英雄はレインの正体を家族に知られる。②
「私はレイン。ズィルバーの剣となり盾となる精霊です」
自分の名を明かしたレイン。
正体を明かしたことに俺はまずいと思ってしまう。
(どうしよう。ルキウスのことだ。きっと、父さんに知られるぞ!?)
内心、困惑していた。
俺が困惑しているとレインが
「どうしたの、ズィルバー?」
心配そうに話しかけてくるも俺はこのことが気がかりで頭が回っていなかった。
「お坊ちゃま。このことは旦那様にお伝えさせてもらいます」
すかさず、ルキウスが突き詰めてくる。これには俺も頭が回らない。
(どうしよう!!?)
頭がこんがらがっている。俺の頭の中ではいろんな問題が駆け回っていた。父さんになんて説明すればいいのか。レインの処遇はどうなるのかでごちゃごちゃだ。
(どうしよう!!?)
という状況下。ルキウスは俺に優先すべきことを話した。
「お坊ちゃま。彼女のことに関しては後になりますが、ひとまず、御夕食の時間です」
夕食の時間を告げた。
ルキウスが話を区切るように言われたことで俺は「ハッ!」となり
(そうだな。ひとまず、夕飯を食べよう。食べてから考えればいいんだ)
問題を先送りする形で俺はルキウスに付いていき食堂へと向かう。
向かう際、レインも一緒について行こうとした。だけど、俺が
「レイン。すまないが部屋で待ってくれないか」
易しめに命令する。しかし、彼女は
「いやよ。私だってお腹空いてるんだもん」
プクッと頬を膨らませる。俺は今になって思い出した。
(ああなったレインは強めに言わないと聞いてくれないよな。かといって、強めに言うと駄々をこねてくるからな。どうしよう)
と困っているとルキウスが俺にフォローしてくれた。
「お坊ちゃま。御夕食後、そのまま、彼女のことを聞きたいので彼女をお連れできませんか」
ルキウス。それはフォローじゃねぇ。連行だぞ。
まあ、ルキウスにバレちまった瞬間、父さんや母さん、姉ちゃんたちにも知れちまう。だったら、潔く、話した方が賢明だな。
開き直る形で息を吐き
「分かった。レイン。行こうか」
俺は彼女に手を差し伸べると
「はい!」
彼女は俺の手を掴んで食堂に向かうことにした。
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