英雄の好敵手。伝説を乗り越える。①
雪原の上に倒れ伏すティア殿下たち三人。
彼女たちの後を追ったグレンたちが気を失った彼女たちを回収する。
「よく頑張ったものだぜ」
「とんでもない者を倒したんだ。しょうがない」
「ひとまず、彼女たちを休ませろ。マヒロ、アイオ、運んでやれ」
「はい」
「お疲れさま、シノア」
ティア殿下たち三人を担ぎ込むマヒロとアイオの二人。
「副委員長!」
「ん?」
グレンは誰かが声をあげながら、走ってくるのを聞こえ、後ろを振り向いた。
荒れ狂う吹雪の中、傭兵団のアジトから走ってきた三人の少女。
白い息を吐きながら、グレンたちのところまで走ってきた。
彼女たちはグレンの顔に見覚えがあった。
「第二帝都に駐在するグレン中佐」
逆にグレンたちも彼女たちの顔に見覚えがあった。
「誰かと思えば、黄昏の虹の乙女じゃねぇか。こんなところに来て、何のようだ?」
虹の乙女。
白銀の黄昏の乙女だけで構成された部隊だ。
全員が女子で。今年度入学した一年女子だけで構成されてる。
「ルラキ、どうする?」
「構わない。四剣将のシューテルからの指示だ」
コソコソと話してる彼女たちだが、意を決して話すことにした。
「副委員長に報告だったのですが、この際だから話します。“魔王傭兵団”の幹部、“七厄”陥落し、“三災厄王”である“鎧王”セルケトと“惨王”ザルクも陥落しました」
『ッ!!?』
「残るは魔王カイと突如として乱入してきた者たちだけ」
「つまり、委員長とカズ、ユウトの三名のみが戦い続けています」
『ッ!!?』
傭兵団のアジト内の戦況を聞き、グレンたちはさらなる驚愕を露わにする。
傭兵団の幹部――“七厄”が陥落。
“鎧王”と“惨王”ザルクすらも陥落したという事実。
虹の乙女の一人、アスプロが報告で誰が倒したのかを明かしていく中で“鎧王”セルケトを倒したのがナルスリーとミバルという事実にアイオは目を見開く。
マヒロはシノアを担ぎながらからかい始める。
「あなたの妹もたいしたものじゃない」
「当然のことをしたまでだ」
「素直じゃないわね。喜べばいいじゃない」
「私は貴様と一緒にするな。マヒロ准将」
そっぽを向くアイオ。だが、誰にも見せないだけでフッと僅かだが口角を上げる。
(さすがは私の妹だ)
素直になれないだけで、ミバルの勝利を喜ぶアイオであった。
「ですが、負傷者が多いのが実情です。ヤマトは今、“血の師団”なる組織との交易で得た異種族の子供の助けに向かったそうです」
「なに!!? ガキがいるのか!!?」
「しかも、負傷者が多い。クレト!!?」
「グレン! 貴様の部隊を敵本拠地に向かわせろ!」
「ああ、ミート、サユユ、ゴシシ、シグミ、シン、行くぞ」
『はい/おう!!!』
「案内します」
虹の乙女の一人――ルラキの案内で、グレンたちは傭兵団のアジトへ走りだす。
「では、ゲルト公爵卿にも、このことを報告します」
「ああ」
アスプロと虹の乙女のセフィラがゲルトたち諸侯軍に報告するため、走りだした。
彼女たちを尻目に、クレトが口を零す。
「これで国は強くなった。中央だけじゃなく、北方も若い芽が出始めた」
「先輩として頑張らないとね」
「クレト様。急ぎましょう」
「ああ」
アイオの言葉に従い、クレトたちも自分らの戦場へと向かった。
“魔王傭兵団”アジト、二階にて。
生きた英雄と次世代の英雄の申し子との死闘が繰り広げられた。
「そらそら、躱さないと死ぬぞ」
「それは、こっちの台詞だ!!!」
声を荒げるユウト。
巧みな槍裁きを、ユウトは無意識に展開する竜属性の魔法による身体能力強化で軽やかなに躱している。
一見、簡単そうに見えるが、ヘクトルの槍は“静の闘気”を用いてる。
相手が躱す動きすらも先読みし、躱した方向に槍の穂先を向けて突いてくるからだ。
そうなれば、当然、相手も“静の闘気”を使用して躱さないといけない。しかし、躱した方向を突いてくる槍を躱すのは、相応の身体能力を要求する。
しかも、槍には“動の闘気”が纏われており、一撃一撃が軽々と肉を抉り取るだけの威力を秘めていた。
だからこそ、ユウトは軽やかに躱してるように見えて、内心、ドバッと冷や汗をかいていた。
「くっそ……なにもかも、俺より上……おまけに俺が躱そうとする場所を突いてくるから倍、疲れる」
「そいつはこっちの台詞だ」
ユウトが悪態をつけば、ヘクトルが悪態をついてきた。
