始まる狼煙。
降り落ちる雷雨。
いや、それは雷雨どころではない。
まさしく、流星群。
煌めく星の如く、降り落ちてくる流星群。
しかし、降り落ちてくるのは煌めく星ではなく、雷龍。
そう。雷龍の形をした雷雨が流星群となって“獅子盗賊団”の本拠地が降り注がれる。
その技は“雷龍星群”。
ユンが編み出した技ではあるものの発案者はズィルバーだ。
雷龍に跳び移りながら、ユンは自分が倒すべき敵へ目指す。
目指す最中、ユンはズィルバーが立てた作戦を思いだす。
「え? 雷雲を呼び起こす?」
ユンのポケーッと唖然する。ティアたちもユンと同様に唖然としている。
「な、何を言ってるんだ? ズィルバー……?」
「だから、ユンが雷雲を呼び寄せて、雷雲に突っ込んで、真上から雷の流星群をぶちかます。ユンは真上からの奇襲になるけど、雷雨に跳び移りながら行けば、俺たちに合わせられるだろ?」
ズィルバーが突拍子のない作戦に正気を疑られて、ティアがズィルバーの頬をぺたぺたと触れられる。
「ず、ズィルバー!? く、くく、狂ってないよね!?」
「大丈夫。狂ってないし。ティアこそ、挙動不審になるな」
逆にズィルバーがティアを落ち着かせる羽目になる。
「でも、雷雲なんか呼び寄せてどうする気よ。おまけにユンを雷雲に突っ込ませるなんて……」
「とても正気とは思えねぇな、ズィルバー」
「いくら、協力してくれるとはいえ、ユンに危害を負わせたら、ただじゃすまねぇぞ」
タークやユキネたちがズィルバーを睨みつける。
「ああ。ユンに何かあれば、俺を殴ればいい」
彼も彼で覚悟を決めていた。
「ただ、地上から攻めるにも視線が平面的になっちゃうし。敵の意識も周囲に目を向けられる」
ズィルバーはテーブルの上に広げた地図に駒を置きつつ、説明する。
「そうなれば、裏口からの奇襲もうまくいかない気がするし。移動してる最中、敵の斥候部隊と鉢合わせして、無駄に力を削がれたら、お終いだ。だから……」
「だから、上から奇襲を仕掛けるってか」
「ズィルバー。それならば、魔法で上から奇襲が申し分ないだろう」
ノウェムは自分なりの案を提示する。
「確かに、それも効果的だ。だが、そこには戦場経験が少ないことが追加される。ハムラは千年以上も生きる女狐。その経験値は並大抵の指揮官よりも頭が回る。上空から魔法で奇襲するのは経験済みだろう」
ズィルバーはノウェムの提案をメリット、デメリットを添えて、やんわりと否定する。
「しかし、いかに彼女とて、自然災害級の攻撃には対応しきれない。これはどのような種族だろうと同じだ。女狐が化物じみてても災害では後手に回される」
(もっとも、大英雄クラスになれば、災害級の攻撃なんてできて当然だからな)
ズィルバーは大英雄の領域に入ると、レベルが段違いに跳ね上がることを胸中で語った。
「その隙を突いて、本隊が挟撃を仕掛ける」
ズィルバーは四方八方に展開する駒を一気に動かして、“獅子盗賊団”本拠地に仕留めかかる。
それが彼が立案した作戦だった。
だが、ズィルバーが立てた作戦にはいくつかの欠陥があった。
「確かに、その作戦でうまくいけば、勝てるかもしれないけど……」
「そもそも、この作戦……欠陥だらけじゃない」
ティアとシノはこの作戦が成功する確率より失敗する確率が高いと示唆する。
