英雄の家の家庭事情。
俺がベッドで横になって病床に伏している中。
ルキウスは食堂で待っている父親のアーヴリルに病気で伏せているのをご報告した。
「そうか。今日はエルダだけではなく、ズィルバーもか……」
「お気持ちを察します、旦那様。しかし……」
「どうした? ルキウス?」
「お坊ちゃまの場合はご自身の体質によるものではないかと思われます」
「お前はそう思うのか、ルキウス」
「はい」
アーヴリルの聞き返しに答えるルキウス。ルキウスは俺に仕える執事。彼は俺の異能体質を知っている。なので、俺の体調不良も体質によるものだと判断した。アーヴリルはルキウスの言い分を聞いて
「そうか。ならば、お前の言うことが正しいのだろう」
「そうでしょうか」
「ズィルバーの体調が悪いのは異能体質だというのなら、何らかの形で克服しないといけなければ、次期当主としての示しがつかん」
「旦那様。お坊ちゃまに次期当主にさせるのは早いかと……」
「分かっておる。だが、息子が……ズィルバーが……次期当主にさせなければ、他家からの圧力というものがある」
目を閉じ、手を強く握り苦悶の表情を浮かべるアーヴリル。彼の苦悶の表情を見て、ルキウスがある提案を提示した。
「旦那様。でしたら、お坊ちゃまが次期当主としての素質があるのかをファーレン家に伝わる精霊で試すのはどうでしょうか。ヒルデ様にエルダ様も試させたアレです」
ルキウスの提案にアーヴリルは目を見開かせる。
「アレを試すというのか!?」
「はい!」
「いや、彼奴にはまだ早い。それにもし、ズィルバーの身に何があれば、私は……」
「旦那様」
狼狽えているアーヴリルに、ルキウスが叱咤を放つ。
「旦那様や奥様がお坊ちゃまを溺愛しているのは知っています。ですが、それがお坊ちゃまにとって苦になっていることもあります。なので、ここは心を鬼にして、お坊ちゃまにアレを挑戦させてください!」
という彼の真剣な眼差しと顔にアーヴリルは一度、目を閉じて一考してから
「分かった。お前がそう言うのなら、そうしよう」
「ありがとうございます」
「過度な愛情が息子を……ズィルバーを苦しめていたのかもしれないな」
「旦那様もそうですが……皆様はお坊ちゃまに溺愛しすぎです」
アーヴリルが言ったことにルキウスは適切な指摘をした。
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