「こっちはお前の躱す先に突いてるんだぞ。それを躱すなんざ。身体能力の高さと日頃、鍛えてる自分の“闘気”に感謝するんだな」
「うるせぇ」
ヘクトルの皮肉にユウトは声を荒げた。
鼻で笑うヘクトルだが、内心では、多少なりとも焦りが生じていた。
(このガキ。さっきよりも動きが良くなっていやがる。“闘気”の消耗が少ないのが、その証拠だ。常人なら、“闘気”をガンガン消費しないと躱せないからな。おまけに日頃から鍛えてるのであろう“闘気”の質と量が、あのガキの強さとなってる)
冷静に分析しつつ、ヘクトルはユウトの脅威を改めた。
「ガキにしては随分と心が強ぇじゃねぇか。どこで、その強さを得た?」
「心の強さ? そんな強さ。生まれたときから、ずっと身に付けてきた!」
ユウトの脳裏に過ぎる六歳の頃の記憶。
ある女性に学と力を教えてもらった後の記憶だった。
「身に付けてきた? 確かにそうだが、その体裁きはどこで身に付けた?」
「教える義理があるのか?」
「いや、ねぇな。だが、その動きに見覚えがあってな」
ヘクトルはユウトの動きや体裁き、足運びから、ある人物に似てると酷似し、彷彿とさせた。
「ああ、思いだした。キララだ。巫女騎士長を務めてた女だ。一説じゃあ、あの女は竜人族で、“アルビオン”っていう噂が流れたからな」
ヘクトルの言葉に少なからず、ユウトに動揺が走る。
(竜人族? “アルビオン”? 巫女騎士長? 何が何だか分からないが、キララっていう女には心当たりがある)
動揺と驚愕に見舞われ、隙を見せてしまったユウト。
隙を見せたユウトに容赦なくヘクトルの蹴りが叩き込まれる。
「余所見とはいい度胸だな!!!」
「ブッ!!?」
強烈な蹴りを土手っ腹に叩き込まれ、口から血を吐きながら、壁を壊し、隣の部屋に倒れ込むユウト。
ゲホッ、ゴホッと、咳き込む。
咳き込んだことで垂れる血を拭おうと右手を動かそうとしたとき、手の甲に刻まれし紋章が目に入り込む。
(紋章……純白の輝きに、雷……)
『困ったときがあったら、私の力を使いなさい』
(そういや、あの時……あの人からそんなことを言われたな)
ユウトは右手の甲に輝く純白の紋章を見ながら、変なことを考え始める。
(さっき、ヘクトル。変なことを言っていたな。キララが、竜人族で、“アルビオン”だって……確か、俺の故郷は“竜神伝説”があったっけ……)
ユウトは両手の甲に刻まれし紋章が輝きだし、腹の蹴りを治癒していく。
治癒していく中、ユウトは不思議と昔のことを思いだす。
時を同じくして、ルラキの案内で傭兵団のアジトに来たグレンら一行。
アジトが既に原形を保ってるだけの状態だったことに気づく。
「おいおい、どんな戦いしたら、こうなるんだ」
「グレン! 床を見て!」
シンの言葉に下を見たグレンたち。
床に亀裂があり、海水が流れ込んで来ていた。
「ひとまず、ヤマトの方へ行きます」
「ああ、頼む」
ルラキの案内でヤマトとヨーイチがいる所へ走りだすグレンら一行。
走ってる中、激しい戦いをしているのであろう音が瓦礫や煤や埃となって落ちてくる。
事もあろうか、廊下を走ってるだけなのに、激しい戦いをしたのであろう痕跡が至るところにあった。
「まだ子供だって言うのに、ここまで……」
「それだけ敵も強かったということだろう」
「おい、グレン」
「なんだ?」
「正直に言って、あのユウトって少年。勝てるのか今、戦ってる敵と……」
ゴシシはグレンに未だに戦い続けているユウトが勝てるのか訊ねる。
「知るかよ」
「おい、グレン。その言い方はないだろう」
「グレン様。差し出がましいことだと思いますが、ユウトくんはどこの出身なんですか? グレン様は西方の出身としかお口になさらなかった。しかし、ユウトくんの成長には私たちでも目を見張ります」
サユユの質問は部隊の皆が抱いた疑問だった。
「グレン。この際だから、正直に話してくれ。本部の方でも度々、話題になってるぐらいだ」
“隠し事はなしだ”と言外な言葉を聞き、グレンはハアと溜息をついて、話してくれた。
「あまり口外するなよ。クレトとアイオぐらいだったら、知られてもいいがな」
「教えてよ、グレン。もしかして、大帝国の西の果てとか言わないよね?」
「相変わらず、勘がいいな、シン」
「え? 合ってたの!?」
シンが答えを言ってしまい、グレンは答える気すら失せてしまったが、話すことにした。