当然、作戦立案者のズィルバーも気づいていた。
「言いたいことが分かる。相手の指揮官がかなりの手練。しかも、千年以上も生きる女狐ならば、この程度の作戦なんて読んでいると踏んでいる。普通なら、綿密に作戦を組み立てて、対処すれば、勝てない戦も勝てるだろう。わざわざ、回りくどく、面倒くさい方法をとるか、だろ?」
ズィルバーは言外に正攻法で勝てるなら申し分ない。
しかし、戦場はそれすらも逆手に取られることを彼は知っている。
「格下の俺たちが格上の敵に勝つ方法はチマチマと姑息な手を使った方が効果的だ。勝てば官軍の世界だからな。
だけど、圧倒的な強者となると、姑息な手が通じない場合がある。少なくとも、ハムラは、その手が通じにくい相手だ」
「じゃあ、初代様はどうやって、勝ったってんだ?」
ユンの疑問はもっともだ。
自分の先祖――ベルデ・I・グリューエンはどのような手を使って、ハムラを打ち倒したのか。
その答えを知ってるズィルバーはユンの疑問に答えてあげた。
「決まってるだろ。力尽くでねじ伏せた」
「は?」
ユンはズィルバーがまたもや、突拍子のないことをほざく。
「力尽くに倒したんだよ」
とても信じられないことだった。
ユンはネルに話を振れば、彼女もズィルバーが言ってることを肯定するように頷いた。
「ほんと、ベルデはハムラを力尽くでねじ伏せた」
ネルがゲンナリしたまま答えたことで信憑性が増す。
「どんだけ規格外なのよ。あんたの先祖は…………」
「改めて思うと、俺……そんな人から一撃咬ませたんだな」
ユンは自分がした行動に自信が持てなくなった。
「それに、ズィルバーくんが立てた作戦はベルデが提案した作戦よ」
ネルが言ったことに惚けてしまうティアたち。
「ベルデとユンは先陣を切るタイプの大将よ。派手に攻めたてて、敵を蹂躙する。それがベルデっていう人よ」
改めて、伝説の偉人が途轍もなく規格外なのかがはっきりと分からされた。
「ってな訳で、頼んだぞ、ユン。思いっきり攻めていけ」
降り続ける雷雨を跳び移りながら、ユンは倒すべき敵へ向かっていく。
「派手に攻めてきよったのぅ」
(この作戦を立てたのはヘルトか?)
ハムラは降り落ちてくる雷雨を前に作戦の立案者を探る。
ここで尾を広げて迎撃しない素振りを見るかぎり、歴戦の強者なのが見てとれる。
雷で感電することが分かってるからだ。
しかし、他の者たちはどうなのかはハムラも知る由もなかった。
窓から状況を読み取れた者たちもいる。
「チッ――」
「天井から……」
「雷雨だと!?」
(どういう考えをすれば、こういった方法がとれる!?)
フィスは胸中で盛大に悪態を吐き散らかす。
彼女からしても、常識の範疇を超えた奇襲だ。
フィスはすぐさま、理性が残ってる者たちを優先して指示を出す。
「すぐに逃げろ!!
触れれば、感電するぞ!!」
彼女は叫ぶも、雷雨は天井を貫いて、内部に入り込んできていた。
そこにフィスの部下らしき者たちが詰めかけてくる。
「フィス様!? 大変です!?」
「どうした?」
「外から東方貴族が……!?」
「くっ……!?」
部下からの報告に苦悶の表情を浮かべるフィス。
「次々から次へと……」
(この奇襲に乗じて、攻め込む気か!)
