譲れない女の覚悟。中編
魔女を思わせる妖艶な笑みにフィスは不気味さを抱かせる。
(どういうことだ? 今、どうやって、私の背後をとった?
それに――)
フィスは目線を下にやる。下にやれば、ティアが水面上に立っていた。
(どうなっている? なぜ、水の上に立ってる? なぜ、沈まない? いったい、どういうカラクリが……)
「解せない面持ちね。私がなぜ、背後を取れたのか。私がなぜ、水の上に立ってられるのか」
ティアはクスッと含み笑いを浮かべながら、話し出す。
「簡単よ。“闘気”を足場に放射させて浮いてるだけ。
レインさんの話だと、優れた剣士は“闘気”を掌握させ、自在に操れるという話よ。私はまだまだ、“闘気”の解放までしかできないし。ニナやナルスリー、ジノ、シューテルも“闘気”の解放ができたところ。でも、“闘気”を常時、練り続けられるという利点があってね。その利点を生かして、“闘気”で残像を生み出してみたの」
「なっ――」
(なん、だと……!?)
ティアが口にしたことはとんでもないことだとフィスは理解させられる。それは壁を掴んだり、鎌を打ち立てたりしてるシノとシノアも同じであった。
「ティア!? なに、を、言ってるの……」
「“闘気”で残像を生み出すのは、どれだけ至難の業なのか、分かってるのですか!?」
声を荒げるシノアと、絶句するシノ。ティアも二人の気持ちを受け止めつつ、淡々と答える。
「――とは言っても、これはズィルバーが教えてくれた技でね。“水影鏡”っていう技でね」
彼女が口にした技名に、子リスになってるノイが反応する。
『“水影鏡”……うわぁ~。なかなか高難度の技を教えたものだね』
(ノイさん。知ってるんですか?)
『“水影鏡”ってのは、“闘気”で残像を生み出して、敵に錯覚を起こさせる巧みな技だけど、“闘気”を巧みに操らないと敵に残像だと誤認させないといけない』
(つまり――)
『つまり、極めて高難度の技だけど……ティアにはうってつけの技だね。
“水影鏡”は後の先を得意としてる人にはお似合いの技。相打ちだと思わせて、実は背後から強襲をかけることができる』
(…………)
ノイの話を聞き、シノアはムッとなる。
「また突き放された」
メチャクチャ不機嫌になった。
水が階下へと流れていき、廊下に溜まってた水位も低くなる。
床一面水浸しになってるけども、戦闘に支障はなかった。
「さて、私の手の内が明かされたとしても、不利になることはない。さあ、ここから面白くなってきたわよ」
「ここに来て、まだ笑うか」
(面白い)
思ってる矢先、背後からフィスの首を獲るかの如く、鎌を振るうシノア。
「――!? チッ……」
フィスはしゃがんで回避しようと考えた矢先、目の端にシノが近距離から矢を携え、今にでも射貫こうとしている姿を捉える。
「チッ……」
(へたに躱せば、矢の餌食か。下がダメなら――)
「上かしら?」
ティアが魔剣を振りかざしてる姿を捉える。
「さあ、どうす――!?」
この時、ティアは“静の闘気”で先を視る。
(回し蹴り!?)
