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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
幕間1~ドラグル島編~
136/296

英雄の好敵手。事件に巻き込まれる。

 夕食を食べ終えて、個室のお風呂で汚れを落としたシノア。

 寝入る際、頼りがいのあるユウトの顔を思いだし、顔を赤くしてしまう。

(この島に来てから、ユウトさんの評価が高くなっています)

 “ドラグル島”の地形もそうだが、西部の地理に詳しいユウトに、つい、頼ってしまう自分がいた。

(戦闘においても、なにかと助けてくれます。ユウトさんの背中を見ると、大きく見えてしょうがないんです。もしかして、私――)

「ユウトさんに惚れてるのでしょうか」

 吐露した言葉が、自覚することになるのとはシノア自身知る由もなかった。




 翌日、一階の酒場で朝食を取っているユウトたちとは裏腹に町中では、小さなざわめきが起き始めていた。

 裏路地を歩いていた青年。

 頭にターバンを巻き、薄い黄色に髪の先が、青みがかっているのが特徴的だった。

 青年はハアと一階、溜息をついて、上を見上げる。

(山に棲んでると思ってたけど、いた痕跡があっただけで、彼女はいなかった。それに、この町に一際強い力を持つ者たちが()()もいる)

 青年は長年鍛え続けた“静の闘気”で気配を探っていた。

(そして、それに劣らない力を持つ者たちが三人。五つは気配からして、人族(ヒューマン)。一つは精霊。そして、残り二つは禍々しくあるところから、おそらく――)

「――ッ!!?」

 不意に後ろから強烈かつ禍々しい気配を感じとった青年。

 振り向けば、二人の少年少女を視界に収めた。

「この禍々しい気配……お前たち、まさか……」

 青年は身構える。

「見つけたぞ。まさか、本当に生きてるとはな――()()

「僕もキミたちが未だに生きてるとは思わなかった」

「この島にいるとは風の噂で聞いていたが、本当だったとはな」

 ギリッと苦悶する青年――ノイ。

(どうする、ここで力を使うと()()()()()()()()()()。あの二人もそれを承知で仕掛けてくる。使うなら一瞬しかない)

 苦悶の表情のまま、ノイは警戒を強めた。

 二人の少年少女もノイが力を使うことを望んでいた。

 そうすれば、()()()()()()()()()()()

「状況はこっちが有利なのは気づいてるよね?」

「くっ……」

(――仕方ない)

 ノイはポケットに忍ばせておいた煙玉を地面に叩きつけた。

 途端、裏路地一帯が煙に包まれ、視界を遮られてしまう。

 少年が煙を払えば、ノイの姿がなく消えていた。

「逃げたか」

「ああ、奴は神出鬼没。だが、遠くには消えていない。この島を出るには積み荷船しかない。それに気づかない奴じゃない。この町から出ていないはず」

「と、すれば……」

「くまなく探すぞ」

 少年少女はノイを探すため、その場から立ち去った。




 ノイは走られるだけ走って、距離を取った。

 ハアハアと息を切らして、壁に背をつけた。

「くそ……」

(ここまで追いかけてきたか。僕の逃避行もここまでかな。最後にキララの顔を見たかったな)

 死が目前だと悟ったのか。つい、思ってしまったことを胸中で漏らしてしまう。

(リヒトに、レイ、ヘルト……皆のところに逝けるかな)

