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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
東方交流~決戦~
192/296

“犠牲”の副官。

 ズィルバーとユウトのところに新たな敵――。

 二人は為すべき事が成せずに、この新たな敵と戦わなくてはならない。

「チッ……こんなタイミングに……」

「なあ……俺はシノアの助けに行きたいんだが?」

 ユウトはこの状況でもシノアを助けに行こうと思っていた。

 そこに新たな刺客の登場で断念せざるを得なかった。

「そいつは悪かった。

 だが、俺たちもなぜ、蘇ったのか。今、ここで判明したところだ」

「悪いけど、少しの間、相手になってもらおうか」

 粉塵が晴れ、姿を露わにする二人の青年。

 一人は褐色肌の男。もう一人は色白の男。

 どちらも“闘気”の量と質が異常なほどに高レベル。いや、大英雄クラスの“闘気”を放っている。

「…………」

 ズィルバーは人影を見たときから、「まさかな」と思ってたのが姿を目にしたことで確信へと至ってしまった。

「チッ……()()()()()()()()()()()()()()……」

『ズィルバー。彼らは確か……』

 ここでレインが頭の中に語りかけてきた。

(ああ、こいつらはかつて、俺が相手をして、討ち倒した大英雄(怪物)共だ。

 しかも、何の因果か……東部を侵攻してきた際、戦った大英雄(怪物)じゃないか)

 ズィルバーは今、姿を露わにする二人のことを知っている。いや、正確に言えば、まだヘルトだった頃の戦友。

 “魔王傭兵団”の本拠地で死闘したアキレスやヘクトルと同様、千年前に殺し合った大英雄(怪物)共だ。

「ユウト!」

「ああ、分かってる」

(急ぎたいのに、こんなのと相手にしないといけないのか)

 ユウトは胸中で嘆くに嘆いていた。

(キララ……お前、こいつらを知ってるか?)

 ユウトは頭の中で契約精霊(相棒)であるキララに問いかける。

『知ってる。そいつらは嫌でも知ってる。忘れたくもない強敵だった』

 キララはうそを言わずに淡々と語り出した。

『そいつらは母親が違うだけで兄弟だ』

(えーっと、異母兄弟?)

『…………』

 ユウトは丸出しの問い返しにキララは沈黙する。

 “沈黙は金なり”と言わんばかりの返答の仕方である。

『褐色肌の男がアヴジュラ・P・クシャトリヤ。色白の男がカンナ・P・クシャトリヤ。現代では存在してはいけない大英雄だ』

(押しも押されもしない大英雄か。

 ヘクトルの時といい。今回も俺って……貧乏くじを引かねぇといけねぇのか)

 ユウトは自分自身に嘆く。このような強敵ばかりと戦わされるという現実に気持ち的に萎えて仕方なかった。

 ユウトの気持ちが“静の闘気”を通して、ズィルバーも肌で感じとっている。

(ユウトの気持ちがよく分かるぜ。

 俺も俺で最近、貧乏くじを引かされてる気がする)

 ズィルバーもズィルバーで自分も貧乏くじを引かされてると錯覚する。

『あぁー……ドンマイ』

(レイン。ここで励まされても俺は役得しないよ)

 レインから励ましの言葉が投げかけられてもズィルバーは気にする気概がなかった。

「だが――」

 ズィルバーは気持ちを切り替えて、カンナとアヴジュラを見る。

 姿形こそ、千年前から変わっていない。むしろ、()()()()()()()()

(変わらなさすぎるのもいいが……カンナもアヴジュラもアキレスとは別に()()()()()()()()()()からな)

『異常な硬さ……そういえば、()()()()()()()()よね?』

(そうだ。生まれついて持っていたとされる金色の鎧が……)