「ユウトのガキはシンが言ったとおり、西の果ての島。“ドラグル島”の出身だ」
「“ドラグル島”……確か、竜人族が住むとされる島ですね」
「ああ、俺も最初は眉唾物だったんだが、実際、島に来たときに目撃してな」
「なにを?」
「竜が徘徊していたことだ」
「竜、か」
シンたちも実際、竜を見たことがないので、なんとも言えず、ただただ、言葉を紡ぐことしかできなかった。
「そもそも、事の発端が五年前、皇家に届いた一通の手紙が始まりだ」
「手紙?」
「ああ、おまけにライヒ皇家に伝わる獅子の紋章が捺印された手紙だ」
「おい、それって、第一級厳重封書だぞ!?」
「なぜ、そんな手紙が西の果てから来るんだ」
「知るかよ。ただ、皇帝は知ってか知らずか、俺ら親衛隊に依頼をぶっ込んで来やがった」
「五年前となれば、ちょうど、若手の中で出世街道を歩んでいた僕らに声がかかって、グレンとマヒロが行くことになったんだっけ」
「ああ、おかげで一ヶ月近く、ひどい目に遭った」
グレンの蘇る記憶はマヒロに逆強姦されそうになった。
「……で、“ドラグル島”にまず、驚いたことが、竜人族の居住地かと思ったら、人族も、その島に暮らしていた。ユウトも、その島の出身だった」
思いだされるはグレンとマヒロがユウトとの邂逅だった。
『あれが、手紙に書かれていた“ドラグル島”か』
『ねえ、グレンくん。島に来たら、宿に行かない?』
『なんで、すぐに俺を襲おうとする。痴女か、オメエ……妹に示しがつかねぇぞ』
『いいじゃん。二人っきりなんだから』
どんな言葉で言ってくるマヒロにグレンは煩わしく思えた。
『オメエ、まさか、寿休職を狙ってるだろう』
『あっ、それもありかも』
『死ね』
『アハハハハッ』
揶揄ってくるグレンにマヒロは笑って過ごした。
“ドラグル島”に来たグレンとマヒロは徘徊する竜を見て、圧巻した。
『スゲぇな。この島……』
『間近で竜を見たの初めて……』
徘徊する竜を見ていたら、港で漁をしている漁師が声をかけてきた。
『見ねぇ面だな。あんたら本土の人間だな』
『ああ、少し訊ねてぇが、この島にユウトっていうガキを知ってるか?』
『ユウト? ああ、あの盗人小僧か。知ってるが探すとなれば、骨が折れるぞ』
『どうしてですか?』
『この島は土地柄。作物が育ちにくい。ほとんどが魚か本土からの物品だ。ただ、知っての通り、この島は竜人族が住む。本土からの物品が少ない。そのため、孤児が多いのが現実だ』
『なるほどな。孤児院とかあるのか?』
『そんなのがあったら、とっくに治安ができてるよ。だが、島の反対側に竜人族の町がある。そこに行ってみるのもいいぞ』
漁師に言われて、一日かけて島の反対側に来たグレンとマヒロ。
人族の町とは正反対に賑やかだった。
町に入れば、町民の竜人族が声をかけてきた。
『おや、人族が町に来るのは何年ぶりだ』
『すまねぇが、この町に宿とかあるか?』
『あるぜ。この先の酒場がそうだ。にしても、人族がなにしに来たんだ?』
『人を探してる。ユウトっていうガキだ』
グレンの質問に、竜人族は顔を顰めた。
『ああ、あのガキか。町の店の食べ物を盗んでいく小僧だな……ったく、“竜神様”の祟りにあっちまえ』
と、竜人族は悪態をつくも、気を取り直して、グレンとマヒロに話を再開した。
『ああ、すまん。つい、悪口を』
『反対側の町でも、同じような話を聞いたが、そのガキはよく盗みに入るのか?』
『ああ、人族のくせに頑丈で、すばしっこい。おかげで、衛兵も手を拱いてるんだ』
『なるほどな』
『ねえ、さっき、あなたが言っていた“竜神様”っていうのは?』
『ああ、あの山が見えるか。あの山のどこかに竜人族の神様が棲んでるっていう話だ。実際、会ったことがねぇけど』
『会ったこともないのに、敬ってるの?』
『いや、伝説があるっていう話だけで、実際、敬ったりはしていねぇ。ただ、この島の恵みは“竜神様”のおかげだっていう言い伝えがある。なにしろ、“竜神様”の顔も知らん。銅像があるけどよ。あんなの伝説をモチーフしてるだけだからな』
『銅像があるの?』
『ああ、町の中心に広場があって、銅像が設置されている。今じゃあ、“竜神様”の威光を知らねぇけどな』
町民の話を聞き、グレンとマヒロは広場に来て、銅像を見る。
厳つい男性で、剣を手にしていた。
『こいつが“竜神”ね』
『本土で言うところの[三神]みたいなものかしら』