「なに、悲観的になってるのかな」

 フッと微笑んだ後、彼は体勢を立て直す。

「足掻くだけ足掻いてみるか」

 諦めを知らないノイは再び、走りだした。


 走ってる中、二人の少年少女に見つけられ、追撃に遭う。

「諦めを知らないね」

「それが、僕たちが生きた時代の取り柄ですか、ら!!」

「相変わらず、逃げ足が速い」

 ノイは跳躍して、壁を蹴り、屋根伝いで逃げおおせる。

「逃がすか!」

「大人しく捕まれ!」

 二人の少年少女もノイの後を追いかける。




 同時刻、朝食を食べ終えたユウトたちは町中を散策していた。

「……にしても、賑やかだが、妙にピリピリしているな」

 シーホは町にいる竜人族(ドラグイッシュ)が元気であっても警戒心が高いように思えた。

「やっぱり、上のあれだな」

 ユウトが上を見上げれば、上空を徘徊してる小竜たちが原因だと思われる。

「島の外の人から見れば、すごいことなのに……」

「この島では異常とはな」

「うん。そうだよね。ん?」

 ヨーイチは同意しつつ、ふと、屋根伝いに追いかけっこしてるのを視界の端に捉える。

 思わず、双眼鏡で覗けば、二人の少年少女が青年を追いかけていた。

 青年の顔つきから、かなり危険な状況だと理解できる。

「皆! あっちで誰かが追いかけられている!?」

「「えっ?」」

「「なに!?」」

 シーホも双眼鏡でヨーイチが指さす方を見る。

「――っ!? 間違えねぇ。青年が追いかけられてる!?」

 シーホもヨーイチと同じことを言えば、ユウトたちも一斉に視線を転じる。

「状況は?」

「屋根伝いで追いかけられてる。どうする。ここで応戦するか?」

「待て。下手に暴れると衛兵に気づかれる。外に誘導させろ」

 ユウトが待ったを掛け、外に誘導させるよう告げる。

 ユウトの提案にシーホとヨーイチは賛同する。

 だが、ユウトたちの思惑もつかぬ間に予想外の追撃が襲いかかる。

「「ッ!?」」

 ユウトとシノアは“静の闘気”で首が落とされる未来が見えたので、すぐさま、前に倒れ込む形で回避する。

 すると、ユウトとシノアがいた場所に鋭き手刀が伸び、空を切った。

 そして、手刀を繰り出した二人の少年少女がユウトとシノアを見る。

「今のを躱すか」

「これは驚いた」

 二つの双眸がユウトとシノアを睨みつける。


 屋根伝いで逃げていた青年――ノイは屋根の上からユウトとシノアを見る。

「あの二人か。一際強い力は……見捨てるのは性分じゃない。仕方ない。国に保護されるか。見たところ、親衛隊のようだし」

 別の意味で諦めがついたノイ。

 と、そこにシルクハットを被った金と紅の髪をした少年が鋭き手刀をもって、ノイに襲いかかる。

「ちッ!?」

 ノイは地を蹴って、地上へ落ちていく。

「まさか、このタイミングで増援か」

(おまけに、あの髪型は……)

 地上に降り立ったノイは足早に駆けて、二人の少年少女に蹴りを叩き込む。

 ズサァ~ッと地面を引き摺り、距離を開かせた。

 二人を助けたのはシルクハットを被った少年であった。

「油断するな」

「すまない。助かった」

「相変わらず、強いな」

 パッパッと土埃を払いながら、三人はユウトたちを見る。


「大丈夫かい?」

 ノイ(青年)はユウトたちに声をかければ、ユウトとシノアは土埃を払いつつ、答えた。

「大丈夫です」

「いきなり、襲いかかるとは……」

 ミバル、シーホ、ヨーイチが駆け寄り、無事か確認する。

「大丈夫だ。それより、あの人、誰だ?」

 ユウトの言葉にシノアたちも一斉にノイ(青年)を見る。

 すると――

『あら、ノイじゃない』

 隊服のポケットに忍んでいた小竜姿のキララがユウトの右肩に移動する。

(知ってるのか?)

『昔の、ね』

 キララの返答にフーンとユウトは訝しんだ。

『それより、問題はあっちよ』

 キララが転じた視線の先にいる三人の少年少女を見る。

『まさか、千年ぶりに会うとは』

(あっちの知り合いか?)

『敵対していた異種族よ。魔族(ゾロスタ)の中でも一番危険な種族……吸血鬼族(ヴァンパイヤ)

吸血鬼族(ヴァンパイヤ)

()()()()()()で、何百年も生き続けている種族。あの三人は()()()()()()()ことがあるの』

(千年前、か)

 ユウトの脳裏に過ぎるのは、自分と戦ったヘクトルであった。

 少なからずの情報だが、今回の調査には、()()()()()()()()()()()()()()()()とユウトは憶測いや、直感した。

(そうじゃなきゃ、ヘクトルが気になるはずがないし。アキレスって男が必要にズィルバーを狙うはずがない)

 理由があるとユウトは考えた。

 だが、ユウトの考えが当たっているかどうかは誰も教えてくれないだろう。一つだけ言えるのは、“ドラグル島”におけるユウトは非常に役に立つということだ。


 ユウトたちの助けに入ったノイ(青年)

