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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
東方交流~決戦~
182/296

『犠牲』の死旋剣。

 バリン、バリン。

 禍々しい“闘気”によって粉々にされる窓。

 壊れた窓越しに対峙するユンとハムラ。

 双方の黒い瞳が見つめ合う。

「この人が……ハムラ……」

(若い……いや、どう考えても若すぎる……とても、千年以上も生きてるとは思えない)

 ユンは自分と対峙してる女性がハムラに思えなかった。

 ユンが動揺してるのを見抜かれたのかクスッと妖艶な笑みを浮かべる。

「ッ――!?」

 全身に鳥肌が立ち、背中に寒気が走った。

 ユンを鼓舞するかのようにネルが脳裏に語りかける。

『間違えない。()()()()()()()()()()ようだが、間違えなく、彼女がハムラだ』

「えっ!? 呪術で若作り!?」

 ユンからしたら、呪術にそんなことができるのか、と驚愕を禁じ得ない。

 ユンの叫びと動揺がハムラの耳に入ったのか。つい、微笑んでしまった。

 いや、腹を抱えるほどの微笑みだった。

 ユンはカアッと顔を真っ赤にして睨みつける。

「バカにしてるのか?」

「いや、バカにしとらん。千年、経っても血は血じゃな」

「ん?」

(血は、血……?)

 荒唐無稽な言葉を言うハムラにユンは意味が分からず、首を傾げる。


 ハムラの脳裏には千年前、ベルデと対峙したとき、彼に言われた言葉とユンが同じ言葉を吐いたからだ。

 それを笑わずして、いつ笑うのだ、というのがハムラの心境だった。

 ハムラは目尻から零れる水滴を拭ってから雄弁に語り出した。

「妾は妖狐族(フォックス)じゃが。生まれてこの方、呪術をとことん磨き続けておる。

 ベルデの子孫……確か、ユンと申したか。お主もそれなりに呪術を習得しとるようじゃ」

「ッ――」

(そこまで見抜くのか)

