カズ。海中の種族に会う。
新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
大詰めを迎えようとしてる最中、北海に沈んだカズはといえば――。
海中にある村に流れ着いた。
潮流、海流に流れることなく、流れ着いた。
流れ着いたカズは意識がほぼ失っていたため、誰かに助けてもらったことに気づいていなかった。
パチパチと火花が散る音がした。
カズは音が鼻腔をくすぐり、目を覚ました。
「う、うぅ~……」
まどろみの中、カズは意識でレンと対話をしていた。
『カズ。こうなった敗因は分かってる?』
(分かってる。僕の力不足が原因だ)
『そうね。最終的な結論はその通りだけど、カズは私の力をまだ使いこなせていない』
(レンの力……)
『今のカズは、私の力を扱い始めたばかり。千年前の基準で言うと英傑の道の扉の前。いえ、入ったところよ』
(英傑の道……)
『ちなみに言えば、ユウトっていう少年もあなたの同じところか一歩先を進んでいる。でも、ズィルバーに至っては遙かな先にいる』
(ズィルバーが遙かな先に……)
カズは、まだ遠いのかと実感し、歯を食いしばる。
『ズィルバーはレインの力を、摩訶不思議な力も十全に扱いこなしている。本気でズィルバーより強くなりたいなら、その次元まで上り詰めないといけない』
(どうすればいい……)
カズはレンに頼み込む。どうすれば強くなるのか。
レンは一度、間を置いてから話し始める。
『幸い、カズは今、魚人族と人魚族に助けられた。強くなる方法が残っている』
(方法が、あるのか)
『だけど、危険な賭よ。失敗すれば、命がないわ』
(僕は無様に敗北したんだ。次は負けない。いや、負けるわけにはいかない!)
カズの迷いのない声にレンは“無粋だったね”と思い至る。
『だったら、意識を覚醒させるわよ。目を覚ましたら、魚人族と人魚族の彼らから事情を話しなさい』
(分かった)
レンに叩き起こされる形で意識を覚醒させるカズ。
まどろみの中、レンとの会話は覚えており、目を覚まし、起き上がれば、焚き火があった。
(どうやら、寝ていたようだな)
カズは焚き火を見た後、周囲を見渡した。
見渡せば、薄暗い。洞窟というより、小屋の中にいた。
なぜ、小屋の中かと言えば、外から篝火か日の光が差し込んできた。
カズは立ち上がり、壁に立てかけてあった“神槍”を手にして、小屋を出る。
小屋を出て、まず、差し込んできたのが日の光。
(太陽? いや、なんで、太陽の光が……)
カズは過去を思いだす。
(カズに弾き飛ばされて、北海に沈んだ。だったら、ここは海中のはず、だったら、なぜ、日の光が……)
違和感を覚えるカズ。
すると、小屋から出たカズに群がる住民。
薄い青色の肌に魚のヒレのような耳をしている人と下半身が魚、水中生物の特徴を持つ人もいた。
カズは彼らを見て、目を見開く。
「魚人族に、人魚族……」
(まさか、魚人族と人魚族が存命してるとは……)
だが、住民たちはカズを見て、ヒソヒソと話してる。
「ねえ、人族が目を覚ましたよ」
「子供じゃない?」
「身体がボロボロだったのに、もう回復してる」
「でも、可愛いよね」
ヒソヒソと話してるのをカズの耳に聞こえる。
いや、正確に言えば、“静の闘気”で聞き取ってるに過ぎない。
「おい、起きたか」
一人の少年が臆面なく、カズに声をかける。
振り向けば、肌の色から魚人族であることが分かった。
「俺はヒューガ。オメエは?」
「僕はカズ。カズ・R・レムア」
「レムア?」
カズは自分の名前を明かせば、ヒューガは目を細め、周りの住民がざわめき出す。
「レムア?」
「レムアって、レムア公爵家のこと?」
「これでようやく、大英雄メラン様との約定が果たされる」
ヒソヒソと声が飛び交ってる。
今度はカズが目を細め、周囲を見る。