『本土では、[三神]の信奉者は多いからな。特に[戦神ヘルト]の信奉者が』
『うんうん。子供でも、英雄の真似事をするからね』
『さて、宿で情報を集めるか』
『強姦してくれるの?』
『するか!!』
女々しい茶番を交えて、グレンとマヒロは宿へと向かった。
宿は一階が酒場で二階が宿泊施設になっていた。
グレンとマヒロは一階の酒場で情報を集めていた。
『ユウトって、ガキか。ああ、知ってる。この町じゃあ、名の知れたいかれたガキだ』
『そのガキが頻繁に見かける場所を知ってるか?』
『残念だが、衛兵でも分かってねぇ。すまねぇ、旅人さん』
『構わん。それと“竜神”ってのはなんだ?』
グレンは次に“竜神”について訊ねた。
『“竜神様”な。詳しくは知らねぇが、“竜神様”は千年以上も生きる竜人族だそうだ』
『千年……建国時代を知る人物か』
『ああ、俺もそこまで詳しくねぇが、ある地方では、“竜神様”のことをこう呼んでるらしい。“アルビオン”と――』
『“アルビオン”…………』
グレンは店主からの話をもとに、情報を集め、一つの可能性に至る。
(もしかしたら、そのユウトってガキが “竜神” かもしれねぇな)
『これは、かなり難関な仕事になりそうだな』
『ねえ、グレン。もっと飲もうよ』
酒を飲んで、酔いつぶれたマヒロ。
『飲まねぇよ。ったく、職務中だってことを忘れるな』
(こいつが酒に弱ぇとは思いもよらなかった)
その後、グレンは酔いつぶれたマヒロを担いで、部屋で寝かしつけたところで、自分も眠りに入った。
だが、町の裏通りでは痩せた少年が歩いてたというのを――。
翌日。
酔いを覚ましたマヒロとともに軽めの朝食を食べていたグレン。
『昨晩はごめん』
『ったく、これに懲りて、酒を飲むのは控えろ』
『それは無理かな』
『無理なのか』
酒癖が悪くならないうちに注意するグレンを一蹴するマヒロ。
『私、グレンと一緒にいるときしかお酒飲まないから』
『ああ、もう、好きにしろ』
『ありがとう、グレンくん』
仲睦まじい関係を見せる二人が、職務中につき、それ以上のことはしなかった。
と、束の間、外の方で慌ただしい声を耳にする。
『このガキ。毎度、毎度、店の品を奪いやがって!』
『死なねぇと分からねぇみたいだな』
グレンとマヒロは顔を見合わせ、外に出てみれば、黒髪碧眼の少年が大人の竜人族に取り囲まれていた。
グレンとマヒロはまさか、取り囲まれている少年がユウトではないのかと思い、助けに行こうとしたとき、信じられないのを目の当たりにした。
『このガキ!!!』
殴りつける拳を少年は躱し、腕を掴んで投げ飛ばした。
続けざまに大人たちが少年に襲いかかるも、少年は子供とは思えない反応で大人たちを倒していく。
蹴りには蹴りを、殴りには投げを、掴みには殴りを叩き込んだ。
グレンとマヒロは六歳の子供の動きではないと認識させられる。
『あの子供がもしかして――』
『ああ、ユウトっていうガキだな』
(にしては、おかしい。この町の住民は竜人族だ。大人となれば、親衛隊でも佐官か将官クラスの隊員じゃねぇと倒せねぇぞ)
グレンは六歳の子供が大人の竜人族を倒せてることに驚いてた。
『ねえ、グレンくん。あの子供……もしかして――』
『ああ、ようやく、分かった。あのガキ……無意識だが、“闘気”を使ってやがる。ダダ漏れなのが、その証拠だ』
『天才、だね……』
『ああ、金の卵だ。予定通り、回収するぞ』
グレンの声にマヒロは頷き、走りだす。
ハアハアと息を切らす少年。
少年は店先で盗みを働こうとしたとき、その手を掴んだグレン。
『おい、ガキ。盗みを働こうなんざ。いかれたガキだな』
『離せ!!』
少年は腕を振るうも、手は離れず、逆に抑え込まれた。
『ガキにしてはたいした力だな』
『離せと、言ってるだろう!!!』
この時、グレンは少年が紡ぐ聞き慣れない言語を耳にする。
『“竜の咆吼”!!!』
吸い込んだ息に魔力を乗せ、咆吼を上げる。
『アァァアアアアアアアアアアアアアア――――――――――――――――!!!!!!』
キーンと甲高い雄叫びが町全体に轟き、大気を震動させる。
魔力を乗せた咆哮には、さすがのグレンも耳を塞いでしまう。背後を取ろうとしたマヒロも耳を塞ぎ、その場に座り込んでしまった。
『ぐっ!!?』
(なんて雄叫びを上げるのよ……)
『チィッ!!?』
(骨が軋む。っていうか、さっきの言語はなんだ?)