 ズィルバーはカンナを凝視する。

 カンナの身には鎧の装具が身に付けられていた。

 腕輪、篭手、足甲、とげとげしい首輪と――。

 如何にも防御の呪法が施された鎧を身につけていた。

 アヴジュラも金色の鎧を所持しているが、白コートに身を包み込んでいるため、鎧を身につけているのか見た目では判別ができなかった。

 とりわけ、カンナの立ち振る舞いや動きの所作からズィルバーは()()()()()()()()

(立ち振る舞いから動きから雰囲気からヒロにそっくりだな)

『もしかしたら、ヒロって……カンナの子孫かも』

(あり得る。俺もヒロの本名(フルネーム)を聞いたとき、思わず疑った)

 ズィルバーの目にはカンナがヒロに似すぎていた。

 武器こそ違えど、動きの所作からヒロを想起させる。

(ヒロは鎌で、カンナは槍か……何から何まで同じだと気が滅入るから。

 そこは問題ないけどな)

 無理やり気持ちを切り替えて、感覚を研ぎ澄ませることに意識を集中させる。


 この状況でも感覚を研ぎ澄ませていくズィルバーにユウトは唖然とするも考えるだけ無駄だと悟る。

(変にバカなことを考えるよりかは、この戦いのことだけに集中しよう)

 余計な感情、思考を欠如させ、これから起きる戦いのことだけに意識を集中させた。

 軽く息を吐いて感覚を研ぎ澄ませていく。

 感覚が研ぎ澄まされていくズィルバーとユウトを見て、新たな敵――カンナとアヴジュラの二人は深い深い笑みを浮かべていた。

「なるほど」

「ふむ。長きに渡る眠りにつき、未来の世界に飛ばされたときは驚きの連続だったが、この時代にも俺たちに挑もうとする敵がいるとは思わなかった」

「歴史を知れば知るほど、私たちがどれほどの実力者なのかわかるというのに……臆さずに挑みかかろうとする姿勢は見事という他ない」

 カンナもアヴジュラも敵であるズィルバーとユウトに対する賞賛の言葉を言う。

「しかし――」

 ここでカンナは外で戦っている二人――ユンとハムラに視線を飛ばす。

「まさか、あの面妖な女狐とこうして出会えることが……()()()()()()()()()()()()()()()な」

「確かに、()()()()()()()()()()()()()か……身を以て分からされるな」

 カンナもアヴジュラも現代が神代と違い、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のかを身を以て教えてくれる。

 その言葉にズィルバーは僅かに眉を顰める。

(異常? それって、つまり――)

 ズィルバーの中で()()()()()()()()のが()()だけではなく、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 兎にも角にも空気や流れが変わったことを肌で感じとっている二人にカンナは視線をズィルバーに向ける。

「アヴジュラ。相手を決めよう。俺は銀髪の少年にする」

 カンナが相手を指名すれば、必然的にアヴジュラは残ってる少年を相手にしないといけない。

「勝手に決められるのは癪だが……では、私は軍属っぽい格好をした少年にしよう」

 アヴジュラはユウトを指名される。

「勝手に相手が決まってしまったな、ユウト」

「そのようだな」

 お互い、敵同士。だが、今回ばかりは共闘することになった二人は頷き合った後、“獅子盗賊団”の本拠地から出て、二人して林の中へと消えていった。

 林の中に消えていく二人を追いかけるようにカンナとアヴジュラの二人も“獅子盗賊団”の本拠地を出て行く。


 四人が出て行くのを視界に納めたハムラ。

 ズィルバーとユウトに目を向けるよりも突如として現れたカンナとアヴジュラの二人に目を向ける。いや、目を向けるというより、目を見張った。

(なぜじゃ。なぜ、()()()()()()()()()()()()()。あの二人が戦場で死んだのは妾の耳にも届いておる。

 何者かに術を施されて、蘇らせたのか? いや、あり得ぬ。カンナもアヴジュラも大英雄じゃ。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 不可能だと言い張るハムラ。