「オメエがレムアの人間かは知らん。だが、オメエの身体はどうなってるんだ?」
「どういうこと?」
「知らねぇのか。まあ、気を失ってたから。知らねぇか。オメエは海中に沈んでいく中、身体の傷が治癒されて、傷口が塞がっていたんだよ」
「あっ、本当だ」
カズはヒューガに言われて、自分の身体を見れば、傷が塞がってることに気づく。
「普通だったら、海水に触れるだけで傷が治るなんざ聞いたことがねぇ」
「僕に聞くなよ。僕も自分の身体が不思議で仕方がないんだ。それより、ここはどこ?」
カズは周囲を見渡しながら訊ねる。
「ここは“ヴェルリナ王国”の主街区だ」
「“ヴェルリナ王国”?」
「人族は、まず、来られねぇ国だ。ここは魚人族と人魚族の国だ」
「へぇ~」
カズは知らない国に来たことに目を輝かせた。
「それより、オメエはなぜ、海中に沈んでいたんだ」
ヒューガの質問にハッとなったカズはメラメラと“闘気”を滾らせる。
「カイの奴。海に叩きつけやがって。次こそはぶっ飛ばしてやる!!!」
怒りの咆吼を上げるカズにヒューガは。いや、魚人族と人魚族の住民が目を見開く。
「カイってのは、“魔王カイ”か?」
問い詰めるかのように迫り来るヒューガにカズは戸惑いながら頷く。
「そうか……」
ギリッと歯軋りするヒューガ。
カズはなにか事情があると察して、これ以上は何も聞かなかった。
「とりあえず、助けてくれてありがとう。僕はカイをぶっ飛ばさないといけない」
と言って、カズは国を出ようとしたが、ヒューガがカズの肩を掴む。
「おい、待てよ」
「なんだ、僕は急がないと」
「急ごうにも、どうやって、海上に出る。ここは深海一万メルもある。人族のお前じゃあ、水圧に耐えきれずに死ぬぞ」
ヒューガはカズを止める。
「だから、なんだ。僕には仲間がいる。あいつらが死にそうだったっていうのに、僕がこんなところでおめおめ寝てるわけにはいかないんだ! 邪魔をするなら、ぶっ飛ばすぞ!!」
カズは止めるヒューガの手を弾いて、“闘気”を放出する。
しかも、“闘気”と同時にバリバリと紺碧の雷が迸り、左目から紺碧の魔力が洩れ出す。
「……ッ!!?」
ヒューガはゴクッと息を呑み、距離を取って身構える。
カズはヒューガの構えから彼の力量を直感的に測る。
「お前。強いな」
「オメエもな」
(おまけに“闘気”まで扱えるのか)
ジリジリと緊迫する空気の中、住民はざわめき始めた。
喧騒が始まったところで、止めに入る声が来た。
「その勝負待て!」
カズとヒューガは目線だけ声がする方に向けば、役職の高い装備をした衛兵が来た。
「ヒューガ兵士。今日は休暇のはずだが」
「申し訳ございません。隊長。俺はこの人族を止めようと思い、構えただけです」
「ならば、待て。陛下がお呼びだ」
「陛下が、ですが……」
「言いたいことが分かる。ヒューガ兵士も来てもらいたい。あと、戦える準備を整えろ」
「ハッ!」
ヒューガは隊長に言われて、小屋に戻り、荷支度を整える。
「では、レムア家の者よ。こちらに」
カズは隊長なる人物に案内されて、居城に案内された。
居城に来れば、国賓扱いで玉座の間まで通された。
カズはそのまま、女王と面会する。
「そなたがレムア公爵家の者か」
「はい。カズ・R・レムアと言います」
カズは臣下の礼を尽くすも、本音としてはすぐにでも、“魔王傭兵団”アジトに向かいたいのだ。
「そなたが思ってることは分かっておる。なので、手短に話そう。我ら“ヴェルリナ王国”とライヒ大帝国との約定。いや、メラン殿との約定を果たそう」
「初代様が?」
「うむ。そなたが持つ槍。神槍であろう」
女王はカズが持つ槍を見やる。
「はい。そうですが」
カズは正直に答えた。
「そうか。カズと言ったな。そなたは“魔王カイ”を倒すため、今すぐにでも、地上へ向かいたいのだろう」