「シノ!? シノア!? 退いて!!」
「「――!?」」
「遅い」
フィスはサバトンに“動の闘気”を大きく纏わせて、その場で回し蹴りする。
ティア、シノ、シノアの三人はティアの掛け声と同時に後ろへ退いた。だが、退く際、サバトンの踵が腹を掠めた。掠めた際、“動の闘気”が身体の内部に浸透した。
「ぐっ――」
「しまっ――」
「踵を掠めた……だけで、この威力……」
内蔵を軽く損傷し、喉から逆流する血を口から吐き出した。
口の中に広がる鉄の味を占めながらも彼女たちは立ち上がる。
「油断したわね」
「ええ――」
「――そのようね」
彼女たちはダメージを負ったものの、臆することなくフィスに挑みかかった。
ティアたちとフィスの戦い。
その戦いは徐々に熾烈を極めようとしていた。
フィスが持つ持ち替えが可能な大剣よる連続の刺突がティアに襲いかかるも、ティアは二本の魔剣で弾き続ける。
彼女が弾いてる最中にシノアが鎌を振り上げ、腕を切り落とそうと襲いかかる。
鎌の鋒が大剣の峰に直撃するもシノアは経験と鎌から伝わる感触から理解する。
(力が入ってない甘い一撃……)
フィスはシノアの斬り込みを大剣で防いでいる。
「ぬるい」
軽んじ、目一杯に弾き飛ばす。
吹き飛ばされるシノアは水浸しの床で蹈鞴を踏みながらも踏ん張りを見せて踏みとどまった。
その間にフィスは大剣を振り落とそうとした。だが、その動作が入る前にシノが矢を放ち、集中をかき乱している。
「こざかしい」
フィスは後ろ斜め上へ跳躍したまま大剣を振るって、水の塊を放った。
放たれる水の塊を前にシノアは憎らしげに言い放った。
「悪いけど、その技はもう通じない!」
目一杯に鎌を振るって水の塊を真っ二つに斬り裂いた。斬り裂いた際に放たれた斬撃をフィスは大剣を振るって打ち消した。そして、シノが分かりきってることを言い放つ。
「分かってるでしょうけど、その程度の攻撃じゃあ、私たちにダメージを負えないわ。それがあんたの能力だとしても――。
ただ、水を扱うだけじゃあ、私たちには届かないわ」
シノはそう言ってはいるものの、実際はそうじゃなかった。
(水属性というのは単純そうに見えて、実は奥深い能力。錬金術学科、鉱物学科を専攻してる友人から聞いた話によれば、水というのは状態変化、分子の振動によって、熱湯や氷になる。
それは魔法でも精霊でも同じ。水属性は能力上、幅広い。シンプルかつ強力な能力かもしれない。だとすれば――)
シノは学友の話を踏まえて、作戦を組み立てる。ティアとシノアには話していないが、彼女たちなら、シノよりも経験が豊富なので、対処できると信じきった。
シノは作戦を組み立てながら、矢を射る体勢を取る。
フィスはシノの構えや動きから作戦を立ててるのが見てとれた。
(なるほど。天才は天才でも、努力する天才か)
「どうやら、たった二回の攻撃だけで、そこを見抜くとはたいした小娘だ」
フィスの視線がシノを射貫く。鋭い視線で射貫かれてるシノ。だけど、彼女は、「その程度ではへこたれない」と言わんばかりの眼力で睨み返す。
シノの睨み返しにフィスは口角をほんの少しだけ吊り上げた後、言い返す。
「だが、少し訂正するとしたら、私の水が貴様らに届かない? いや、届くさ。すぐにでも、見たければ、すぐに見せてやろう。来い!」
あからさまな挑発を飛ばしてくる。
「そんな挑発で私たちが間合いを詰めると思ってる?