 僅かな動きから熟練度合いを知られたことに苦い表情を浮かべる。経験値の差がここで出るとは思わなかった。

「お主はまだ若いからな。呪術を磨けば、自ずとベルデや妾の領域まで到達するじゃろう」

「ここで、あんたを倒せば、の話だがな」

 ギュッと拳を握り、バリバリと稲妻が迸る。

 ハムラは僅かに目を見開き、クスリと深い笑みを浮かべる。

「そうか。お主は既に“雷帝ネル”と絆を強めたのか」

 ジリッと構えだすユン。

 ユンの両腕、両脚に装着された金色の手甲を見るハムラ。

 彼女の瞳には、かつて、自分を倒した。金色の爪を装備したベルデの姿を幻視し、ユンと重ねた。

「千年……妾はお主らの血族を根絶やせることを夢見しながら待ち望んできた。

 左腕に付けられた、この傷が、『忘れな!』と言わんばかりに訴えてくるのじゃ」

 ハムラは臀部から九つの尾が出てくる。

 手入れがされているのか滑らかかつ美しかった。

「奴の血を引く者たちを八つ裂きにせぬ、と、この痛みから解き放たれん!」

 自然体のまま、戦う姿勢を取るハムラ。

「そんなことは知らないが、一つだけ言えることがある」

 ユンはハムラの言葉を、戯言を聞きつつも言いたいことが一つだけあった。

「過去の遺恨で……俺たちを巻き込むんじゃねぇ!!」

 気持ちが荒ぶり、放電するユン。

 放出される稲妻を肌に掠めながら、ハムラは目を鋭くしていく。

「では、その遺恨を断ち切ってみるがよい!!」

「言われなくても――そうするよ!!」

 ユンは右拳に“動の闘気”を流し込み、稲妻を纏わせた。纏った拳でハムラへ一直線に殴りかかった。




 ユンがハムラと刃を交えたのを感じとった一同。

 ユンとハムラが纏った“闘気”が交錯し、衝突しあったのを誰もが“静の闘気”で感じとった。

 しかし、感じとったのはズィルバーやティアといった子供たちが大半で、レイルズ率いる大人たちは一部しか感じとれなかった。

 これは、日頃から己を鍛え続けてるか鍛え続けていないかの差である。


 移動している最中、ティアたちは開戦前にヒロから教えてもらった情報を洗いざらい思いだす。


「“三王”と“死旋剣”?」

「うん。それが“獅子盗賊団”の組織構図だ」

 ヒロは盗賊団にいた頃の記憶を知ってる範囲で教えてくれた。

「あの男は私利私欲かつ強欲な男だ。部下の厳選も選りすぐりの精鋭だったと思う。でも、それは“三王”だけの話で、“死旋剣”より下はかなり非道なことをしてる無理やり連れてきたっていう話だ」

「外道ね」

「まさに、盗賊の鑑だ」

 ティアとシューテルは“獅子盗賊団”の提督――ヴァシキを蔑んだ。

「でも、選りすぐりなのは事実。

 もし、“三王”が生きていたら、“四剣将”クラスじゃないと相手にできない」

 ヒロの言葉に動揺が広がるもティアが言葉の裏を読む。

「裏を返せば、私やシノ、シノアだったら、相手にならないということね」

「あは~、その人たちって、傭兵団の“炎王”よりも弱いんですか?」

 シノアはかつて、対峙した“炎王”センよりも“三王”は格下なのかと言わんばかりの態度だった。

「実際、“三王”は精霊と契約した人族(ヒューマン)だ。“死旋剣”の大半は異種族よりが多い」

「“魔族化”した段階で既に人族(ヒューマン)やめているのに……なにを考えてるんだか……」

 ズィルバーはヴァシキの考えが理解できなかった。

「しかも、“魔族化”というので異種族になるんだろ? 精霊は人族(ヒューマン)以外と契約できないんだよな」

 ユンはネルに話を振れば、彼女はその通りだ、と言わんばかりに頷いた。

「ユンの言うとおりで、精霊は人族(ヒューマン)としか条約を結んでいない」

 ネルは知ってる範囲のことを教えた。

 ネルの意見に便乗するようにキララが助言した。

「元々、精霊は排他的な考えが多い。だが、リヒト、レイ、ヘルトたちのおかげで()()()人族(ヒューマン)とだけ関係を築ける条約を結んだ」

「精霊の考えは排他的だ。異種族とは繋がりを持たない。これは人族(ヒューマン)との“半血族(ハーフ)”でも同じだ。精霊は異種族の血を受け入れたくないという考えがある」

 ノイがより詳しく教えてくれた。

「でも、レイ様だけは違ったわ。レイ様は耳長族(エルフィム)との“半血族(ハーフ)”だけど、()()()()()()()()()()()の“半血族(ハーフ)”」

「[女神]様は精霊と契約できた……」

 今までの常識を覆す偉業を成し遂げた人物――それが、[女神]レイなのだ。

「レイ様は慈愛の心に満ち溢れていた。精霊王は彼女にだけ、精霊と心を通わせることを許されたのだ」

「ひとえにレイの懐の深さと心の広さが他者を認めさせた」

 キララとノイは[女神]レイのことを敬愛すべき人物だと心に刻み続けている。


「それで、だ。“死旋剣”の大半が異種族の可能性が一番高い」

 ヒロは話を無理やり戻したが、彼女の言葉に信憑性があったのも事実だ。

「だがよぅ。“魔族化”されたら、理性を失う可能性だってあるんだぜ。その“死旋剣”が全滅してる可能性もあるんじゃねぇのか?」

 シューテルがなくもない可能性を提示する。その可能性にはヒロも最初は考えていた。

「僕もそう思ったんだけど……」

「だけど?」

「その可能性が低いと思うんだ。特に、フィス。ヌッラ。デスト、あたりなら、平気で“魔族化”すらも耐えきってしまう上に異種族としての力が向上している可能性が一番高い」