 彼はフゥ~ッと一度、息を吐いて、気を落ち着かせた。

「すまない。僕のせいでキミたちを巻き込ませてしまった」

 青年は先んじて、謝罪を述べた。

 自分の所為でこうなってしまったと深く詫びを入れる。

 しかし、ユウトたちの返答に功を奏した。

「いえ、私たちはこの島に調査に来ていたので、さほど、困っていません」

「あそこにいる奴らが、この異常の原因なら、なんとかするほかない」

「だが、吸血鬼族(ヴァンパイヤ)は普通の子供じゃあ相手にならないぞ」

「俺らを甘く見るな」

 ユウトとシノアは最初から全開で迎え撃つつもりのようで、左手に刻まれた紋章が輝きだし、左目から、それぞれの色の魔力が洩れだした。

 ユウトは若紫色。

 シノアは竜胆色。

「――ッ!?」

『――っ!!』

 ノイ(青年)と三人の少年少女はユウトとシノアの左手の甲に光る紋章と左目から洩れる魔力に僅かばかり、目を見開く。

 シーホ、ヨーイチ、ミバルもユウトとシノアが見せる現象を初めて見た。

「な、なんだ……あれ……」

「ユウトくんとシノアの左目から魔力が洩れだしている」

「あれが、中佐たちが言っていた。()()()()()()()というわけか」

 ミバルたちの会話を聞いていたノイ(青年)は、ある答えに至る。

(そうか。現代において、()()()()()()()は浸透していない。情報統制はしっかりしている。さすが、ライヒ皇家と五大公爵家だ)

 安心感を持ち、ほっとしている。


 ただし、三人の少年少女は警戒心を強めた。

「なるほど。やけに一際強い力を感じとれたのは、そういうわけか」

「“魔王傭兵団”のアジトを調べた際、残り香があった。()()()()()()()のね」

「どこまで扱いこなしてるかは分からないが……下手に消耗するのは避けたい」

 少女は過去の経験を踏まえて、戦わずに越したことがないと進言する。

「同感だ。下手にやり合うのは避けよう。どこまで通じるのかが問題だ」

「だが、ここでノイ()を逃すのはまずい。逃せば、探し出すのもキツイ」

 シルクハットを被った少年が告げ、二人の少年少女も頷く。

「目的をノイ()のみに限定し、加護持ちを排除しよう」

「うん」

 藍色の髪をした少年の言葉に従い、彼らは得物を取り出す。

 シルクハットを被った少年は茨の鞭を、藍色の髪をした少年は刀を、薄ピンクの髪をした少女は手甲を手にした。


 少年少女が得物を手にしたのを見て、ユウトたちもすぐさま、得物を手にした。

「出し惜しみはなしだ」

『ええ、思いっきりいきなさい』

 ユウトは右手の甲に刻まれた紋章が輝きだし、純白の雷が迸り、二本の刀剣に帯びていく。

 小竜姿のキララも隊服の胸ポケットに隠れて、脳裏に語りかけてきた。

『相手はヘクトルと同等の実力者だと思いなさい』

「おう」

 ユウトは純白と若紫の雷が迸っており、純白は刀身に、若紫は全身に帯び始めている。

 刀身に帯びる純白の雷。

 ノイ(青年)と三人の少年少女は純白の雷から、右手の甲に刻まれた紋章の輝きから出ている力の気配から、信じられない事実を目の当たりにする。

「この力……」

「まさか……」

「おい、調査したのか?」

「彼女がいたと思われる家には行ってみた。痕跡はあったが、彼女の姿形は見当たらなかった。なにより、気配が感じとれなかった」

 藍色の髪をした少年が事情を説明すれば、シルクハットを被った少年はユウトを見る。

「と、すれば……」

「ああ、キララは、あの少年と契約したってことになる。厄介なことになったな」

「どうする?」

「では、僕が鎌の女を相手する。お前たちは少年だ。キララを契約しているなら、二人でいかないと返り討ちに遭う」

 シルクハットを被った少年の言葉に従い、二人の少年少女はユウトの方に目を向けた。

 シルクハットを被った少年はシノアの方に目を向ける。

 ノイ(青年)は三人の少年少女がユウトとシノアに敵意を向けたのを知ったのと同時に、ユウトから感じられる気配に歓喜した。

(キララ……キミは今、彼と一緒にいるのかい? そうか。キミはキミの拠り所を見つけたんだな。孤独を埋めれる拠り所を――)

「……よかった」

 小声でボソボソと呟いたノイ(青年)

 しかし、彼は気を持ち直して、三人の少年少女を見る。

(明らかに、真なる神の加護を持つ者たちを警戒している。過去のトラウマがあるからこそ、最大限に警戒している。逃げるなら今なんだろうけど――)

 彼は妙なざわめきを覚えていた。

 三人の少年少女だけじゃない。()()()()()吸血鬼族(ヴァンパイヤ)の気配を――。


 ノイ(青年)が危惧したことは的中した。

 海面を、いや、()()()()()一人の青年。

(“ドラグル島”から感じられる一際強い力……)

「二人からの報告は本当だったようだな」

 青年は湖面に沈む前に足早で“ドラグル島”へ目指す。

 島から一際強い力が放たれている。

 しかも、()()も――。

 そして、それに匹敵しうる力を持つ者たちが三つ。

(三つは仲間の気配……二つはノイとキララ。残りの二つは――真なる神の加護持ちか)