 そんな彼女の眼前に拳が迫り来る。

「余所見はいけねぇぜ!」

「――ッ!」

 バキッ! とそこそこな一撃が顔面に叩き込まれた。

 蹈鞴を踏まされるハムラ。

 口端から垂れる血を拭いながら、ユンを睨み据える。

 ユンは既に“神威(トネール・カフト)”を維持するだけの“闘気”がなく、ただただ“動の闘気”を纏った拳を叩き込んだだけにすぎなかった。

「どうやら、限界が近いようじゃな」

「ああ。限界は近ぇよ」

 ユンはあっさりと自分の限界が近いのを認めてしまった。

「だが、それがどうした? 限界なんざ超えるためにあるんだろ?」

 言い返しにハムラはフフッと鼻で笑った。

「まだまだ青臭い小僧じゃな」

 敗北する気がないと言い切られ、嘲笑するだった。




 一方で、異様な“闘気”の奔流を放ったオピス。

 その奔流を回避したシノとシノア。

 見たことがない技に動揺したというよりも、感じたことがない異様な“闘気”に目を見張ってた。

「なんて一撃……」

「とても獣族(アンスロ)が放つ技とは思えません」

 二人はオピスが獣族(アンスロ)なのは理解できても、今の技の本質から見て、獣族(アンスロ)特有の技とは思えなかった。

 しかも――

「見たところ、彼女は妖鹿族(ヒルシュ)。鹿の力を最大限に生かす突進力で攻撃してくるはず……」

「そのアドバンテージを無視しての攻撃……魔族(ゾロスタ)の特徴を最大限に生かしていますね」

 シノとシノアはこれまでに得た情報を互いに確認しあい、弱点がないか探っている。

魔族(ゾロスタ)獣族(アンスロ)の特徴を挙げれば上げるだけ、キリがないけど――」

「異種族には異種族特有の弱点は必ず、どこかに存在します。後は――」

「その弱点が見つければいいんだけど……」

 二人はオピスとエラフィに勝つため、弱点を探り、そこを突こうと戦いながら、観察していた。

「オラオラ。どうしたどうした?」

「うぐっ!」

 オピスがくりだす強烈な猛攻を前にシノはガードするのが精一杯だった。

 オピスの見た目は妖鹿族(ヒルシュ)。なのに、妖鹿族(ヒルシュ)の特徴である二本角を生かさずに拳や蹴りという体術主体で戦っている。

 これには、攻撃を受け続けているシノも最初は気づかなかったが、徐々に違和感を覚え始める。

 逆にエラフィはというと――。

「あら、随分と力があるのですね」

「むぅー」

 伸縮自在な腕を生かし、綱引きが行われていた。

 引っ張ろうとする力に対抗するためにシノアも全身の力で引っ張る力に対抗している。

 エラフィの見た目は妖蛇族(スネイク)。しかも、下半身は完全に妖蛇族(スネイク)なのに、両腕がスネイクの特長である伸縮自在を生かしているだけで、それ以上の()()()()()()()()()()

「うーん」

(おかしいですね)

 シノアはここで違和感を覚え、強まっていく。

(普通だったら、真の力というのを最大限を生かして、一方的に私を追い詰めるのが吉のはず……それなのに、やっていることは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 もしかして、まだ、()()()()()()()()()()()()()?)

 ここに来て、不確かな弱点が露呈した。

 その弱点はシノも気がついていた。

 シノは実戦経験が乏しい。

 而して、生まれ持つ観察眼を駆使して、オピスの戦いの既視感を覚える。

(どうしてかしら……彼女がしていることは真の力とやらを使用する前と同じ戦いの運び方……普通なら、妖鹿族(ヒルシュ)の最大な特長を生かすのが吉なのに……どうして、それを生かさないのかしら? どうして、“星獣”と言われる力を生かさないのかしら?)