グレンは少年が紡いだ言語に疑問を抱いてしまう。マヒロも聞こえていて、今までに聞いたことがない言語だった。
少年があげた咆哮は窓を破壊し、建物に亀裂を入れる。
その際、マヒロは少年の右手の甲に純白の輝きを放つ紋章が刻まれていたのを目撃した。
咆吼が静まれば、少年は店の品を盗み、足早に逃げ出した。
一連の騒動が収まったところで、グレンとマヒロは少年が発した言語を調べるべく、宿屋にある本を読んでいた。
『ダメだな。言語の意味が分からなければ、対策のしようがねぇな』
『それよりも、言語に関する本がない』
前途多難。先行きのない解決に頭を悩ませた。
『お客様。お食事です』
酒場の店主が食事を用意してくれた。
『ああ、すまない』
『ありがとうございます』
『お客様が調べておられるのは“竜言語”のことでしょう』
『“竜言語”?』
『聞いたことがありません』
グレンとマヒロは顔を見合わせ、店主に尋ねた。
『“竜言語”は竜人族が扱える言語。所謂、魔法詠唱と魔法名が同時に行われる言語です』
『つまり、詠唱と同時に魔法が発動している、というのですか?』
『はい。ただ、魔法と違うのは、言語同士を相乗させたり、相殺させたりすることはありません。ただ、言語を並べて、魔力を乗せるだけで行使できます』
『あのガキが竜人族っていう可能性は?』
『それはありません。何度か目撃しましたが、かの少年は人族です。ですが、人族でも、言語の意味さえ分かれば、扱えるのが“竜言語”です』
『なるほどな』
(要するに、言語の意味さえ分かれば、俺でも対処できるというわけだ)
『ですが、あの少年に大人の我々が負けることはありませんでした。昨年までは追い返すことができましたが、ここ最近になって、やられる大人が増えたのも事実です』
『つまり、誰かが少年を強くさせた、と仰るのですか?』
『おそらく』
店主との話を終え、食事をしながら、マヒロはグレンに話しかける。
『グレンくん。あの時、見たんだけど、あの少年の右手の甲に紋章が刻まれていて、純白に輝いていたの。もしかしたら、あの少年……』
『精霊と契約してるってわけか――』
先の騒動でマヒロは精霊と契約してる可能性があると知り、グレンは話を聞いて、その可能性が十二分に高いと悟った。
『そういや、“竜神様”のことで、一説がありまして。“竜神様”、“アルビオン”は精霊だという伝説がございます』
店主が教えてくれた話からグレンとマヒロは頭を掻いた。
『やれやれ、長い任務になるぞ』
『相手は子供なのにね』
頭を悩ませることとなった。
それから数日おきに少年が店の品を盗みに入る騒動を耳にし、グレンとマヒロは捕らえに動くも少年の咆哮を前に逃げおおせられ、盗みを働かせてしまう。
『あのガキ……捕まえられないと踏んで、むやみやたらに雄叫びを上げやがって……』
『耳もそうだけど、骨が軋む……』
咆哮を、雄叫びを前に骨が軋み、動くのもままならないもどかしさに苛立ちを募らせる一方だった。
『ったく、ガキ一人にこの体たらくとは情けねぇな』
『本部から応援の要請を頼む?』
『いいや。無理だ。本部から、この島まで来るのに一週間はかかる。その間、なにもせずにいるのはごめんだ。むしろ、俺とお前だけで解決しろっていう上からのお達しだ。増援なんて呼ぶに呼べれねぇのが現実だ』
『そっか……』
肩を落とし、悄げてしまう。
前途多難。なかなか思うように進まない二人に店主が夕食を持ってきてくれた。
『お食事をもって参りました』
『ありがてぇ』
「ありがとうございます」
『にしても、あの少年は困りますね。盗まれた食べ物がどこへ流されているのかが分かれば、対策の程があるのですが』
『今まで、判明できなかったのですか?』
『はい。この町での盗みは基本、真夜中に行われていました。今や、昼間に起こしてる始末。衛兵も対応に遅れてるのが実際。お二方は、あの少年に何のご用で?』
店主はグレンとマヒロに、この島に来た経緯を訊ねる。
『皇家に、こんな手紙が来てな。皇帝陛下に任務として、この島に来た次第だ』
グレンは手紙を見せ、店主は手紙の内容を読む。