それが舐めてる、って言ってるのよ!!」
シノは矢を携え、言葉を紡ぎ、放たれた。
「“氷結の乱気流”!!」
矢を中心に氷の竜巻が発生し、氷の乱気流を纏った矢がフィスへと伸びていく。
氷弾の嵐が迫ってくるフィスは取り乱すこともなく、大剣を突き立てる。
「舐めてるのは貴様らの方だ――“熱流”」
技名らしき言葉を呟いた瞬間、氷の嵐が水へと変えた。
より正確に言うには、大剣から発せられる熱が氷を融解して水へ変えているのだ。
「…………」
シノは顔色を変えることなく、氷の乱気流が水の乱気流へと変えられたのを見つめていた。
「私の水が効かないの発想に至ったのなら、その逆の可能性に至らないといけない。
それが戦いの鉄則だ」
戦いにおいての定義を言われてしまった。
大量の水の塊がフィスの頭上に集まり、彼女は大剣を掲げる。
「水瀑」
大剣を振り下ろしたのと同時に水の塊が流れ落ちる。
水の塊。いや、激流がティアたちに押し寄せてくる。
激流が床に壁へ流れ落ち、激突する。
水の勢いは凄まじく、天井付近まで跳躍して、壁に剣を突き立てるティアたちですら、恐怖を抱かせた。
激流かつ高圧だったのか激流が壁や床に叩きつけた瞬間、崩壊し、大きく抉れてしまった。おそらく、階下は既に激流に飲まれた者たちで溢れてることだろう。もちろん、敵味方関係なく――。
そして、階下全体で川が氾濫したかのように水に浸かってしまったこととなった。
そして、偶然、階下にいたヨーイチとミバルはゴクッと息を呑んでいた。
足首まで浸かるほど流れ込んでくる水。
「うわぁ~」
「上でどんな戦いをしてるんだ!?」
「そんなの僕が聞きたいぐらいだよ!?」
声を荒立てるヨーイチとミバルの二人。若干、苛立ってる二人に声が飛んでくる。
「心配すんな。今の衝撃、近くに起きたものじゃねぇ。それよりも今は外に出るぞ」
「外……?」
「外には、とんでもねぇほどデケェ化物がいやがる。今、“白銀の黄昏”と“豪雷なる蛇”らであたってるが、周りへの被害が甚大じゃねぇ上に、指揮系統が若干、バラバラだ。今、シューテルの奴が向かってる。俺たちも急ぐぞ」
シーホが来て早々に別の戦場へ向かうよう言い放ち、先導する。
ヨーイチとミバルは項垂れた表情になるも仕方ないと割り切り、彼の後ろをついて行く。
「それよりも上で誰が戦ってる?」
「残ってるのはユウト、ズィルバーに、ユン、シノアたちだけだ」
「ユウトくん。まだ戦ってるの?」
「相手は千年以上も生きる妖狐じゃ、仕方ない」
ヨーイチとミバルはユウトの相手がハムラだと思ってるが、シーホは異論を飛ばす。
「違ぇ。割り込み客の相手に回って、今は建物外にいる。“静の闘気”を使えば、位置ぐらいわかるだろ?」
「シーホ。お前、言い方が悪いぞ」
「うるせぇ。こっちだって死にかけたんだぞ。ちょっとは受け流せ」
「でも、ほんとだよ。ユウトくん。建物の外にいて、誰かと戦ってる。
ズィルバーも別の誰かと戦ってる」
ヨーイチは“静の闘気”で気配を探り、ユウトの位置を知る。位置を知れば、彼は今、ハムラとは違う敵と交戦してるのを感じとれた。
「クソ~、戦場は予想以上に混戦してる」
「そういえば、メリナはどうなの?」
ヨーイチは同隊メンバー、メリナを思いだす。
「あの女なら、無事だぜ。今は“白銀の黄昏”の奴の治療にあたってる」
「黄昏の?
