巨人に挑みし戦士たち。破
「攻撃してもダメ。逃げるのもダメ。ああ、もう! せめて、力の源を潰せば、解決できるのに!!」
と、ミバルは悔しさを滲ませながら、重大なことを言った。
「え?」
「ミバル。今、なんて言った?」
「え? 攻撃してもダメ?」
「違ぇ。その後……」
「逃げるのもダメ?」
「そうじゃねぇ! 力の源とか、言ってただろ!」
「ん? 力の源を潰せば、解決でき――あっ!」
ようやく、彼女は自分が言ったことが勝利の攻略だと気づく。
「そうだ。俺らは気づいてねぇだけで、どっかに弱点が潜んでるんだ」
シーホは今更ながらに致命的な観点を見落としていたと明かす。ノウェムたちも今頃になって気づき、額に手を当てる。
「言われてみれば、そうだった」
「俺らバカだぜ」
自分を揶揄したくなった。だが、それも今更であり、ここから巻き返しができるのも事実だ。
「さて、弱点はどこ?」
ミバルは弱点を探す素振りを始めれば、ヨーイチが魔法で視力を強化し、精密に観察する。
「うーん。常識的に考えて、頭か心臓だと思うけど……」
「あそこまでデカくなった以上、頭や心臓を潰すのは無理じゃねぇか」
頭か心臓を潰す案は無意味かつ不可能に近いので棄却する。
「真っ二つするのは?」
「核を潰せなかったら、復活されて、さらにデッカくなるだけだ」
「第一、あのデカさを真っ二つにするだけに、どれだけの力を要するか想像に難くありません」
当然の結論に至ったので棄却される。
「うーん。血を出し尽くそうとしても、傷口を塞がれるだけだし。焼き殺すにも火力が要るし」
「ユンの雷撃を喰らっても復活しやがったからなぁ~」
打つ手がない状況に苛立つシューテルたち。
「くっそー! なんか、情報がねぇのか!」
苛立ちを吐きつつ、手を叩く彼に救いの声が届く。
「お困りのようね」
『――!』
全員の視線が声のする方に向いたら、ティア、シノ、シノアに加え、メリナとヒガヤの五人が到着した。
「ティア!」
「シノさん!」
「シノア! メリナ!」
「ヒガヤ! 無事だったのか!?」
カルネス、ユキネ、ミバル、アルスが声を出す。
「なんとかな。だが、俺は戦線に戻れねぇ。限界もいいところだ」
ヒガヤはアルスに肩を借りて、自分の現状を伝える。
「私らもまだ戦えるけど、長期戦を続けるだけの体力と“闘気”は残ってないわ」
ティアたちも継戦するだけの余力は残ってないと明かした。
ふと、ここでシューテルがティアに質問を投げる。
「ちょっと待て、ティア。オメエはまだ、髪の色が変わる異能があるだろ?」
「それを込みで、長時間は戦えないと言ってるの」
ティアは首を横に振り、無駄だと言い張る。
「本来なら、私たちも休息を取ってから、そちらに向かおうと考えたけど、ノイさんが急ぎ伝えたいことが――」
シノアが伝達のために来たと告げようとした矢先、懐に隠れていた子リス姿のノイが顔を出し、人の姿となって顕界する。
急に誰かが現れたことに響めく一同だが、ノイは皆を無視して、頭上を見やり、怪物を見据える。
「まずい」
「ノイさん?」
急展開の多さに処理しきれない一同の中でシノアがノイに声をかける。
「あの怪物から流れる力は“鯨王フォーマルハウト”。千年前、“ドラグル島”西方の海を縄張りにしていた巨大鯨。あの“魚王スピカ”が対等に張り合えるために生まれたと云われてる怪物」
「“魚王スピカ”……」
「フィスが手にした力は怪物に対抗するために生まれた、というのですか?」
「うん。僕の見立てだと、“鯨王フォーマルハウト”のもっとも危険な能力を無意識に行使して、他の“星獣”を取り込んだと思う」
『…………はい?』
ティアたちはノイが言ったことに思わず呆けてしまった。
「な、何を言っていやがる……“星獣”? 同胞を取り込んだ?」
「どうして、そう言いきれる?」
シーホは信じられんと言い切り、ミバルは確証を持てるのか訊ねる。
「簡単だよ。“星獣”の魔力は特殊。普通の魔物とは性質が違う。だから、見分けやすいんだ。
魔物の魔力、気配は感じたことがあると思う。魔物の気配はギスギスとした棘のような気配に対し、“星獣”の気配はどんよりと重く自然が覆う苦しさがある。今も感じてるんだろ?