『達筆だからか、なかなか解読ができなくてな。だから、一緒に封入されていた、この島に来た次第だ』
店主は手紙の内容を読み、手紙の文字に見覚えがあった。
『こいつは“竜言語”と死滅したとされる“古代精霊文字”だ』
『“古代精霊文字”?』
『九百年ほど前まで使われた文字です。現代の精霊文字と違って、魔法名を口にすることで魔法が行使できると言われる文字。この文字を知られる御方はさぞ高名な精霊だと思われます。あと、皇家と五大公爵家はこの文字を解読することができると聞いたことがあります』
『だから、皇帝は、俺たちに“この島に行け”と言ったのか』
(チッ、だったら、最初から話せってんだ)
『それで、手紙には何と書かれているんですか?』
『ええ、“竜人族の町に件の少年を放つ。回収されたし”と書かれております』
『つまり、この町に、あのガキが来ることを前もって仕組まれていたのか。いけ好かねぇな』
『あと、差出人も書かれています。これも古代精霊文字で書かれてますね。ええ、と……名前は“キララ”……ですかね』
『キララ、ね』
『ありがとうございます。これで、目的が絞れたね』
『いや、問題は山積みだ。どうやって、あのガキを抑え込む方法がな』
『少年に関してのことまで書かれています。これは“竜言語”で書かれています。少年の名はユウト。素質に関しては伝説の大英雄に並び立つほど、多少の手解きを与えた故、大人の竜人族でも相手にできるほどに強くさせた。外海へ連れだしてくれ。外の世界に触れることで彼を強くさせてほしい、と――』
『手紙にそんなことが書かれていたのね』
『あのガキの強さはキララって奴の手解きを受けられていたのかよ。面倒くせぇことをしやがって』
ハアと溜息をつくグレン。だが、彼の顔はなにか策を閃いた顔をしていた。
『だが、おかげで、ガキを抑え込めれる方法を思いついた』
『本当、グレンくん!!?』
『ああ、決行は明日だ。しっかり休んでおけ』
『うん!』
グレンとマヒロは明日に備えて、部屋に戻るのだった。
翌日、ユウトなる少年を捕らえるため、作戦が決行された。
『いいか。相手はただのガキだと思うな。端っから全力でいかねぇとこっちがやられる』
『グレンくんの作戦は?』
『策は今じゃねぇ。俺個人が気になってるのは盗んだ食べ物がどこに消えてるかだ。数日おきに盗まれてるなら、必ず、どこかに仕舞い込んでるか、消費してるかのどちらかだ。まず、根本的な解決策を見出さなければ、連れて行くことができねぇよ』
『そのためにも、彼を捕らえるのね』
『ああ』
戦闘準備を整えたグレンとマヒロ。
いつでも、出動できる準備を整えた。
と、束の間に外の方からざわめきが聞こえ始めた。
『グレンくん!』
『おう、行くぞ』
グレンとマヒロは宿の外に出た。
宿の外に出れば、大人の竜人族が倒れ伏していた。
倒したであろう少年――ユウトもそこにいた。
ダダ漏れに放出している“闘気”。あれほどの“闘気”を無意識に放出してもなお、未だに呼吸一つ乱さないのはひとえにユウトの潜在能力の底知れなさを物語っている。
『あのガキ……』
『……素質だったら、元帥クラス。実力だったら、佐官……いえ、将官クラス!!?』
ビリビリと肌から伝わる“闘気”の波にゴクッと生唾を呑むグレンとマヒロ。
『チッ……ガキ相手に竦むなんざ初めての経験だ』
『本当にそうよね』
“闘気”を扱えるからこそ、ユウトの潜在能力の底知れなさを実感する二人。
袖の下の皮膚を見れば、“闘気”の凄みに鳥肌が立っていた。
(グレンくんの言うとおり、最初から本気でいかないとこっちが――)
マヒロの視界に捉えていたはずのユウトが突如として消えた。
『消えッ――ッ!!?』
(左から――!!?)
マヒロは思わず、その場にしゃがみ込めば、少年の蹴りが疾風を纏って、通り過ぎた。
あまりの脚圧に町の街灯が根元からへし折れた。
あまりの威力にしゃがみ込んだマヒロも近くで見ていたグレンも度肝抜かれる。
『おいおい、マジか……』
(直撃すれば、確実に腕をもっていかれる)
『これ……子供の蹴り?』
(明らかに熟練の達人の蹴りじゃない!!?)