「急いだ方がいいな」

 青年は足に力を入れ、“ドラグル島”へ急いだ。




 竜人族(ドラグイッシュ)の町中で轟く剣戟。

 ユウトと対峙する藍色の髪をした少年と薄ピンクの髪をした少女の二人。

 シノアと対峙するシルクハットを被った少年。

「すばしっこい割りに力あるな」

「そっちこそ――」

「私たちの猛攻をよくさばけるな」

 少年の刀と少女の無手をユウトは二本の魔剣でさばいてる。

「う~ん。随分と力がありますね」

「お前こそ、人族(ヒューマン)のわりに馬鹿力だ」

 鎌に鞭が絡まりつき、引っ張り合っているシノアとシルクハットを被った少年。


「…………」

 ノイ(青年)は目の前の死闘を呆気にとられたように見ていた。

「すごい……」

人族(ヒューマン)の子供にしては似つかわしくない力……真なる神の加護を持つ者……)

「千年の時を経て、ようやく、()()()()()()()()()()()のか」

(全く、待ちわびたよ。リヒト)

 ノイ(青年)は思わず、笑みを浮かべてしまった。

 だが、ミバル、シーホ、ヨーイチの三人からしたら、次元の違う戦いに思えてしょうがなかった。


「チィッ!?」

「私と兄さんを相手に対応しきれるのか!?」

 藍色の髪をした少年と薄ピンクの髪をした少女の猛攻すら、ユウトの目からすれば、見えていて、当然だった。

 “魔王傭兵団”との戦いの際、“闘気”が著しく成長している。

 そのため、常時、“静の闘気”を展開するほどまでに強くなっていた。

(ヘクトルだと思って戦ってるからか。動きがよく見える。だが、それは俺だから見えるという話……シーホやヨーイチには目で追える速度じゃない)

 ユウトは“静の闘気”を展開してもなお、目で追える速度だから対応できる。

 しかし、常人の者たちに躱せるかと言えば、躱せないと答えるだろう。

 莫大な経験によるものではなく、質の高い経験を積んだからこそ、この結論に至った。

 だが、少し、余所見をしたため、隙を与えてしまった。

「シッ!!」

「ハッ!!」

 二人の蹴りが顔にめり込み、()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「ブッ!?」

 口から少々、血を吐き出すことになったが、首が引きちぎれるほどまでのダメージを負っていなかった。

「痛ぇな……効いたじゃないか!?」

 口内を斬ったのか。口の中に含む血をプッと吐いた後、少年少女を睨む。

「「な――っ!!?」」

 二人の少年少女はユウトの首が飛ばなかったことに驚愕を露わにする。

「今の喰らって、首が飛ばないだと!?」

「頑丈にも程があるぞ」

 思いっきり悪態を吐きつつ、距離を取る。

 ユウトは首を鳴らした後、右手の魔剣に力を込める。

「あぁー、畜生。少しの油断が、隙を与えてしまったか。おかげで首がちぎれそうになっちまった」

 首を触りながら、さっきの攻撃を受けてしまった原因を吐く。

「まあ、でも、“静の闘気”で先を読んで、あらかじめ、“動の闘気”を()()()()()()()()()から助かったけど……運がよかったとしておくか」

 首を触り終えた左手の魔剣に力を込め始める。

「なるほど。“動の闘気”で受け止めていたのか」

「……にしては、頑丈すぎるだろう」

 ユウトの頑丈さに呪詛を吐き散らす薄ピンクの髪をした少女。

「同感だよ」

 藍色の髪をした少年も少女と同じ気持ちを抱いていた。


「年齢は分かりませんが、思った以上に力がありますね」

「人のことを言えた義理か。本当に女の子の膂力かよ」

(引っ張っているのに、引き戻されるなんておかしいだろう)

 シルクハットを被った少年はシノアの膂力そのものが十代の女の子の膂力じゃないと言い切った。

「むぅ~、私は怪力女ではありません。か弱い女の子ですよ」

 少年の言葉に侮蔑的な表現で言い返すも、少年は半目になってシノアを睨みつける。

(か弱い女の子が、こんな力を持ってるものか!?)

「厄介だね、加護持ちを相手にするの」

 内外に悪態を吐き散らす少年。

「でも、調子に乗らせないようにしないと、ね!!」

 少年は鞭に力を、“闘気”を流し込むと鞭から電気が走り、鞭を伝って、シノアを痺れ上げさせる。

「――ッ!!?」

(で、電気……!?)

