。

 レインはエルダ姉さんの後ろに回り、


「服越しだけどごめんね」


 彼女の背中に手を添える。

 その表情は真剣な面持ちで――。

 エルダ姉さん。急に背中を触れられたことに身震いしている。

 ぞわぞわと背筋を伸ばしている。

 まるで、猫のように――。

 意外と姉さんって可愛い一面があるんだな。

 まあ、レインはそれを無視して、


「魔力を流すから。一々、反応しないでください」

「え? でも、いきなり、そう言われても……」


 確かに、いきなり、言われても、反応してしまう。

 『ヒーリング』をされるのは慣れるようで慣れないものだ。

 英雄だった頃の俺も慣れるのに一苦労したからな。

 レインもその時の俺の苦労をしてもらいたいものだ。

 だが、それを言うと、俺とレインがどういった関係性だったのか父さんたちに根掘り葉掘り聞かされそうだ。

 なので、ここで明かせないのがもどかしい。


 エルダ姉さんはレインに背中を触れられた途端、ビクンと又もや、身震いする。

 それで、今から、俺のお願いで調べるのが始まった。

 レインは聖属性の精霊。しかも、神級精霊に上り詰めている。

 英雄だった頃の俺と同じ時代を生きている。知識量にはかなりの自信があるはずだ。

 全く、今更ながら、レインが頼れるお姉さんになったものだ。

 昔は俺に甘えてくる泣き虫な女の子だったのに……。


 そして、レインの調べが終わったのか手を離すと


「驚いた。あなた。よくこれで生きていられたよね」


 ビックリとか呆れた面持ちをしている。

 それほどなのか、レイン?

 もしかして、エルダ姉さんも体質とか持っているのか?


「本来、流れているはずの魔力路が開いていない上に、魔力過多。よくある体質を持ちながら、よく身体が壊れなかったのかが不思議でしょうがない」


 魔力過多体質。

 人並み外れた魔力量を持つと言われる遺伝的な体質だ。

 確か、アルブムも魔力過多体質だったな。

 英雄だった頃、魔力過多体質は十人中八人が魔力過多体質の確立だったな。

 俺の体質、“両性往来者(トラフィックダイト)”は稀に発言する体質だ。

 そう言われてみれば、エルダ姉さんの体質はごく当たり前な体質だな。


「魔力過多体質?」

「人並み外れた魔力を保有している体質。神代ではよく見られる体質ね」

「私って魔力量が多いんだ」

「さらに言えば、あなたは本来開いているはずの魔力路が開いていない」

「それってまずいのですか?」


 エルダ姉さん……まずいぞ。それは……。

 これは俺でもレインが言いたいことは分かるぞ。

 見ろよ、レインが激おこプンプン丸だ。


「いい。魔力路というのは人間で言うところの血管と同じなの。魔力が流れているからこそ、身体は丈夫になれる。だけど、魔力路が開いていないと魔力が流れない。流れないと身体の何処かで異常を起こす」


 レインの説明を聞いて、エルダ姉さんもヒルデ姉さんも父さんたちもようやく、その異常がなんなのか理解した。

 そう。エルダ姉さんの病弱。

 おそらく、魔力路に魔力が流れていないのが原因だ。

 魔力路を開かせる。それはつまり、身体を活性化させること。

 そうなれば、体調を崩しにくくなるし。エルダ姉さんの病弱も少しずつだが、なくなっていくだろう。

 レインはエルダ姉さんの背中に触れながら


「これから、魔力を流して、力尽くで開いていない魔力路をこじ開ける。最初は苦しいけど、徐々に和らいでくるから」


 告げてくる。

 姉さんも頷いてくれた。

 今から、エルダ姉さんの眠っている魔力路をこじ開ける。

 エルダ姉さんがビクって身震いした。

 今、レインが姉さんに魔力を流している。

 異物混入したかのように姉さんの身体の中で拒絶反応を起こしているだろう。

 だが、それはいきなり、魔力を流し始めることだ。レインがどこまで成長したか知らないけど、ゆっくりかつ柔らかくやれば、身震いする程度だと聞いたことがある。


 なんで知っているかって? それは、俺がレインに出会う前の頃、レイによく“ヒーリング”してもらった。彼女はいつも、俺のオドが乱れたときには、率先して“ヒーリング”してくれた。俺は異能体質“両性往来者(トラフィックダイト)”で女になることがあったけど、女の気持ちは理解できなかった。

 だけど、俺は彼女の気持ちを知る前に過労死で死んでしまった。レイ。俺が死んだことに悲しんだのか、怒っていたのか。それは分からない。だが、もし、怒っていたのなら、いつの日にか謝罪をしたい。先に死んでしまったこと謝罪したいな。

 後で、レインから聞いてみようかな。俺が死んだ後のことを――。

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