 違和感を覚えざるを得なかった。

 シノとシノアも“星獣”がどのような生き物なのか知らない。どのような能力を持ってるのかも知らない。

 ただ、その能力の副産物を二人は知っている。

 それはティアを含め、“白銀の黄昏シルバリック・リコフォス”全体で着ているコートがそれだ。

 ティア曰く、コートには防寒機能が備わっていて、北方の北海でも寒さを感じさせないほどの性能を誇っていると話してくれた。

 その材料に“星獣”の一匹――“大獅子シリウス”の毛皮が使われていると、ティアは話してくれた。

 さらに言えば、“星獣”に詳しい精霊(人物)と契約している。

(ノイさん。どうして、彼女たちは“星獣”とやらの力を使わないのでしょうか? 特殊能力を使うための時間を要するのか。もしくは()()()()()()()()()()()のでしょうか?)

 シノアは核心を突く問いをノイに投げる。

 すると、ノイの返答はシノとシノアの疑問とは違う解答だった。

『“星獣”に特殊能力というのは存在しない。“星獣”は特殊な環境下でのみ生息し、一度でも牙を向けたり、殺したりしたら、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

(大災害、ですか?)

『シノアの記憶を見たけど、シノアも既に体験している。

 “テュポン・サイクロン”。アレも“星獣”を討伐され、()()()()()()()()()()()()()()()だ』

(勝手に人の記憶を覗かないでください! ですが、あの大竜巻が“星獣”の名残とは思いませんでした)

 シノアからしたら、大昔の人はとんでもないことをしたものだと腹が立ちたくなるも生きるために“星獣”を狩り尽くしたのなら、致し方ないと思ってはいる。

 子供みたいな考えだと、シノアは重々分かっていた。

(今更ですが、私も精神()だけは妙に大人になってきていますね)

『確かに今更な話だね』

 ノイですら、シノアが成長しているのは精神()だけとは同情する。

『だが、共通として“星獣”は特殊な環境下に身体が適応するように魔力親和性が桁外れに高いことが特徴だ。

 その特長を生かせば、()()()()()()()()()()ことは可能だ』

(硬くなる、ですか……)

 ここでシノアは訝しむ。

「どうしたの、シノア中佐?」

「中佐は言わないでください。ですが、今、ノイさんが“星獣”の特徴を言ってくれました」

「どんな特徴かしら」

「何でも特殊な環境下に身体が適応するように魔力親和性が桁外れに高いとのこと。

 その親和性を生かせば、皮膚や筋肉を硬くすることができるようです」

「つまり、適応能力が高いのね」

(あれ?)

 シノはシノアの話を聞き、違和感をさらに強める。

「それだったら、なんでその()()()()()()()()()()()()かしら?」

「私もそこが気になっていました」

 背中越しに語り合う二人にオピスとエラフィが追撃を仕掛ける。

 唸る拳としなる拳が迫り来る中、シノとシノアは“静の闘気”を駆使して、小さな傷は負うものの致命傷だけは避けていた。

 しかし、それはシノだけの話でシノアは鎌を回して、しなる拳を弾いていた。

 逆にシノは唸る拳を致命傷になる攻撃だけは避けて、オピスに接近する。

 接近してくるシノを見つめたまま、オピスは彼女の武器を再度、確認する。

「ハッ! 弓と矢じゃあ、あたしにダメージなんざ入らねぇぞ!」

「お首を掻くのも今のうちよ」

「そもそも、弓なんざ中遠距離武器だ。泣き所の近接に向いていねぇんだよ!」

 大振りの一撃を振るい、シノの顔面に殴り飛ばそうとする。

 シノは迫り来る拳に身体を捻らせて回避する。

「なに!?」

 オピスの視界からシノの姿が消える。

「武器の良し悪しが戦いを左右するなんて思わないことね」

 懐に入ったシノは矢を携える。

「貴様ッ!?」

「弓術――“極点一矢”!!」

 オピスの土手っ腹に強烈な一撃が射貫かれた。

「ガッ!?」

「オピス!?」

 血反吐を吐くオピスにエラフィの目に動揺が走る。

「余所見とは随分と余裕ですね」

 クスリと笑みを浮かべるシノア。彼女が持つ鎌の刃が閃く。

「“残雪鎌”!」

 閃く斬撃がエラフィの身体を斬り裂いた。

 エラフィの皮膚は蛇の鱗。その鱗すらも斬ってみせた。

「――ッ!?」

 床に血飛沫が零れ落ちる。

「「…………」」

 今の一撃で()()()()()()()()()()()()()