改めて、少年――ユウトの計り知れない潜在能力の高さに冷や汗を流す。
ただし、唯一の弱点として――。
(“闘気”の扱い方が大雑把。まあ、ダダ漏れしているから当然と言えば、当然か)
(でも、大雑把といえど、あの威力だから……防御すらも硬いわね)
弱点を見つけるも、その弱点がプラスに働いているのが目に見えてわかる。
『弱点のマイナスをプラスに変える』
『素直というより、本能に委ねてるわけね』
『とりあえず、あのガキを抑え込むぞ』
『うん!』
少年から距離を取って構える二人が、少年は地に片足を付けた途端、またもや消えた。
『なっ!!?』
(片足をつけただけで、あの速度!!? はっ……)
マヒロは“静の闘気”による少しの先読みでグレンの脇腹に蹴りが刺さるのが見えた。
『グレンくん!! 後ろに跳んで!!』
グレンはマヒロに言われたとおりに後ろに跳んで、ユウトの蹴りを回避する。
だが、回避したけども、脚圧で凄まじく、僅かに腹を掠ってしまった。
『ぐっ!!?』
後ろに跳んで距離を取るグレン。
腹の痛みに手で傷口を押さえつけた。
腹から出る血と傷口を見て、グレンは苦悶の表情を浮かべる。
『掠っただけで、この威力かよ……』
(もろに受けたら、確実にこっちが死ぬな)
死の予感を目の当たりにしたグレンはニッと思わず、笑みを浮かべてしまう。
しかも、厄介なことは素足でグレンの腹を掠ったってことだ。
これが、もし、靴とか尖った履き物を履いていたら、ダメージは深かっただろうというのが物語っている。
『グレンくん。大丈夫!!?』
『大丈夫だが、絶対に攻撃に当たるな。もらったら死ぬぞ』
『ッ!? うん!!』
マヒロはグレンの忠告を一心に聞き、集中力を高める。
少年は意に介さず、片足が地に着いた瞬間、シュッとまたもや消えた。
『もう……!!』
(なんて機敏なの……よ!!!)
マヒロは“静の闘気”による少し先を読み、身体を捻らせ、回避した。
『ッ!!』
少年もこうも立て続けに回避されて、違和感を覚える。
(なぜ、躱せる……あの男も、あの女の声を聞いて躱せた。あの女……何かあるな)
少年の目はマヒロへと意識が向かれ、先に仕留める対象と認識した。
再び、地に片足をつけた途端、またもや消えた。
『ッ!!?』
(拳による猛攻!!)
マヒロは“静の闘気”の少し先を読み、少年の攻撃の手と向かう先が読み取れたので、直撃しない方向に躱そうとするも、再び、“静の闘気”で少し先を読めば、攻撃の向かう先に変化が生じた。
『えっ!?』
(拳の軌道が変わった!?)
マヒロは身体を捻らせて、拳の猛攻を躱す。
直撃は躱しても、余波を受けてしまい、掠った部分から血が出始めた。
『ぐっ!!?』
(私の躱す軌道を読んだとでも言うの!?)
(躱したとはいえ、マヒロの動きに対応し始めてやがる。たった数回でこの対応の早さ……)
『素直に受け入れてるから対応が早ぇってわけか』
(全く、とんでもねぇガキだ)
内心で悪態を吐いてるグレンを余所に、少年はマヒロと自分の拳を交互に見て、感触を確認する。
『また、躱した……でも、掠っては、いる……次は、叩き込む……』
少年は足に力を入れて、地を蹴ろうとしたが、蹴躓いてバタンと転がり込む。
『えっ……』
『なにが起きた……あっ……!!?』
グレンとマヒロは少年が転がり出したことに驚くも、少年の足に視線を転じれば、少年の足がピクピクと震えていた。
『足をつったのか』
『もしかして、大きすぎる力に、身体が追いついていない……』
『だとすれば、これは……』
『勝機ありね』
グレンとマヒロは立ち上がって、少年に近づこうと一歩前に足を踏めば、少年が起き上がった。
『なっ!!?』
(立った!!?)
(足をつったんじゃねぇのか!!?)
足をつったのに、すぐさま、起き上がった少年。
彼のピクピクと震えていた脚は既に回復しており、丈夫な足に戻っていた。
『おいおい、マジかよ……』
『うそでしょう……』
二人はホラーを見たように思いっきり顔を引き攣らせる。
足をつっていた少年の足が治癒され、丈夫な足に戻ったことに多少なりとも絶望する。
『不死身か!?』
『こっちがジリ貧になるだけじゃん』
マヒロに至っては涙目になる。
だが、マヒロは少年の荒い息遣いと額から滲み出る脂汗に違和感を持つ。
『あれ?』
(息が荒い……それにあの汗……まさか!?)