 ヒロは“魔族化”を耐えきってみせる者たちがいるのを告げられた。

「そもそも、無理やり、“魔族化”させる方法は千年前から存在している」

 キララが過去にも他種族を“魔族化”させて“魔族(ゾロスタ)”にさせる方法が存在してることを明かされる。

「それは本当?」

 ヒロが疑るように聞き返す。

「本当だ。しかし、現代となってはそれを知る者は少ない。いや、いないに等しい」

「なにしろ、それは非道な実験だったからね」

 ノイが凄惨な出来事が繰り返していたことを触り程度だけ語った。

「しかも、その方法が()()だからだ」

「おい、俺も呪術を学んでいるんだが!?」

 キララの言葉にユンが前のめりになって、自分がそうならないか心配する。

「安心しろ。その方法は人族(ヒューマン)には扱えん」

(なにしろ、人族(ヒューマン)は精霊に愛されてる種族。そして、()()()()()()()()()……呪術の闇深さを拒絶反応を示す)

 と、キララは心の内で呪術の禍々しい部分が()()()()()()()()()()のを口にした。


 キララが言おうとしなかったことはズィルバーにもわかる。

(最初から呪詛を取り込みたいのなら、ともかく、普通は呪術なんて忌み嫌うものだからな)

「そもそも、呪術の基本は妖狐族(フォックス)から始まったとされる伝承がある。ハムラは妖狐族(フォックス)だ。

 他種族を“魔族(ゾロスタ)”にさせるぐらいは朝飯前だろ」

 キララは敵大将の底知れなさを改めて実感させられる。


「僕の直感だけど、“死旋剣”は既に“三王”よりも強くなってる気がする」

 ヒロは“死旋剣”が何か秘めた力を持ってる気がして、気が気でなかった。


 そして、予感は的中する。




 敵を、幹部を倒すために分かれて行動するズィルバーたち。

 ズィルバーはユウトを連れて、目指す場所へ駆けていった。

「ズィルバー。どこに向かってるんだ?」

「決まってるだろ。ユンのところだ。相手はハムラだ。

 今のユンでも苦戦は必至だ」

「そうか。強くなってるんだから。ユンが負けねぇと思うけど?」

「その思い込みが命取りだ。ここはもう戦場になった。一対一(サシ)の勝負なんて考えるな。

 今のユンは英傑の道に踏み入れたとはいえ、大英雄になるまでの道程はまだ遠い。敵は既に大英雄クラスの怪物。怪物に勝つためには俺たちが加勢しないといけないだろ?」

 ズィルバーは至極真っ当な意見を投げ、ユウトの反撃を言わないようにする。

「それに――」

「それに?」

「ユンもカズもユウト(キミ)新なる神の加護(摩訶不思議な力)()()()()()()()()()()

「本質?」

 ズィルバーがあえて強調した意味。ユウトには理解が及んでいない。


 摩訶不思議な力……新なる神の加護は()()()()()()()()()()人族(ヒューマン)の身体で権限が可能なこと。

 故に本質を理解していけばしていくほど、人族(ヒューマン)には過ぎた力なのだと理解させられる。

「ッ――!