苦悶する彼女は徐々に苛立ちを募らせていた。
敵本拠地――“獅子盗賊団”本拠地に降り注がれる雷雨。
雷雨が本拠地の屋根を貫き、乱れ打ちで中に落ちていく。
現状を見てとれたズィルバーは
(時は来た)
判断し、号令を上げる。
「敵は怯んでいる! この機を逃すな! いくぞ!!」
『おぉ――!!』
彼の掛け声と同時にティアたちも声を張りあげ、一気に“獅子盗賊団”へ攻め込んだ。
ズィルバーたちが攻め込んでくる姿を捉えた盗賊団の面々。
「敵襲!?」
「どこから?」
「正面からだ!」
声をあげるのは“魔族化”しても理性が残ってる者たちだけ。
残りは理性すら残っておらず、本能のままに暴れ狂う人の姿をした獣となった。
だが、理性が残ってる者たちはどうしようかと判断がつかねていた。
こうしてる間に頭上から降り落ちてくる雷雨と前方から押し寄せてくる敵を前に為す術もなく斬り伏せられるのは目に見えている。
故に彼らはどう行動すべきか困り果てていた。
そこに幹部と思わしき人物が声を張りあげる。
「迎撃にあたれ」
「ヌッラさん!?」
下っ端たちが声をした方向に振り返れば、色白の好青年が剣を抜く姿勢を取っていた。
“魔族化”したにもかかわらず、肌の色が色白のままなことに色黒になった下っ端たちからしたら、不気味に思われた。
「敵はおそらく、パーフィス公爵家を中心にした東方貴族の諸侯軍、皇族親衛隊東方支部の面々。そして、東部に来訪してる“白銀の黄昏”だ」
「ヌッラさん。あの中に最近、我々と敵対してる“豪雷なる蛇”がいる可能性も?」
「大いにある。とにかく、迎撃準備。
理性のない獣共を奴らにぶつけさせろ」
「は、はい!?」
「しかし、頭上からの雷雨で感電した者たちはどうしましょう?」
下っ端の一人がヌッラに状況を報告する。
どうやら、今、起きてる雷雨で人の形をした獣に成り果てた者たちが感電し、意識を失ったあるいは死んでしまったことを話す。
「捨て置け。まだ無事な連中をぶつけさせろ」
「は、はい!?」
「分かりました」
ヌッラの指示に下っ端たちはすぐさま、行動に移す。
ヌッラは剣を抜きかけたが、背後から女性が声をかける。
「ヌッラ」
「フィスか」
「“三王”はどうした?」
「狐の呪術に耐えきれずに畜生に堕ちた」
「そうか。やはり、使えなかったか。ヴァシキに気に入られていた奴らばっかりだったからな」
フィスは“三王”なる者たちが使えない屑になったことを知り、鼻で笑った。
「残ってるのは“死旋剣”だけか?」
「“憤怒”、“強欲”、“陶酔”、“狂気”、“老い”は使い物にならない。既に俺が始末しておいた」
ヌッラが始末したというのはこの場合、使う価値がないから殺したことを意味する。
仲間だろうと殺せるヌッラの胆力と判断力にフィスは助かってる。
「敵は四方八方から襲いかかってきてる。しかも、この雷雨ではこちらも迎え撃つのは一苦労だ」
「現状、生き残ってる戦力で対処する。狐は?」
「お姉様なら、今――」
ドゴンッ!!
フィスはハムラの居場所を告げようとしたところで二つの巨大な“闘気”がぶつかり合った音が耳に入り込む。
それと同時に――
ドコンッ!!
正面入り口の扉を堂々と突き破って中に入り込んでくるズィルバーたちの姿を目視する。
正面から突き破って入ってきたズィルバーたちと上階のテラスにいるヌッラとフィスの視線が交わる。
ヌッラはフィスとともにズィルバーたちの面を拝む。
「あいつらが話に聞いた……」
「ああ。ヴァシキが下っ端共を連れて、ヒロ様の顔を拝みに向かった際、相手をした少年たちだ」
「見たところ、ガキだが……手練であることは間違えない」
ヌッラは正面入り口からゾロゾロと入り込んでくるシューテルたちやタークたちの面を拝む。
彼独断とはいえ、その観察眼は冴えており、次々に入ってくる敵を手強い敵だと認識する。