どこか、重苦しい空気に包まれてる感じを――」
ノイに言われて、シノアたちは「うぐっ!?」と息が詰まる。図星と言わんばかりの反応を示す。
「無駄に意地を張らなくてもいい。息苦しいと感じてるだけでも、気が滅入るのに、ここいら一帯の空気は完全に神代回帰を始めてる。
余計に“星獣”の力を強めている」
「神代回帰?」
「ノイさん? それはいったい、どういうことですか?」
聞き馴染みのない言葉にミバルは首を傾げ、シノアがノイに訊ねる。
「要するに大気中の魔力濃度が僕らの時代に戻ってる。つまり、千年以上前に戻ってること。
千年前、何をしても魔法使いが優位な時代だった。魔力の多い魔族、耳長族、天使族なんかは、とりわけ、時代の強者とまで言われた。
人族や獣族。魔力が少ない種族には荷が重かった時代。それでも、人族は体内の魔力――内在魔力を巧みに行使し、武芸と魔法を併用し、歴史に名を残すほど上り詰めた歴史がある。
彼らを英雄、大英雄と呼ばれ、忘れることのない歴史に名を刻んだ。その頂点に立っていたのが[三神]。リヒト、レイ、ヘルトの三人だった。もちろん、メランやルフス、ベルデ、アルブム、キララ、僕もその歴史に名を残した。
あの女狐――ハムラも獣族でありながら、魔族や耳長族を押し退けた怪物。今なお生きる伝説の怪物なんだよ」
ノイの説明を聞き、シノは自分が魔法を行使したとき、妙に威力が増大していた意味に、ようやく気づいた。
「そういうことね。いつも以上に魔法が強かったのは大気中の魔力が今まで以上に濃かったから」
「そういうこと。話を戻すけど、“鯨王フォーマルハウト”は世界最大級のデカさを持つ鯨。でも、それを人の身に宿したとしても、大きくなるには大きくなるけど、傷ついても欠損しても復活してパワーアップすることはまずない」
ノイは怪物が復活してパワーアップするのは“鯨王フォーマルハウト”ではあり得ないと言い切る。
その答えを聞き、シノアは別の質問を投げる。
「ノイさん。“鯨王フォーマルハウト”は他の生き物を取り込んだと聞きました。それはどうしてですか?」
「これは実際、見た話なんだけど。
“鯨王フォーマルハウト”が生息していた海域は常に視界が暗い海だったと聞く。“ドラグル島”生まれのキララが言ってたから間違いない。彼女も竜化してまで相手取ろうとは思っていなかった。理由は対抗手段がなかったから」
「キララさんでも、相手になれない」
「そんな怪物を伝説の偉人はどう勝ったんだよ?」
ミバルが吐露した質問は奇しくもここにいる全員の気持ちを体現していた。
「あれは奇蹟だった。“鯨王フォーマルハウト”をなんとか撃破できたのはヘルトが一撃で両断したから。真っ向から鱗だろうと皮膚だろうと異常な能力だろうと両断した」
倒し方が明らかに無理なのとおかしすぎると声を荒げる一同。
「僕だって同じ気持ちだ。でも、あれは奇蹟だった。ヘルトは戦の申し子。圧倒的な武威をもってねじ伏せるしかなかったのも事実」
拭いきれない事実を前にクヨクヨしても意味がないとノイが皆に割り切るように言う。
「だけど、核を潰すのは間違っていない。ここは一度、策を練り直――」
ノイが「策を練り直そう」と言おうとしたところ、爆音が轟く。
全員の視線がそちらに見やれば、高密度の矢弾が一人の少年めがけて放たれてる。
高密度の矢弾を放つ黒人の青年。その雰囲気は明らかに今まで見た敵の中で最強と言わしめてもおかしくない存在感を放っていた。