もしかして、共闘?」
「だろーな。“闘気”の感じからして、共闘したのは間違えねぇ。だが――」
「治療させるほどの重傷を負ってる、ってこと、だよね?」
ヨーイチは現状を把握する。
「そーだ。実際、俺だって、もう連戦するだけの体力なんざ残ってねぇ。シューテルの奴も同じだ。
あいつも相当負傷してるぜ」
「そっちもだいぶ、お疲れ気味か。シノアもシノアで“闘気”が高まりだしてる。おそらく――」
「おそらく、ここからあいつらの戦いが熾烈を極める。俺らはとにかく、外に出るぞ」
「そうだね。あっ、そうだ。東方貴族の諸侯軍にも伝えた方が……」
「いや、あの水量だと外に追い出されてる可能性が高ぇ」
ヨーイチはパーフィス公爵家軍を気にかけるもシーホは無意味だと言い張る。
不規則だが、激流が流れ込めば、退避を選ぶのは必然だ。
而して、外に出ることが今、どれほど危険なのか、ヨーイチたちは知ることとなる。
激流が階下へと流れていく。
その光景を天井付近まで避難していたティアたちを眺めていた。
だが、その中でもシノだけは避難が間に合わず、激流に飲まれてしまった。
床と壁が崩れたことでできた大穴。フィスは階上の床から下を眺める。下に目をやれば、巨大で歪なドーム状の氷の壁であった。
フィスは氷の壁の向こう側にいるであろうシノに声を投げる。
「出てこい。その程度で私の目を欺いたと思っているのか?」
氷の壁の向こう側で、シノはヒヤリと汗を流した。
「危ない危ない」
シノはフィスが“水瀑” を放たれたのと同時に、咄嗟に氷の壁を展開して、“水瀑”を防いだ。
「咄嗟に氷の壁を作ったけど、これだけの大きさとなれば、“闘気”の消耗が半端ない。
それに、あの威力に巻き込まれるとひとたまりもない。これは並大抵の防御では話にならないわね」
彼女は焦ることもなく冷静に分析をした。
「なにをやっている?」
ここで、フィスが言葉による追撃を仕掛ける。
「まさか、この程度の攻撃で臆したわけではあるまい?」
舐められた口調、舐められた言葉、舐められた態度で言われてしまうシノ。
彼女は弓の弦を走らせると氷の壁を割った。
「敵の武器が己の武器になるなら、逆もまた然り、ね」
独りごちに呟くシノ。彼女は上階の床から眺めてるフィスを睨みつける。
「分かってるつもりよ。そんな古くさい説教をあんたがしなくてもね。ついでに言えば、あんまり、子供を舐めるんじゃないよ」
氷の壁をブラインドに、いくつもの氷弾を形成する。
「“氷雪さみだれ撃ち”」
形成された氷弾が一斉にフィス目掛けて、掃射された。
氷の壁を砕いて、突き進んでいく。
而して、フィスは動じることもなく、臆してすらいなかった。
「どんな技だろうが、魔法だろうが同じことだ」
大剣を前に掲げる。
「“熱流”」
氷弾が一瞬にして水へと融解した。融解した水はフィスの後ろを通り過ぎていく。
だが、後ろへ過ぎ去ったところで、水が氷に凝固する。
「――!!」
フィスが後ろに目をやれば、いつの間にか、シノがフィスの背後を取っていた。
「“凍てつく蛇の丸呑み”!!」
弓の弦を弾いた瞬間、冷気の奔流が発生し、凝固した水ともども、フィスを氷漬けにした。
シノは凍りついたフィスを眺める。
(出てくるわね)
眺めるのと同時に“静の闘気”でフィスの拍動がまだ動いてるのを確認する。
確認したのと同時に氷を叩きわって、フィスが脱出する。頬や身体の至るどころに氷が張り付いてはいるけども。
間合いを取るように距離を離したシノはフィスにお返しを言い放つ。
「説教をもらったお礼に言ってあげる。“最良の戦術を行うときこそ、最大の危機”。これも戦いの鉄則でしょ」
言い返してやった。
彼女の言い返しにフィスは鼻で笑ったあと、「面白い」と答えた。
一方で、天井付近まで回避していたティアとシノアは壊れかけてる壁を伝って、シノの両隣に降り立った。
「全く、危なっかしいわね」
「それは、ティアも同じでしょ」
「それは私たち全員です。でも――」
「言いたいことを言ってくれたことには感謝してるわ」
ティアとシノアもフィスに言ってやりたい気持ちがいっぱいだった。
シノに言われたのは悔しいが、戦いに勝利すればいいだけの話だと割り切った。
「さて、どう戦いましょうか」
「向こうの狙いは――」