 ビリビリと痺れていくシノア。

 少年は鞭を引っ張って、彼女を手繰り寄せようとするも、ビーンと鞭が伸びていた。

「な――っ!?」

(ま、まさか……)

 少年はすかさず、シノアに視線を転じれば、電気を帯びているシノアがチロッと舌を出していた。

「何かしました?」

「なっ!? 効いていないのか!?」

「効きましたよ。急に電気が流れてくれば、ビックリするに決まってるじゃないですか」

「ビックリする程度で済まされてたまるか」

(この女……だが、今ので、なんの神の加護か。はっきり理解できた。()()()()()()()()()()()()()()()()()加護は一つしかない)

 少年はシノアに出現した()()()()()()()の正体を見破る。

乙女神(アフロディーテ)か。そうとしか考えられない。僕の電気に耐えられるわけだ)

「厄介……」

「あなたが言いますか?」

「そうじゃない。キミの力そのものが途轍もなく脅威だ」

「私の力が?」

 シノアは“静の闘気”で、少年が自分の力とやらに脅威を、警戒心を抱いてることに目を細める。

 目線を左手の甲に光る紋章へ集中する。

(この左手の甲にある紋章は、いったい……)

 自分の力のおかしさに訝しむシノア。

 しかし、戦いにおいて、隙を見せるのは余裕があると思われてしまった。

 現に、引き戻す力が弱まり、シルクハットを被った少年の引っ張る力が強くなった。

「とった!!」

 少年は勢いよく引っ張り、シノアを手繰り寄せる。

 引っ張られるシノア。

 シルクハットを被った少年の予想外の膂力に驚いたが、なにより、自分が光り輝く紋章に意識を向けてしまった自分に恥じ、悔いていた。

 手繰り寄せたシルクハットを被った少年は右手の拳を作り、“動の闘気”を流し込んだ。

「余所見をしていた自分を悔いるんだな」

 少年の右拳のストレートがシノアの顔に叩き込んだ。

 顔を殴り飛ばされ、地面に転がり込むシノア。

 右ストレートが決まった少年はフッと笑みを零した。だが、直後、左脇腹から来る鋭い痛みが押し寄せてくる。

「――ッ!?」

 ゲホゲホと喉から逆流する吐瀉物を吐き出した。

 吐瀉物を吐き出し、咳き込む少年。

 荒々しい息を吐きながら、少年はシノアを見る。

「く、そ……」

(僕が右ストレートを叩き込んだのと同時に左脇腹にカウンターを叩き込んだ)

 少年が痛みで苦悶してるなか、シノアも鼻を押さえながら、起き上がる。

「効いたじゃないですか……鼻が痛い……」

 痛がるシノア。

 彼女の顔に帯びる竜胆色の雷。

 少年はシノアがなぜ、鼻が痛いだけで済んだのか理解した。

(咄嗟に真なる神の加護を顔に纏わせて、守ったのか。そして、カウンターの際にも神の加護と“動の闘気”を纏わせた蹴りを叩き込んだのか)

「チッ……」

 少年は思わず、盛大に舌打ちをする。

(状況が一気に一変した)

 真なる神の加護を持つ者の一撃は“動の闘気”で覆わせた一撃よりも重く鋭いものだ。

 いかなる攻撃を受けても瞬時に回復するだけの治癒能力をもってしても、真なる神の加護を持つ者の一撃を受けた場合、回復に相当な時間を要する。

 なので、少年は思わず、苦悶の表情を浮かべ、舌打ちをしたのだ。


 ユウトと対峙している藍色の髪をした少年と薄ピンクの髪をした少女も、ユウトの剣戟を受け、苦悶の表情を浮かべる。

「つ、強い……」

「小手調べのつもりが……」

 ハアハアと息を絶え絶えに吐き、所々、斬り傷ができ、血を流している。

 薄ピンクの髪をした少女は右肩が動けずにいる。

 攻防の際、右肩を斬られてしまい、右肩を押さえていた。

「くそ……」

(傷の治りが遅い……奴の一撃をもらったのがまずかった)

「これほどとは……」

 非常にまずい状況に陥ったと悟る藍色の髪をした少年。

(向こうも予想外の反撃を受けて、回復に力を削がないといけなくなった。妹も右腕が使えなくなり、回復もしないといけなくなった。非常にまずい)

 内心、盛大に悪態を吐く少年。


 ノイ(青年)は信じられないものを目の当たりにする。

吸血鬼族(ヴァンパイヤ)の三人を相手にしても、ユウトとシノア(あの二人)。互角に渡り合えている。常人なら、死んでもおかしくない一撃を、神の加護をうまく使っている)

 タラリと汗を流し、ゴクッと生唾を呑んだ。

「すえ恐ろしい少年少女だ」

(キララ。この時代の若き力はすごいな)