 こっちだ!」

 ズィルバーの案内で部屋に押し入れば、二人は目にする。


 ユンがハムラに圧倒されている状況を――。




 同様にティアたちも敵を倒すために奮闘していた。

 道行く先で出くわす理性の欠片もない“獅子盗賊団”の雑兵共。

「邪魔よ」

 ティアが“気合い一閃”で()を薙ぎ倒していく。

 無様に散っていく敵を眺めるシノ。

「やりすぎな気がするけど、敵は既に人以下に堕ちてしまった以上、情けなんて不要ね」

「そもそも、あれを人族(ヒューマン)魔族(ゾロスタ)と同じにするには無理があるかと……あんな犬畜生、触りたくありません」

 シノアは真面目かつ正直に言い放った。

 言外では「あんなの見てるだけで気持ち悪いです」と言い放っていた。


 シノアの弁にティアとシノも賛成と言わんばかりに苦笑いを浮かべる。

 そして、彼女たちの目の前に敵が姿を見せる。

「このような戦場で、苦笑いができるとは……存外、余裕があるようだ」

 彼女たちの前に現れた敵はフィスだ。

 白髪褐色肌の女性。肌の感じからティアは雰囲気的にノウェムに似てる感覚を覚える。

「あなたは魔人族(ダークマン)になったの?」

 故にティアは胡乱げに訊ねた。

「そうだ。私は元人族(ヒューマン)だ。“魔族化”したことで魔人族(ダークマン)へと()()()()()()()

「生まれ変わった? 魔族(ゾロスタ)に成り下がったとしか思えないんだけど?」

 ティアはヒロの気持ちを汲んで、そう言い放つ。

 彼女の言葉にフィスは反論せずに真摯に受け止めて答えてみせる。

「そうだな。魔族(ゾロスタ)に成り下がったと言われてもおかしくない。私はヴァシキへの怒りと恨みで魔人族(ダークマン)に成り果てた愚か者だ」

 自らの卑下する姿勢にティアは触り程度の事情を察した。

「そう。自分で自分を卑下するんだ。いえ、()()()()()()()()()()()()()()()っていうわけ?

 随分と自己評価が低いのね」

 ティアはフィスに対して、自信のなさを指摘する。

 その言葉にフィスは眉を顰めるも言い返す気すらなかった。

 しかし、フィスとて、言いたいことがあった。

「一つだけ聞こう」

「何かしら?」

「ヒロはそっちでは元気に過ごしているか?」

 フィスの言う“そっち”とは“白銀の黄昏シルバリック・リコフォス”での生活のことだろう。

「元気と言えば、元気ね。自分が耳長族(エルフィム)のことを気にしているけど、ズィルバーは元来、そのことを気にしない男よ。

 彼は異能体質上、()()()()()()()()()()()から」

 ティアの返答に事情を察したフィスはフッと笑みを浮かべる。

「そうか。あの娘が元気で過ごしているのなら、これ以上のことは聞かない。私は自分を犠牲にして、あの娘の将来を選んだ。

 そして、今はお姉様の目的を阻む敵を排除することだ」

 彼女は背中に背負ってる剣を抜く。

 ただ、フィスが振るう剣に違和感を覚えるティアたち。

「ん?」

「なに、あの剣……」

「刃はあるのに、中が空洞……」

 そう。フィスが振るう剣は中が空洞だった。


 しかも、それだけじゃなかった。

「フィス様!?」

「お前ら、フィス様に刃を向けようってのか!?

 しかも、まだ十代の女の子かよ」

 彼女を守るかのように二人の女性が立ちはだかる。

 フィスは自分を守りに来た二人に目を向ける。

「オピス、エラフィ」

「「ッ――!」」

「見た目はどうであれ。その娘たちは敵の主戦力。

 油断するな。全力で叩き伏せろ!」

「はい」

 エラフィという少女とオピスという少女が頷きつつ、ティアたちと対面する。

 敵と対面している際、ティアはオピスっていう少女とエラフィっていう少女の実力を“静の闘気”で測る。

(褐色肌になっていないところを“魔族化”しても理性を保てるだけの実力を持ってるということ、かしら?

 ズィルバーに聞かないと分からないけど、異種族であることは間違えない。と、なれば――)

 ティアは胸中で手立てを考えた。

「お互い、三対三だし。一人、一人ずつってのはどうかしら?