特に人一倍に反応を示すヒロは身震いする。
「なんだ、あいつは……」
「あれは、ユウトさん!?」
「あいつ……ボロボロじゃねぇか!?」
「ああ、間違えない!」
ヒロが黒人の青年を吐露すれば、シノア部隊の面々は高密度の矢弾をさばき続けてる少年がユウトだと気づく。
続けざまに反対側から爆炎が立ち上るほどの爆発音が轟く。
「今度は向こう……」
「あそこにはズィルバーがいる」
ノウェムは戦いの最中、“静の闘気”で誰が戦ってるのか把握していた。
「えっ!? ズィルバーが!?」
ティアは信じられないと顔を浮かべる。
「どうして!? ズィルバーはユンと一緒に敵将の首を獲りに向かったんじゃあ!?」
「俺らも同じ考えをしてた。だが、そうじゃねぇとなると…………」
「なると――?」
顔を見せ合うティアとシノア。
「何者かが阻ませてるってわけだ」
シューテルは言葉を濁す形で言う。遠回しに彼は言った。何者かが、この戦いの行く末に邪魔だてしてるということを――。
「でも、誰なの? 邪魔をする連中なんて……」
「さあな。そこまでは俺も分からん。吸血鬼族かもしれんし。あるいは、それ以外の勢力かもしれん」
「それ以外の勢力?」
シューテルは可能性がありそうなことを口にする。彼の発言にヒロが反応する。
「さあな。そこも俺だって分からねぇが、第三者が働いてるのは確かだ。じゃなきゃ、俺らがここまで苦戦してるなんざあり得ねぇ。そもそも、ズィルバーが横槍で苛立ってるはずがねぇ」
シューテルは“静の闘気”を使わなくても、大気が、空気が異様に震えてるのはおかしなことだ。
「確かに、ズィルバーに纏ってくる空気がいつも以上に苛立ってる、っていうか――」
「荒々しすぎる。怒ってるのが目に見えてわかる」
「逆にシノア部隊のエースさんも、いつもと違って調子が安定してねぇ。おそらく――」
「この空気に当てられて、ペースを乱した」
シューテルが言おうとしたのもノイが言い当てる。
「でも、無理もない。耳長族の森にいたときか。それ以上に空気が重くのしかかってる。
キミらにわかりやすく言うなら、海中で泳いでるとなんら変わらない。しかも、相手はアヴジュラ・P・クシャトリヤか。
ズィルバーくんの方はカンナ・P・クシャトリヤだね」
ノイは“静の闘気”から敵の正体を平然と言うも名字と頭文字を聞き、ヒロは唖然とする。
(僕やヴァシキと同じ名字と頭文字……)
ヒロは唖然としたのは動揺するよりも、驚愕するよりも、自分の気持ちが混乱していたからだ。
混乱する一同を落ち着かせるためにノイはコホンと一度、咳払いする。
「皆が今、思ってることは想像できる。ヒロ・P・クシャトリヤ。キミの名字と頭文字が似てるのもキミが耳長族で眼から魔力の光線が放てる理由がある」
ノイは公言する。
「キミが耳長族の森で生まれたことはアルバスから聞いてる。耳長族でありながら、大英雄になり得る素養を持った子供が生まれた。クシャトリヤの血を引く子供、と――」
「クシャトリヤの血? 僕には、そんな血が流れてるのか?」
ここは戦場なのに、ヒロはノイについ、問い詰めてしまう。自分の血筋を――。
「キミは紛れもなく、クシャトリヤの血を受け継いでいる」
ノイが度々、口にする“クシャトリヤ”とは王族の名前だ。
千年以上前、ライヒ大帝国が王国時代、隣国であり、魔術より武芸で乱世を生き抜いてきた人族の国だった。