 内外問わずに感嘆な言葉を呟いた。


 ユウトとシノアによって、いいようにやられている三人の少年少女。

 対し、ユウトとシノアも一撃二撃をもらっていこう。

 自分が驕っていたことを自覚し、気を引き締め、警戒している。

「もうさっきのような……」

「……攻撃は受けませんから」

 得物を強く握り、“動の闘気”と色づいた雷を纏わせる。

 ユウトとシノアの言葉通りに油断も隙もないと理解させられる三人の少年少女。

 シルクハットを被った少年と薄ピンクの髪をした少女はそれぞれ、受けた傷口を押さえながら苦悶の表情を浮かべていた。

「ちぃ……」

「くそ……」

「状況は圧倒的に不利だ。ノイ()を捕らえようにも、あの二人…強い…」

「失礼だが、その通りだ。油断していたと言われれば、こっちにも否がある。舐めてかかっていたのは僕らかもしれない」

「同感だ。だが、収穫できた情報は多いに越したことはない。あの二人が、この先、脅威となるだけでも、認識しただけ、最高の収穫だ」

「悔しいがね。退くか」

 藍色の髪をした少年の言葉に従い、二人の少年少女も頷く。

 彼らが足に力を入れようとした際、藍色の髪をした少年が“静の闘気”による先読みで足が斬られるのを見た。

「――ッ!!?」

(こいつは、速い!?)

「ジャンプしろ!!」

「「えっ!?」」

 少年の言葉に二人は一瞬、呆けてしまう。次の瞬間、三人の少年少女の足を狙う剣閃が伸びてきて、藍色の髪をした少年はすぐさま、離脱するように跳躍した。だが、薄ピンクの髪をした少女とシルクハットを被った少年はコンマ数秒遅れてしまい、剣閃の餌食となった。

 プシャ~ッと足から血が飛び散る。

 ズサッと、その場に座り込んでしまった少年少女の二人。

 傷口から見ても、深く斬ったわけではなく、筋肉と腱だけを斬られていた。

 退くように跳躍した藍色の髪をした少年は、その目ではっきりと捉えていた。

 ()()()()()()()――。

 少年は先ほど、ユウトの動きを思いだす。

(なんて奴だ。構えに入るまでの動きに無駄がなかった)

 長き年月も戦い続けた少年の経験則からユウトの動きを分析する。

(僕には劣るけど、相当な経験を積んでいる。しかも、自分よりも格上の相手を……しかも、キララと契約し、力をものにしつつある。これ以上、戦うのは危険。予定通りに撤退すべきなんだが――)

 少年は地面に降り立ち、ユウトを見る。

 対して、ユウトも藍色の髪をした少年を見た。

(さっきの見えていたな)

『随分と舐められているね。ユウト。気づいている?』

(ああ、強いのは間違えないが……どこか、力を隠してるような……)

「それに……」

 ユウトは目線を下にし、二人の少年少女を見る。

 僅かだが、少しずつ傷が癒えてきていた。

(傷が治っている……)

『それが、吸血鬼族(ヴァンパイヤ)の特徴よ』

 キララが脳に直接、語りかけてくる。

吸血鬼族(ヴァンパイヤ)は死ねない呪いを掛けられた魔族(ゾロスタ)の一つ。寿命という概念がないから。何十年、何百年、何千年も()()()()()()()()()()()()()()種族』

(無意味な時間を生き続けている?)

 ユウトはキララの話を聞き、目を細める。

 無意味な時間とは、一体何か。

 寿命の概念がない種族は本当にいるのか。

 なぜ、死ねない呪いを掛けられているのか。

 また、その呪いを掛けたのは誰なのか。

 謎が更なる謎を呼んでしまう。

 だが、それと裏腹に戦いは思わぬ方向に進んでいく。


「「――ッ!!」」

 不意に強烈な気配を“静の闘気”で感じとったユウトとシノアの二人。

 ミバルたち三人も二人の後に続いて、感じとった。

「なにか、強烈な力を持つ者が――」

「こちらに来ています」

 ユウトとシノアの言葉が如実に出るかのように、ピリピリと空気が犇めき、重く、鋭くなっていく。

「まずい雰囲気だ」

「……その通り、ですね」

 ユウトたち五人は一斉に町の外に視線を転じる。

 外からこちらへ向かっている一際強い力を――。

 しかも、この力は――。

「俺よりも完全に上……下手し、()()()()()()だ」

「そのようですね。“静の闘気”を使うまでもなく、肌から感じとれる禍々しい力が力の強大さを物語っています」

(下手に戦えば、こちらが全滅するのは目に見えている。屍をさらすことになるのはこっちですね)

 ゴクッと生唾を呑み、タラリと汗を垂れ流すシノア。

 ユウトたちが感じとれたのなら、当然、三人の少年少女も感じとる。

「チッ……」

「まさか、あの方に助けられる羽目になるとは……」

「これほどの醜態を晒したんだ。これ以上、恥を忍ぶよりもマシだと思うがな」

 藍色の髪をした少年が言ったことが正しすぎて、なにも言い返せない二人。

 ただただ、顔を俯かせることしかできなかった。

「申し訳ございません。()()()()