「ああ、仲間が、皆が戦っている」
「しかし、今のそなたではカイには勝てん。どうする?」
「…………」
カズはカイに手酷くやられたのを思いだす。
ギュッと拳を強く握る。
「業腹、メラン殿との約定を果たせそうだ。少年。強くなりたいか?」
「ああ、仲間を、友達を、皆を守れるなら、僕は強くなりたい」
カズは“もう負けない”と死んでも貫き通す覚悟ができたのか目が本気だった。
女王はカズの目を見て、心情を理解し、立ち上がる。
「ついて参れ。そなたを鍛えるために相応しい場所がある」
カズは女王に連れられ、城の地下に来た。
急な展開なので、カズは不機嫌だったが、強くなれるならなんだってする覚悟はあった。
城の地下に来たカズは広場に通じてるのであろう扉があった。
女王は足を止め、扉を見せる。
「この部屋に入れ」
「入れば、強くなれるのか」
カズは虫が良すぎる気がした。
「この扉の向こうは我ら魚人族も、人魚族も知らん。ただ、千年前の魚人族が作った部屋だ。レムア家の者が来たとき、“この部屋に通せ”と言われた」
「要は口伝に従ったというわけだな」
「そうだ。この先になにが待ち受けてるのか分からん。ただ、強くなりたい、なにかを守り通したいと抱いたとき、開くとされてる」
「…………」
カズは女王の言葉に気にも止めずに扉を開けて中に入る。
カズが部屋に入り、扉が閉まった途端、ガチャリと鍵がかかった。
これから僅か数分。
されど、数分。カズはズィルバーに匹敵するほどに強くなるのであった。
その頃、ズィルバーはアキレスと熾烈な戦いを繰り広げていた。
神速同士の戦い。
大英雄同士の戦い。
剣と槍がぶつかり合うだけで壁や天井、床に亀裂が入り、建物自体が崩落し始めていた。
ズィルバーとアキレスの戦いの余波を受けて、崩落し始めた瓦礫を避けながら、ビャクとルア、ムサシとコジロウが嫌みを口にする。
「すごい。委員長の戦いがここまで伝わってくる」
「このままじゃあ、建物が崩れるぞ」
「今、二階にいるけど、上階の戦いが激しすぎて、一階に降りないといけない」
「二階では親衛隊のユウトが誰かと戦ってる気配がする。あっちの戦いも凄すぎて、このアジト全体が揺れてるようだ」
二階ではユウトとヘクトルが激戦を繰り広げている。
大英雄を相手にユウトは善戦する。
巧みな槍裁きに翻弄され、手傷を負うも左手の甲に刻まれた紋章が光り、紫の魔力が傷を治癒し、右手の甲に刻まれた紋章から純白の魔力が傷の回復と同時に“闘気”と力が成長し、力と“闘気”の扱いが上手くなっていく。
ヘクトルもユウトが傷つく度に身体が治癒して強くなっていく様に恐怖を覚える。
「おいおい、化物かよ」
(さすが、アルビオンの加護だな。治癒と同時に超強化。“闘気”の扱いが上手くなっていやがる。超強化による負荷すらも左手の紋章――冥府神の加護が打ち消してる。しかも、真なる加護だ。英傑の道を進んでいやがる)
「ったく、戦う度に成長するなんざ。キツいぜ」
「いくぞぉおおおおおおーー!!!!!!」
ユウトは二本の魔剣を振るい、二刀流でヘクトルの槍と応戦する。
最初はヘクトルの槍に弄ばれていた。だが、今では、平然と対応してる。
(“静の闘気”の精度が向上してる。おそらく、一手先、二手先の未来が見えてるはず……“動の闘気”もそうだ。“闘気”を纏わせるだけじゃなく、必要に応じて、纏わせる量の調節。“闘気”の流動が滑らかになってる)
ヘクトルが戦場での経験が豊富。豊富だからこそ、冷静に分析をしていた。
冷静に分析をしているからこそ、長期戦になることを警戒した。
(長期戦になれば、俺が負けるのは確実。一気に仕留めるしかないか)
「焦ってるな」
「ッ!!?」
ユウトはニッと笑みを浮かべて、ヘクトルに挑発する。
ヘクトルはユウトに心を読まれて、悪寒が走る。