「あなた……攻撃と防御に“闘気”を割り振れないじゃないのかしら?」

「しかも、“闘気”の総量から見て、長時間も鱗を硬くすることもできない」

「「――ッ!?」」

 シノとシノアが見つけた弱点にオピスとエラフィは鈍い反応を示す。

 オピスは腹に突き刺さった矢を引き抜き、左手で傷口を抑える。

 エラフィに至っては大量の脂汗を流し、傷口から血がドクドクと流れ続けていた。

 傷口から血を流し続けてることからオピスとエラフィが使用してる“呪解”には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とシノとシノアは考えついた。

「それでどうなのかしら?」

「私の仮説の答えは?」

 ジリジリと詰め寄る二人にオピスとエラフィは観念したように答えを述べる。

「正解だ。“呪解”ってのは“闘気”の消耗が著しい……」

「本当のところ、本来の異種族の力を生かす以外に“闘気”を維持することができません。防御面に“闘気”を割くことができませんでした」

「見たところ、その力はぶっつけ本番に思えるけど?」

「ああ。ぶっつけ本番さ」

「そもそも、この力は……呪術によって、“魔族化”した際、種族本来の力に“星の獣”の力と融合させたもの。

 その()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のは道理です」

「それをお前らが弱点として突いた……それだけの話だ、よ」

 息を切らすオピスとエラフィ。

 “呪解”を維持するだけの体力いや魔力が残っておらず、立っているだけで精一杯だった。

「ク、ソ……これだったら……」

「“呪解”なんて使わずに、魔族(ゾロスタ)本来の力を使えば……よかった……」

 ドサッと倒れ伏すオピスとエラフィ。

 呆気ない幕切れにシノとシノアも拍子抜けにあった気分。


「「…………」」

 二人の顔つきも後味が悪く、勝ったという爽快感を持てなかった。

「結局の所、新しい力を使っての自滅ですか」

「なにごとも挑戦だけど、それなりに鍛錬すれば、十二分に戦えたのに……残念……」

「そうですね」

 シノとシノアは深い溜息をついた。

「このままじゃあ、不完全燃焼ですし」

「ティアの助けに行きましょう。“死旋剣”が相手じゃあティアも苦戦するでしょうから」

「そうですね」

 二人は駆け足でティアのところへと急いだ。


 だが、その頃、フィスは“静の闘気”でオピスとエラフィが倒れた気配を感じとった。

「……――――」

 二人がやられた気配を感じとった途端、空洞がある剣に“闘気”が満ちていく。

「えっ――!? な、なに!?」

 いきなりのことで困惑するティア。彼女はそのまま、剣の重さに弾かれてしまった。

 フィスは目を瞑り、倒れた部下への労いの言葉を投げる。

「オピス……エラフィ……佳く戦った」

(慣れない力でよく善戦した)

 倒れた部下に対する情が深い人物なのが目に受けられる。

 フィスは口元まで覆われてる服のファスナーに手を取り、下げていく。

 ファスナーを下げて、開けてくるインナーにティアの目が行く。

(うわー。着やせするタイプだったのねー)

 と、思っていた矢先、ティアは目にしたフィスの右胸の上部分に刻まれた数字を――。

 数字は“3”と刻まれていた。

「まさか、“死旋剣”の中であなたが三番目だというの?」

「私が三番目? 私の力の全てなど、まだ小娘に見せた覚えがないぞ」

 ファスナーを下ろしきったフィスは大胆に素肌を晒した。

 晒された素肌に見惚れることもなく、身構えるティア。身構える彼女にフィスは躊躇なく、振り下ろしてきた。それも“闘気”で満ちた剣を――。

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