ズィルバーは上階のテラスで自分たちを観察している二人組を見つめる。
「おやおや、丁重なお出迎えかな?」
彼は敵に睨みつけたまま、口にすれば、フードを被り続けるヒロが二人組を見て声を発する。
「ヌッラに、フィス!」
「知り合い?」
ヤマトがヒロに声をかければ、彼女は戸惑いつつも頷く。
「はい……知り合いです」
ヒロの戸惑いからも昔、仲のいい関係だったのが窺い知れる。
ヌッラとフィスもヒロの姿をその目に止め、声を発する。
「久しぶりだな。ヒロ。見ない間に女の子らしくなったな」
「ズィルバーのおかげでね」
ヒロはズィルバーに感謝と敬意を込めつつ、ヌッラの言葉に答えてやった。
「そうか。いい方向に成長してよかった。
あのまま、ヴァシキのもとにいてもお前が真っ当に成長するとは思えなかったからな」
「随分な言い回しだな。それで、あのクソ獅子はどうした?」
ヒロはヴァシキのことを揶揄な言い回しで訊ねてみれば、フィスがその問いに答えてあげた。
「とっくに死んだよ。あの男は……ハムラお姉様の手によってな」
ここでヴァシキが既にハムラの手によって死亡した事実は本当だったことをフィスの口から明かされた。
今もなお、頭上からは雷雨が降り注いでいるのに、辺り一帯が静寂に包まれていた。
「俺としても盗賊団は隠れ蓑にすぎない。ヴァシキへの忠誠はないに等しかった」
「だから、ハムラって奴に鞍替えしたのか!?」
ヒロは苛立ちを吐き散らす。
「鞍替えと言えば、正しいと言えよう。事実。俺とフィスはヴァシキを裏切った」
「そうか……」
ジャキンッとヒロは鎌を手にする。
「これ以上は何も聞かない。だけど、道は分かたれた!」
怒りに満ちた顔でヒロはヌッラを睨みつける。
「そうだ。もとより、俺たちとヒロとでは進むべき道が違う。だが――」
ここでヌッラの視線がズィルバーへ向けられる。
「いい指揮官に恵まれたな。
彼だったら、お前の道は真っ当な道になることだろう」
「僕のリーダーは変人だが、史上最強のリーダーさ!!」
「ヒロ。褒めてるのか貶してるのか分からないよ」
「ズィルバー。気を悪くしない」
ヤマトはヒロの言い方を指摘し、ティアはズィルバーを慰める。
「ならば、それを証明してみせろ」
ヌッラが左手を突き出せば、ズィルバーたちの前方を防ぐかのように人の姿をした
獣共が行く手を阻む。
「俺たちを倒しに来たのなら、それぐらいの力を見せなくては話にならない」
ヌッラは最後にそれだけを言って、フィスと共にその場をあとにする。
二人がいなくなったところで、ズィルバーは前方を見渡す。
「敵は理性の欠片もない魔人族だな」
「しかも、幹部がどれくらいいるか分からない以上、力の配分が難しい」
「それじゃあ、決まりだな」
シューテルの発言でやるべきことが決まった。
「おい、下っ端連中!! 目の前の畜生共はお前らに任せる!!
アオとクロ。お前らが指揮を執れ!!」
「おう!」
「了解した!」
「残りは何人かとつるんで、幹部を叩け!」
「分かった!」
タークの的確な指示にユキネたちは頷いた。
「ユウト。キミは俺とついてこい」
「おう」
ズィルバーはユウトを連れて先行する。
「じゃあ、シノ。行きましょう」
「ええ」
ティアはシノとなぜか、影でひっそりついて行くシノアと一緒に別口から先へ進む。
「いいか!! 一人で戦おうとするな。返り討ちに遭うだけだ。必ず、二人ないしは三人で挑みかかれ!!」
シューテルの叫びに従い、一同はそれぞれの行動を取り始めた。
天井を貫いて、内部を穴だらけにしていく雷雨。
しかも、ただの雷雨ではない。
天をも支配せし生物――“竜人族”。
しかも、天高く登るとされる“竜人族”。東部の果てに棲まうとされてる“竜人族”に似ていた。
ハムラも雷雨の形状から真似たにしては精巧すぎると思ってしまう。
