英雄は自分の異能体質と運命を考える。
「『ヒーリング』……か」
「ええ。見たところ、あなた。この子の身体でのオドの循環にまだ慣れていないわね」
「ああ。この少女の身体として目覚めたのはここ最近なんだ」
「だったら、オドの循環が荒いのも頷けるわね。それにしても……」
「どうした?」
レインはこの少女の背中に触れ、あることを思った。俺はそれに反応して聞き返した。
「あなたって、両性往来者。性転換の異能体質から逃れられないね」
「……」
それにはなにも言い返せない。なぜ、自分はこのような運命なのか。なぜ、このような道しかないといけないのか。俺は今でも思っている。
昔の俺――ヘルトだった頃は戦場に走り続けた。でも、今の俺は純粋無垢に等しい少年いや少女。この時にしか、俺がどうして、自分がこのような異能体質を持っているのか知りたい。だから――
「レイン」
「なに」
俺は彼女に頼み込むことにした。
「今の俺は昔の俺のように力があるのか分からない。だから、俺を鍛えてほしいんだ」
契約している彼女に頼むことは俺の誇りが許せない。だけど、自分の異能体質を持っているわけを知りたいと思い。俺は彼女に頼み込んだ。
「いいわよ。私はあなたの契約した精霊。主であるあなたのためにどんなことでもするわ」
「ありがとう。レイン。とりあえず、今は魔術の復習を行いたい。この時代の本を読んでも魔術が劣化している。だから、キミと契約ができたこと嬉しく思う」
俺はこの時代における魔法いや魔術が劣化していることに違和感を覚えている。ルキウスの反応が一番に大きいのが俺の一番の印象だ。
「魔術が……劣化……?」
「うん。俺が勉強したとき、本を読んで。今の時代の魔術いや魔法はキミや俺が生きていた時代よりも衰退している。だから、もう一度……」
「同じ時代を生きている私から学び直そうというわけね。それならいいわ。私が付きっきりで教えてあげる」
「ありがとう。レイン」
こうして、俺は再び、レインから魔法の……いや、魔術の勉強を始めることにした。
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