 それだったら、お互いにフェアでしょ?」

 ティアからの提案にエラフィは不愉快そうにティアを見つめるもフィスが彼女を宥めさせる。

「いいだろ。その提案に乗ってやる」

 どうやら、最初からフィスは何人相手になろうが叩き伏せるという自信に満ち溢れていた。

 自己評価が低いのに、自信に満ち溢れている。どこか矛盾しているのをティアは気づいていた。

 ティアが勝手に提案されて、不服そうにするシノとシノアだが、決まった以上、文句を言ってもしょうがないと言わんばかりに自分から相手を選ぶ。

「じゃあ、私は……額から角を出してる女の子」

「では、私は白い鱗をしている女の子で」

 すぐさま、廊下を蹴って、フィスたち三方向を陣取る。


 三方向に陣取られたことでフィスはともかく、オピスとエラフィが超不機嫌とまでに顔を歪める。

「一対一で勝てると思ってるのか?

 バカにしやがって!!」

「不愉快極まりません!」

 射殺さんとする目つきでシノとシノアを睨みつける。

 困った部下を持ったなと思い、フィスは肩を落とす。

「お前たち、冷静になれ。

 相手はただの人族(ヒューマン)じゃないのは確かだ。

 油断するなと言ったはずだ。

 全力でねじ伏せろ、と言ったはずだ」

 苛立ちを見せるフィスにオピスとエラフィは自分の非を認めて大人しくなった。

「申し訳ございません」

「……はい」

 フィスと対峙してるティアはフィスとオピス、エラフィとの上下関係を見る。

(なんだかんだでいい上下関係ね。

 盗賊団のメンバーとは思えない信頼関係ね)

 見て分かるだけの情報が読み取れた。

「まあ、それも私には関係ないことだけどね」

 ティアは腰に携える魔剣――“天羽々斬”を抜く。

 フィスはティアが剣を抜くまでの流れに隙がないのと、構えた際の姿勢にも隙がないことからかなりの手練だと見て取った。

(あの歳で、あそこまでの実力か。なるほど。

 傭兵団の“三災厄王”の一人、“炎王”を倒したのも頷ける。

 漲る“闘気”からも亡き“三王”すらも相手になれるか分からない。おそらく、“魔族化”した“死旋剣”じゃなければ、相手にならないか)

 ティアが剣を構えたように、フィスも空洞のある剣を構えた。

 互いに完全に集中し、研ぎ澄まされていくのが見て取れる。

 研ぎ澄まされていく感覚にはオピスとエラフィも感じとっていた。

「チッ……割り込むのは無理か」

「仕方ありません」

 オピスとエラフィも自分の戦う敵に集中した。

 敵が集中していくのに対し、シノとシノアも集中し出す。


「ん?」

「…………」

 オピスとエラフィも先ほどまでの自分がバカらしく思えた。

(どうやら、ただの女ってわけじゃあなさそうだ)

(前言撤回ですわ。フィス様の言うとおり、気を抜いてはいけませんわね)

 拳を慣らすオピスと蛇腹剣を手にするエラフィ。

 たいして、シノは弓矢、シノアは鎌を構える。

(獣じみた雰囲気……“獣族(アンスロ)”ね)

(見た感じ、やりづらそう……)

 シノはオピスの雰囲気から種族的に“獣族(アンスロ)”部類だと読み取り、シノアはエラフィの武器からどう戦おうか思案していた。


 そんな二人とは関係なく、ティアはフィスと対峙し、“静の闘気”で先を読み合っている。

(見たところ、ただの魔人族(ダークマン)とは思えない。私の直感と“静の闘気”が告げてる)

 対峙してるからこそ、わかる。

 フィスも強敵であることが――。

「さすがに、そう簡単に攻め込んでこないか。“白銀の黄昏シルバリック・リコフォス”の副総帥……それ相応の判断力を兼ね備えてるようだ。

 だが、私も大人だ。自分から攻め込むことはしない。それなりの礼儀は弁えている。来い!」

 あえて、後手になることを承知の上でフィスはティアに挑発した。

 それを意味するのは

(自分で対処できるだけの自信があるということ)

「では、僭越ながら、そうさせてもらいます」

 初志貫徹。

 初撃で仕留めるつもりで踏み込んできたティア。

 彼女の剣はフィスの心臓をめがけて刺突するのであった。

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