「――大方、予想がついてるけど、この山場を乗り切らないと私たちに勝利なんてないわよ」
ティアとシノアはフィスの狙いもシノの狙いも大方、予想がついてた。
ティアたちとフィスの戦い。その戦い、その狙いはたった一つ。
互いに最良の戦術。一撃必殺の準備をしていた。
フィスは大剣を掲げ、穂先に水を集める。
「“戦いの水弾”」
穂先から放たれる水の塊が弾丸あるいは大砲のように放ってくる。
その威力は大砲並で水柱を発生させ、階上の床に貫通させる程の穴ができる。
ティア、シノア、シノの三人は階下へと落ちることなく、二階で走り抜けていく。
走りながら、フィスが放ってる水弾を回避し続ける。フィスは一定の間隔かつ連続で“戦いの水弾”を撃ち続けてる。
ティアたちは敵の攻撃を回避し続ける。だけど、ティアだけは目線をフィスに向ける。
(どういうつもり? 無闇矢鱈に撃ち続けてるとは思えない。
とはいっても、この程度の技で私たちを倒せるとは思っていない。おそらく、彼女の目的は……――)
「――ッ!?」
この時、ティアは“静の闘気”でよくない未来を察知する。
「回避!」
「「――!!」」
ティアの叫びにシノとシノアはその場で急停止し、後ろへ退く。
後ろへ退いたのは、いつの間にか、走ってた先にフィスがいたからだ。
フィスはティアたちが後ろへ退いたのを見た。
「中々の反応と“闘気”の熟練度の高さだ」
口にしてから“戦いの水弾”を軽く数発撃った。
撃ち込まれる“戦いの水弾”をティアたちは“静の闘気”で弾道を先読みし、身のこなしだけで回避した。
「小娘にしてはたいした身のこなしだ」
彼女は床を強く蹴って、ティアたちを追走する。
ティアがもう一度、目線を後ろにやれば、フィスは今にでも、追いついて大剣を振り向こうとしてる。
「まずい……人魚族の特徴を脚力に流用してる!?」
「人魚族の特徴?」
シノはティアが漏らす言葉に反応する。すると、ノイが三人の脳裏に声を発する。
『人魚族は海中において世界最速。下半身のしなり。筋肉のしなりが尋常じゃない。それを脚力に転用してるなら、あの移動速度が速かったのも説明がつく』
ノイは説明づける。
『おまけに彼女は冷静さを失わないタイプでもあれば、部下の犠牲を重んじるタイプ。これはちょっとやそっとでは倒せるのは困難。
しかも、“魚王スピカ”の水を操る能力に加え、人族の数倍以上の筋力を持つ魚人族と海中内では世界最速とまで言われる人魚族特有の下半身のしなり。筋肉のしなりが掛け合わされたら、これ以上にない爆発力を生み出す。
あの移動速度を対処するには水中戦を得意とする魚人族もしくは人魚族かメランの末裔じゃないと相手にならない』
(メラン? それって、確か……)
ティアはメランの末裔、子孫の姿を思い浮かべる。
(まさか、カズじゃなきゃ、相手にならない?)
『うーん。メランの子孫がカズ、という子なら、その子にしか相手にならない。実際“魚王スピカ”はメラン単騎で仕留めてる。メランは水中戦、海上戦では無類の強さを誇ってる。
“静の闘気”で対応させるのも悪くないけど、熟練度次第で上回ってしまうから。対応しにくいのが致命傷だし。かといって、度外視にすると一気にこっちの戦力が激減する。
まさに――』
(一長一短、というわけね)
ティアは非常に不利な状況だと示唆した。
而して、フィスに追いつかれないようにティアたちも最初から最後まで全力疾走し続けてる。だが、それも体力差で追いつかれるのが関の山だった。
「にがさん」
漏らした後、高密度の魔力弾を大剣に集まっていく。ティアは“静の闘気”で最悪な未来を視たために、顔を青ざめる。
「ジャンプか前に転がって!」
言い叫んだ。
彼女が言い叫んだのと同時に、高密度の魔力弾を纏わせた大剣を振るうフィス。
それは大剣に纏わせて、大剣を振るった斬撃の延長線上を広範囲に伸びる。広範囲であるため、躱そうにも躱せられない。現にティアの叫びがなければ、シノとシノアは斬撃と化した魔力弾を回避するどころか、真っ二つにされてた未来が頭の中にこびりつく。
だが、実際――肩から息を吐き、大量の汗を流してる三人の姿が確認できたのだった。
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