(こいつ……心を読みやがった)
「獣じみてるな」
「いや、それほどでも……」
「褒めていねぇぞ」
照れるユウトにヘクトルは褒めていないと口にする。
(こいつ……確実に俺らの次元に到達する)
ヘクトルはユウトを認め、警戒する。
今のユウトは英傑の道にいる。だが、それは扉をこじ開け、道に踏み込んで、序盤の段階。
ズィルバーやアキレス、ヘクトルのような大英雄は奥深くまで踏み込んでいる。
だが、ユウトも、カズも近い将来、大英雄クラスまで踏み込むことは間違えなかった。
ヘクトルがユウトの将来性を危惧し、早めに仕留めることに決めた。
三階で戦ってるズィルバーとアキレス。
目にも止まらぬ速度でぶつかり合う二人だったが、階下で戦ってるヘクトルの“闘気”に気づく。
「へぇ~。ヘクトルの奴が、ガキ相手に本気になるか」
「ユウトの“闘気”も、ここに来て急激に大きくなってるし。強くなってる」
「ガキも大したものだ。さすが、アルビオンに選ばれることはあるな」
「アルビオン、か」
ズィルバーの脳裏には薄水色の女性を思いだす。
「そういや、アルビオンって言えば、初代巫女騎士長が竜人族だったな。まあ、この際、どうでもいい」
「確かにな。だが、ユウトは冥府神の加護も持っている。アルビオンに、冥府神……これ以上にない組み合わせだ」
「冥府神か……確かに、相性が良すぎるな。ヘクトルも大変な奴を相手にしてるな」
「同感だ」
ズィルバーとアキレスはヘクトルの相手がユウトという事実に同情する。
「さて」
「雑談はここまでにして。ぼちぼち……」
「本気で行くか」
“闘気”を解放し、バチバチと雷が迸る。
アキレスは黒い“闘気”に対し、ズィルバーは空色の“闘気”が立ち上っている。
ズィルバーの左目の碧眼から空色の魔力が洩れだす。
もはや、止められない激闘となった。
そして、カズは扉を潜り、部屋に入れば、海中にいた。
(えっ?)
海中に沈んでいくカズ。
上を見上げれば、海面が見える。
「ゴボッ!?」
息が持たないと判断したのか藻掻き苦しみながら、海面へ泳ぎ始める。
しかし、誰かに足を掴まれ、岩場に叩きつけられた。
カズは邪魔され、憤り、文句を言おう起き上がった。
「落ち着け」
落ち着いた声音でカズを諭す。
「見苦しいぞ、子孫よ。呼吸ならできるはずだ」
「えっ?」
カズは、その声に従って、息を吐けば、気泡は出るも、呼吸ができるのがわかる。
「どうだ?」
笑みを浮かべる者は中性的な顔立ちに黒髪に黒き瞳をした青年。
カズは知らない人だけど、何処か自分に似てるとしか思えなかった。
なので、思わず――
「お前は何者だ。僕は魚人族の女王に言われて、この部屋に入った」
訊ねてしまう。
だが、青年はフッと笑みを深める。
「息の仕方を教えた者に名前を尋ねるとは滑稽だな」
「どういうことだ?」
訝しむカズに、青年は腕を振るえば、その手に握られていた槍に目を見開く。
蒼き槍を――。
「神槍……」
黒き瞳から洩れる紺碧の魔力がカズは疑ってしまう。
「まず、初めまして言おうか、子孫よ。俺はメラン。メラン・W・ブラオだ」
「メラン!!?」
(その名前は僕の先祖の名前……)
「レンと契約をし、俺と同じ力を発現したお前は俺と同じ力を得た」
「えっ?」
(初代と、同じ力……)
呆けてしまうカズ。
だが、呆けるカズを無視するかの如く、接近してくる。
「フッ!!」
「ッ!?」
ガキンと金属同士がぶつかり合う音が拡散する。
「いったい、なにがなんだよ!!?」
押しつけられる槍を弾き返すカズ。
弾き返されたメランは水中でも自在に衝撃を受け流して、静止する。
「なんで、いきなり、戦うことになる」
カズの率直な疑問にメランはカズの心を読む。
「どうやら、レンからは詳しいことを聞いていないようだな」
「レンから?」
(どういうことだ?)