乱世の時代、国が滅ぶ理由は多々ある。
国そのものが衰退する。民が反乱を起こし、国家が転覆する。疫病にかかり、国が滅ぶ。
そして、最大の理由が戦争で敗戦となり、国そのものが奪われる。といういくつかの理由によって国は生まれて、滅んでいく。
千年以上も国を存続し、衰退と繁栄、疫病、災害を経験してもなお、国が在り続けるのは異常なことだ。
而して、滅びた国の王族が、民族が、部族が、種族が滅ぶことはない。
文化は滅び、技術は吸収され、失われたとしても、誇りと血は未来永劫、残り続ける。
そう。ヒロはクシャトリヤの血を引いた王家であり、末裔であり、子孫である。
クシャトリヤは古くから魔術と武芸を織り交ぜた戦闘法を技術として継承され、長らく戦場で生き残り、武勇を、伝説を残してきた。彼らは神の加護を呪いとして受け継がれてきた一族。
生まれついて全身を覆う鎧。眼に魔力を集め、光線として放てる技術。いや、相手を睨みつけるだけで殺せる技術は現代に残されていない失われた技術ともいえる。
「キミの先祖がカンナかアヴジュラかは知らないが、カンナは血を残すために、かつて愛した耳長族の女性と結ばれ、子をなしたという話を耳にしたことがある」
ノイはカンナ・P・クシャトリヤの人生を語る。
「耳長族は全種族の中で長命な種族。へたし、百年以上は生きたと聞く。
カンナは誠実な男だ。その性格は戦いにもでてくる」
「誠実な男……」
「約束は必ず果たすのがカンナの誇りなんだ。義理人情や仁義を貫く男としても有名で、その男気に惚れ込んだ女性が多かったとか」
ノイが語るカンナの人間性を聞き、ノウェムやヤマト、シューテルあたりは視線をヒロに向ける。
「なんかよぅ~、どっかの誰かに似てねぇか?」
「ああ、似てる」
「似てる」
「似てるよねぇ~」
シューテルがヒロとカンナは似た者同士だと言い切れば、ノウェム、ヤマト、コロネは異口同音で「似てる」と言い切る。
「…………」
プルプルと気恥ずかしくなったのか、顔を赤らめるヒロはプイッとそっぽを向く。
と、ここで、話の流れを変えだすノイ。
「まあ、それでも、ズィルバーやユウトくんはかなり危険な状況。もちろん、ベルデの子孫も危険だ。
ここは誰かが助けに向かった方が――」
「だったら、私たちが行くわ」
ノイは誰かを向かわせようと進言しかけたところで、ティアが割り込む。彼女が言う、私たち、とは――
「そうなるわね」
「ノイさん。私はユウトさんが心配です」
ティア、シノ、シノアの三人である。それは至極当然という空気だが、周りはそうなのかと言えば――
「まあ、そうだろーな」
納得がいっていた。
「そもそも、あんなデカ物なんざ、俺たちで十分だ」
「あの~、ターク。ボロボロなことに変わり……あ、痛ぇ」
「ユキネ。余計なことを言っちゃあダメよ」
「だな。こんな奴、俺らだけで十分だ。ティア。オメエはズィルバーの助けに行きやがれ」
「あぁー、言えてる。ってか、シノア。どんだけ、ユウトのバカを心配してるんだ?」
シューテルとシーホ、タークはアホくさと呆れてた。
「そもそも、こっちにはまだ戦える奴はいる。相方が心配なら、行ってこい」
皆から後押しを受けられ、ティアたちは呆気にとられる
「ありがとう」
「礼はいらん。さっさと行け」
シッシッと追い払うように手を振れば、ティア、シノ、シノアは別々に分かれて、ズィルバー、ユン、ユウトのもとへ向かった。