(どこかで東部側の“竜人族”と出会ってるようじゃな。ベルデの末裔は――)
ハムラとて千年以上も生きる女狐。
その交友関係や経験は計り知れない。
彼女が現役だった千年前は彼女に加担した“竜人族”もいた。
しかし、その大半は東部の覇権を決める決戦の際に戦死した。
彼らが死んだことは悔やんでいるものの今更、仇討ちをしようとは思っていない。
ハムラが望んでいるのはベルデの血を引く末裔を根絶やしにすること。
それ以外のことは興味なかった。
東部の覇権を手にする気もなかった。彼女は既に過去の遺物。遺物は本来、片田舎で隠居生活を送ればいいだけの話だが、それだけでは腹の虫が治まらないのも事実。
故にハムラは“血の師団”の誘いに乗り、“獅子盗賊団”の提督――“獅子”ヴァシキをこの手で殺して、盗賊団を手中に収めた。
彼らを駒として扱い、パーフィス公爵家率いる諸侯軍を相手取り、戦争を仕掛けた。
先手は諸侯軍に取られてしまったが、最初から迎え撃つつもりでいたので問題なかった。
しかし、そんな彼女を危ぶむ味方が姿を見せた。
ボトボトとなにかが零れ落ちてる。
よく見てみれば、腐った肉片。身体中から腐臭が漂っており、周りに蠅が這い回っていた。
ハムラは窓越しとはいえ、敵の存在に気づかないわけがない。
「なんじゃ、死した“獅子”が不死者になってまで妾を殺しにきたか。酔狂なものだな」
「あぁ……あ……ぁあ……」
爛れた身体でハムラを斬ろうとゆったり歩む死体はヴァシキ。
“獅子盗賊団”提督――ヴァシキ・P・クシャトリヤ。ハムラが首を撥ね飛ばして殺害し、フィスの提案で呪術で不死者に生まれ変わった。
だが、生まれ変わってもなお、“獅子”と言われるだけの本能なのか理性なのか定かではないが、ハムラに一矢報いる気構えで歩み続けた。
ハムラも死してもなお、仇討ちをなそうとするその精神性に見事と誉れ湛えた。
「しかし、お主の力では妾に敵わぬ。聞いたところ、お主の名にはクシャトリヤがあるようじゃな。
カンナではないのしたら、アヴジュラの子孫か。先祖の名に恥じる無様ぶりよのぅ」
ハムラが言ってることに死体は反応を示さなかった。
そもそも、ヴァシキは既に死んでいる呪術で不死者になった祭、残留思念が取り憑いて、ハムラを殺そうと本能のままに足が動いていた。
のそりのそりと窓へ歩いていくヴァシキ。
彼の手には剣が握られている。
爛れた身体で最後の力を振り絞ってハムラを殺そうと振り上げようとした。
その矢先に――
ドゴンッ!!
屋根ごと天井を突き破り、雪崩れ込んでくる黒髪の少年。
羽織っているコートの背には蛇が入ったの家紋が刻まれていた。
少年が降りる真下に腐った死体がある。
ユンは目の前に敵がいる判断して、すぐさま――
「邪魔だし! 臭いし! 気持ち悪い!」
呪詛三連発と言わんばかりの罵声を吐きつつ、右手に帯びる稲妻が閃いた。
「“雷霆”!!」
少年の右手を起点に雷が降り落ちた。
降り落ちた雷は腐った死体を焼き尽くし、床を貫いた。
大技を使用してもなお、少年――ユン・R・パーフィスの顔色に疲れなんてなかった。
逆に闘志に満ち溢れていた。
ハムラの瞳にユンの姿を捉えたのと同じようにユンも敵のリーダーの姿を捉えた。
窓越しとはいえ、睨み合う両者。
「お主がベルデの子孫か?」
「ああ。ユン・R・パーフィス。ベルデは俺の先祖だ」
「そうか。待ちわびたぞ」
ハムラは窓を破壊し、ユンを見つめる。積年の恨みを晴らせると言わんばかりの眼差しを向けていた。
「妾がハムラじゃ。先祖の恨みを晴らさせてもらうぞ!!」
「先祖の恨みを俺にぶつけられても困るけど――過去の因縁はここで断たせてもらう!!」
今、千年の時を経て、両雄相まみえるのだった。
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