『グレンくん!!』
『ああ、分かってる。どうやら、あのガキ……回復に無駄な体力を使ってしまったな』
グレンが言ったとおり、少年はハアハアと息を絶え絶えに吐いており、汗をかき始めた。
右手の甲に純白の輝きを紋章も明滅し始めてめた。
少年は拳を作り、足に力を入れて、地を蹴ろうとしたけど、つんのめってドサリと倒れ込んでしまった。
グレンとマヒロは理由が分かってるとはいえ、また起き上がってしまうのではないかと疑ってしまう。
実際、少年は起き上がろうと、腕に力を入れようとしているけども、起き上がるどころか腕に力が入ってる気配がなかった。
ついに起き上がる気すら出ずに、そのままスゥスゥと規則正しい寝息を立てて眠ってしまった。
『本能に従って寝やがった』
『でも、これで……』
『ああ』
グレンは懐から手錠を取り出す。
二人は少年に近づく。
『悪ぃがガキ。拘束させてもらう』
『う、うーん』
疲れて眠ってしまった少年。
(なんか、やわらかい……こんなの、あの人と、一緒に暮らし、てた時、以来……)
『う、うーん……』
目を覚ました少年。
まどろむ意識、目に入ってきたのは、見たことがない天井だった。
『起きたか、ガキ』
まどろむ意識の中に響く声。
声がする方に視線を転じれば、椅子に座ったグレンがいた。
『ッ!!?』
少年は一気に意識を覚醒し、起き上がろうとした。だが、突如、全身に痛みが走り、起き上がるのを断念した。
『痛ぇだろう。それが、痛みって奴だ』
『い、たみ……』
少年は自分の腕を見る。両腕には手錠が掛けられており、全身の力を阻害しているのが本能的にわかる。
『今のオメエはなにも出来ねぇガキと同じだ』
『…………』
少年は自分がなにもできない無力感を味わわされ、言葉が出ずにいた。
『ガキ。オメエに聞きてぇことがある』
少年は虚ろな瞳でグレンを見つめる。
『盗んだ食べ物をどうした? 数日おきに盗んでるぐらいだ。オメエ一人で消費できる量じゃねぇ』
『お、前に話して、得が、あるの、か……?』
声が掠れているも、少年は懸命に答える。
『別に、気になるから聞いてるだけだ』
『じゃ、あ、答えない』
グレンの返答に少年は答える気がなかった。
少年の返答にグレンは頭を掻く。
『チッ……面倒くせぇガキだな』
と、そこにマヒロが宿の店主から食事をもらい、部屋に運んできた。
『お腹空いてるでしょ。食べる?』
少年はマヒロが運んできた食事を見て、僅かだが目を見開く。
『い、ら、ない』
少年は首を逸らすも、身体は正直で腹の虫が治まらず、鳴り始める。
『食え。腹が減ったら、話もできねぇだろう』
『いい』
グレンの強き口調でも、少年は食べようとは思わなかった。
だけど、腹の虫が治まらず、鳴り続ける。
マヒロはどうしてなんだろうと訝しむ。その時、彼女は少年の手を見る。
正確に言うなら、少年の手の爪だ。
(爪がほとんどない。齧った跡がある。もしかして……)
『グレンくん。彼の爪を見て』
『爪?』
グレンはマヒロに言われて、少年の爪を見れば、爪がほとんどなく、齧った跡が残ってる。
それだけの情報で、グレンは理解させられた。
(このガキ……自分よりも、他者を重んじるか。っていうことは盗んだ食べ物のほとんどはおそらく……)
『やれやれ』
グレンはようやく、少年が盗みを続けるわけを理解した。
『自分より、誰かを重んじるか』
(施しの精神、か)
グレンは少年が取る行動に興味が湧いた。
(あれだけの力を持ちながら、誰かに差し上げる精神……大人でもできねぇのを、こんなガキがするとはな)
『おい、ガキ。腹に困らせてる奴はどこにいる』
少年はグレンの言葉に反応し、顔を向ける。
『そいつらにも飯をやる。ついでに本土に連れて行けば、腹を食いつなげる方法を教えてやる』
『グレンくん!!?』
『ガキの望みを叶えてやるのが一番手っ取り早いと思っただけだ』
少年はグレンの寛容さに圧倒され、顔を俯かせる。
『あ、りが、とう』
グレンにお礼を言う少年。顔を俯かせているが、零れ落ちる滴から泣いてるのが分からせる。
『さて、ガキはひとまず、飯を食え。食ったら、行くぞ』
『お腹を空かせている子たちのもとへ?』
『ああ』
「って、訳でユウトは中央に来たわけだ」
「それが、グレン様とユウトくんの出会いだったんですか?」
「っていうか、ユウトくん。六歳の頃からグレンとマヒロと渡り合えたの!!?」
「素質だったら、元帥クラス。実力だったら、佐官クラスか将官クラスだ」
「マジ!!?」
驚きを露わにするシン。
「今はバカさ加減が出て、無駄が出ている。だが、ズィルバーのガキとの喧嘩で徐々に前のあいつに戻ってきてるのは確かだ。いや、それ以上か。あの時も“闘気”がダダ漏れだった。今は制御され、強くなってる」
「グレン様がそこまで言うなんて」
シグミが意外と口にする。
「とにかく、ユウトが自分の力の根幹に気づいたとき、あいつはズィルバーのガキとためを張れるほどに強さを得る」
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