三人が離れていくのを見届けた後、タークは一息ついた。
「さて、こっからが正念場だ」
「ひとまず、あのデカさに対抗するには高さが必要です」
「ってか、あのデカさで好き勝手に暴れ回れば、アタシらが先にダウンするぞ!」
エルラは戦いにしても、高さが必要だと言い張り、ナギニは戦う際の立ち回りを言い放つ。
二人の言い分は正しく、シューテルもノウェムも具体案が出なかった。
「ひとまず、戦えるメンツを把握しておくぞ」
「ああ、先に把握しておかねぇと全滅だってあり得るからな」
シューテルの考えにシーホも賛同し、現状、戦える者たちの顔ぶれを見る。
“白銀の黄昏”
シューテル、ノウェム、コロネ、ヤマト、ヒロ、アルス、ライナ、セフィラ、ハクリュウ、シュウ、カルネス。
彼らがまだ戦えるだけの余力が残っており、ビャク、ルア、カキュウ、ショウキュウ、リィエル、ルアール、ティナと部下数名は負傷と治療に専念してもらうこととなった。
“皇族親衛隊”、“シノア部隊”
シーホ、ミバル、ヨーイチのみ。
メリナは負傷者の治療に回ることにした。本来なら、天使族として加勢した方がいいんだが、あのデカさの前では蚊のように、虫のように殺されるのがオチだと判断してか治療に専念することにした。
“豪雷なる蛇”
ターク、ユキネ、エルラ、ナギニ、アオ、クロ、タマズサ、ダッキ、リュカ、ツチグモ。
彼ら以外は部下や仲間の治療に専念し、トビマル、タカマル、ワシマルの三人は各戦況の報告並びに伝達係としての役割に徹することにした。
「――って、ことは……」
「残ってるのは、こんだけか」
「大体、二十人ちょっと」
「ちょっと、ツチグモ!? その身体で大丈夫なの!? もうボロボロじゃあ……」
「ウルセぇな。俺はまだ戦えるぜ。大体、リュカの野郎だって、負けっ放しが癪なのか意地を張ってるぐれぇだしな」
ツチグモもリュカも無駄に意地を張って、怪物を倒すことしか考えていない。
「もー!! 意地っ張りー!!」
ユキネはウガー!! 気を荒立てるのだった。
「この状況で気を荒立てるユキネちゃんの方が、どうかしてるよね?」
「全くだ」
「自分こそがユン様の側近だと豪語するだけはある」
「意地っ張りなのは、あいつも一緒じゃねぇ?」
死と隣り合わせの戦場でおちゃらけた空気を出せるのは、まだまだ若い子供だからこそだというものだ。
ここに大人がいれば、彼らを戦場に立たせてる自分らの不甲斐なさを呪うことだろう。
それだけ、自分らの力のなさを嘆くほかなかった。“白銀の黄昏”も“豪雷なる蛇”も“シノア部隊”も栄えある未来を担う若者たちだ。
その彼らが今、この戦場で命を散らしてはならないことを、後方へ退いたレイルズは苦々しく思ってた。
(まさか、我が息子に今の東方を背負わせてしまうとは……)
「なんという歯痒さ……」
「レイルズ殿……」
皇族親衛隊、東方支部支部長――セロ。
彼女の許へ部下の一人が耳打ちする。
「……そうか。ならば、こちらに来るように言ってもらえるか。ここまで高みの見物をされては腹が立つ」
「はっ!」
隊員の一人が急ぎ足に高台へ向かった。
高台にいるのであろう、御仁を迎え入れるために――。
「全く、あの人もあの人だ。来るなら来ると伝達しておいてほしいものだ」
彼女は苛立ちで表情を歪めるのだった。
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