カズはメランの言葉が分からず、疑問を労する。
「この部屋は俺と同じ力を持つ子孫が来たときのために作っておいた」
「だから、同じ力って……」
「こいつのことだ」
メランは自分の左手を見せる。手の甲にはカズと同じ紋章が刻まれていた。
「なんだ、それ……」
「あっ? お前、自分の手の甲を見ていないのか」
カズの動揺にメランは思わず、聞き返す。
カズは彼に言われたとおり、手の甲を見れば、左手の甲にメランと同じ紋章が刻まれていた。
「これって……」
カズは自分が、このような紋章を見たことがなかった。
メランはカズの動揺に訝しむ。
「一つ聞く。どれほどの時が経過した」
「千年経過した」
「千年、か……もうそれほどの時が経ったのか」
メランは時の移ろいを肌で感じた。
「僕は強くなりたい。どうすれば強くなれる」
カズは強くなる方法をメランに訊ねる。
「強くなりたい、か」
メランはカズの要望を聞き、“静の闘気”で心を読む。
心を読んで、事情を把握した。
「なるほど。強大な敵に負けたばかりか。子供が大の大人に挑むのがバカなことだが、北方のことを思い、槍を手に取るか」
「なんだ、僕の在り方を否定する気か!!!」
「いいや。しねぇよ。お前の生き方を尊重しよう。故にあえて問うぞ。お前はどうする?」
「どうする?」
「一度、敗北したお前はまだ、北方を守りたいと口にするのか?」
メランはカズの心を突き、揺さぶりをかけてくる。
しかし、カズが心の内に秘めたのは、怒りだった。
怒りが心を支配し、感情を爆発させる。
「北方を守るか、だと? ふざけるんな!!!」
カズの身体から滲み出る“闘気”。
メランは槍を盾に“闘気”を受け止める。
「ほぅ~」
(子供にしては、信じられない闘気だ。感情が爆発したことで自分の限界を突破してる。今まで、壁にぶつかってきたのが目に見えてわかる)
“闘気”の衝撃波をメランは一身に浴び、若干、萎縮する。
「そういや、初代様には一度、殴りたいと思っていたんだ。レンを悲しませた罪、あんたの不始末……僕がケジメを付ける」
カズは神槍を構え、爆発させた“闘気”を身の内に静めさせる。
メランはカズが言い放った言葉から真意を悟った。
「そうか」
(俺の手記を読み、“蒼銀城”を解き放ったのか)
メランはカズが持つ神槍を見て、レンの気持ちを察する。
「どうやら、レンとの絆が深まりつつあるな。だが、まだ浅い」
メランは目を見開き、左目から紺碧の魔力が洩れだし、“闘気”を解放させる。
「っ!!?」
カズは槍を盾にし、“闘気”を受け止める。
(す、すごい……これが、伝説の時代を生きた戦士の“闘気”……)
「この俺をぶん殴りたいだったよな。だったら、やってみろ!!! この俺を乗り越えてみろ!!!」
カズとメラン。
“氷帝レン”を契約する担い手にして、過去の大英雄と未来の大英雄が衝突した。
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