 シルクハットを被った少年が、こちらに向かってきている者の名前を口にすれば、三人の少年少女の前に、褐色肌の青年――吸血鬼族(ヴァンパイヤ)が姿を見せる。

「気に病むな。彼らは強い。驕っていた事実に変わりないが、次回から驕らずに殺せばいいだけだ。それに、お前たちがそいつらの情報を仕入れただけでも高いことだ。胸を誇ってもいい」

「ありがたい言葉……」

 頭を下げるシルクハットを被った少年。

「気をつけろ。ガキのくせにけっこう強い」

「わかると思うけど、ノイとキララがいる。しかも、キララが魔剣を持つ少年と契約している」

 藍色の髪をした少年と薄ピンクの髪をした少女が忠告してくる。

「なるほど。それで懐かしい気配がしたわけか」

 褐色肌の青年いや褐色肌の吸血鬼族(ヴァンパイヤ)――ウルドは振り返り、ユウトとシノアを見る。

 二本の魔剣に帯びる純白の雷とユウトの身体に帯びる若紫色の雷。

 シノアの身体に帯びる竜胆色の雷。

 そして、二人の左目の瞳から洩れる色合の魔力。

 それらを観察した後、ノイ(青年)を見る。

 彼はウルドが現れたことで、かなり警戒するように構える。

 近くにいる三人の少年少女を見た後、結論に至った。

「状況は読めた。ノイの力を借りずに、お前たちに手傷を負わせた事実は拭いきれない。なにより、我々は、あの二人が持つ力を忌避してる分、仕方ないと言えよう。アシュラ。レスカーとクルルを連れて行け」

「ウルドはどうする?」

「時間稼ぎをしておく。ついでに、あいつらの脅威度合いを調べておこう」

「……分かった」

 ウルドの言葉を聞き、藍色の髪をした少年――アシュラはシルクハットを被った少年――レスカーと薄ピンクの髪をした少女――クルルを抱え、町の外は走りだした。

 走る一歩が大きくて早く、ユウトたちの足では追いかけることができなかった。

 仮に、追いかけようとしても、ウルドが邪魔をして追いかけさせないようにするのは目に見えていた。


 ウルドとかという青年の登場にノイ(青年)は冷や汗を流し始める。

「ま、まずい……」

(まずすぎる。いくら、あの二人が強くても、ウルドを相手取るのは危険すぎる。僕が止めに入るべきだ)

 彼は足に力を入れ、飛び出そうとする瞬間、衝撃波が押し寄せてきた。

 腕で顔を隠し、一瞬だけ視界が閉ざした。

 腕の隙間から覗けば、ウルドが振り落とした剣をユウトは魔剣を交差して受け止めていた。

 その際に発生した衝撃波が周囲に撒き散らされた。

「これを耐えきるか。見かけによらず、随分と力があると見る。だが、今のは手加減した。このまま魔剣ごと折って首を刎ねれる」

「事実だから言い返せないな」

(さっきの奴らより、力と速さが……全然違う)

『ウルド。ここに来て化物が出てくるなんて……』

 キララも頭に語りかけ、まずい状況だと声音だけで分からせられる。

「大人しく逃げるか?」

 ウルドはユウトに逃げおおせるかと問う。

「そうしたいのは山々だけど……俺が逃げれば、お前は他の奴らを襲うのか?」

「ああ、斬っていくだろうな」

 ユウトの問い返しにウルドは親切に答えた。

「だったら、逃げられないな。仲間を置いて、逃げるほど……俺は人間できちゃいない」

「死ぬ気か?」

「仲間を見捨てるぐらいなら、死んだ方がマシだ!!」

 ユウトの強気な物言いにウルドはニヤリと口角を上げる。

「敗北を受け入れるより、死を選び、受け入れるか」

 ウルドは剣を掲げ、“動の闘気”を込める。

「その気概を認める。だが……ここで、その息の根を止めよう」

 剣を強く握り、振るった。

 重く振るわれた一撃をユウトは魔剣に“動の闘気”と純白の雷を纏わせ、防ぐも、耐えきってみせる。

「ぐぅ……!!?」

 カハッと少し血を吐いたユウト。

「ユウトさん!!」

 声を張りあげるシノア。しかし、彼女の目で捉えたのはウルドが顔面めがけて右脚の蹴りが来た。

 彼女の顔面に蹴りが炸裂した。

 蹴り飛ばされるシノアはユウトを巻き込んで空き家に叩きつけられた。


 シノアを蹴り飛ばしたウルドは先の光景を思いだす。

 蹴りが来る直前に竜胆色の雷と“動の闘気”を纏わせた鎌を盾にするシノア。

(あの一瞬で、あそこまでの反応をするか。“闘気”だけじゃなく、身に纏わせる技術を体得している。そして、()()()()()()()()()()()、か)

 フッと鼻で笑うウルド。

 彼の頭に過ぎったのは、かつて、自分と対等以上に斬り合った男の背であった。

「異能体質だけでも、脅威だが、あの男は異能すらも長所に変えてしまった怪物だった。()()()()()()()()()()()()()()()奴はたいがい、いかれてるがな」

 フゥ~ッと息を吐き、余計な考えを捨て去るウルド。

 彼の赤き瞳は壊れた空き家を見ていた。

 “静の闘気”を使わなくても、微弱な空気振動が肌を掠め、耳垢をくすぐる。

 二人は生きてると――。


 ノイ(青年)は土煙が舞う空き家を見た。

「相変わらず、なんて強さだ」

(彼と対等以上に斬り合えたという話は本当のようだな)

 彼は走って、ウルドの前に立つ。

 ウルドも前に立つ青年を見る。

 鉛色と紅色の双眸で見つめ合う。

「久しぶりだな。ウルド」

「そちらこそ、千年ぶりじゃないか。()()()()()D()()()()()

 ウルドがノイ(青年)の名前を明かす。

 ミバルたちも彼がノイだと知り、驚愕を露わにする。

「あの人が……ノイ」

「なんで、この島にいるんだ?」

「とても強そうには見えないけど……」

 三者三様。様々な意見を述べる中、ノイはウルドを見る。

「僕を探しに来たのか?」

「当初の予定では、貴様を捕縛する予定だった。だが、今は予定を棚上げにして、彼らを消すことにする。我らにとって、あの二人は危険だからだ。それは、貴様も分かっているだろう」

「もちろんだが、僕にとって、その時が来たのだと実感している」

「なら、貴様も死ね。あの時代を生きる者は即刻、抹殺する」

「やれるものならやってみな」

 ウルドが剣を振るえば、ノイは手刀で応戦し始めた。


「シッ!!」

「フッ!!」

 縦横無尽に振るわれる剣閃。

 ノイは手刀だけで弾いてみせた。

 ただの手刀ではない。“動の闘気”を纏わせて打ち払っている。

 ただ、打ち払っているだけではない。合間を縫って、反撃に転じている。

 しかし、ウルドは見えているのか余裕を持って回避している。

 一度、衝突しあった後、一度、距離を取った。

「全てを弾くか」

「キミこそ、僕の反撃を躱すじゃないか」

(おまけにあの時より強くなっている)

「そこまで、()()()()()()()()()()のか?」

「悔しい、か。少し違うな。奴が戦いとは違った死を知ったとき、怒りを憶えたのは事実だが、負けたことに悔しいと思ってはいない。殺せなかった自分に悔いてるだけだ」

「なるほど」

 ウルドの返答にノイは納得した。

「そちらこそ、随分と力を隠してるじゃないか。()()()()()()()()()()()()ためか?」

「当然だろう。奴が僕を追っているのはキミだって、知ってるはずだ。だから、力を隠すのは当然じゃない」

「しかし、こうして、私に見られたからには、次はないぞ」

「僕もそう思っているよ」

 ウルドの言い返しにノイは至極全うに答える。

「もう雲隠れするのは飽き飽きしていた。大人しく、ライヒ大帝国に保護されるよ。キミたちがどこまで国の中枢に忍び込んでいるのかは分からないが……千年前と同じだと思わないことだ」

 ニヤリと少しだけ口角を上げるノイ。

「千年前と同じ? 最初から同じだと思っていない。この国が、あの時のままだったら、私とて破壊のかぎりを尽くしていた。だが、リヒトとレイが死んだことで、()()()()()を大凡知った。真なる敵が誰なのかも――」

「知っているなら、なぜ、“教団”の残党組織に手を貸している」

「より手っ取り早く、奴らを引き摺りだすためだ。だが、尻尾を掴めずにいる。僅かな余韻すらも消してしまうのは奴らの常套手段だ」

 ウルドの言葉にノイは言い返すどころか納得していた。

「確かに、奴らは僅かな力の残滓すら残さない。どこにいるのかも皆目見当がつかない。だからこそ、時が来るまで待つべきだと思うけどね」

「その時がいつ、来るかも分からないのに待つことはできない。少なくとも、私やスターグはそう言うだろう」

 ウルドの言い返しにノイはハアと息を吐いた。

「相変わらず、キミたちの時間感覚にあきれ果てるよ」

「それは貴様にも言えたことだ、ノイ」

 ウルドは剣を強く握り、ノイを睨みつけた。

「貴様をここで捕縛していこう」

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