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転生英雄の学園譚  作者: 柊銀華
学園入学前
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英雄は異能体質を思い出す。

卒論を完成させないとだけど、執筆がぁ~。

 心臓が、鼓動が急に高鳴った。身体中の血流が速くなる。血流が速くなったことで身体が火照ってきた。

 いきなりのことで、俺は


「ぐっ!?」


 胸に手を当て、荒ぶってる鼓動を落ちつかせようとする。だけど、血流が収まるどころか、加速していくばかり。

 頭が痛い。眩暈もしてくる。吐き気も催してきたし。気が昂ぶってきて集中ができない。しまった。俺が性転換の異能体質だったのをすっかり忘れていた。この苦しみは性転換からくる苦しみだ。

 まずい。ヘルトだった頃、自己魔力調整(セルフシャフト)を体得したからなんとかなったけど、今の状態だと使えるか分からないぞ。俺の異能体質――“両性往来者(トラフィックダイト)”。


 “両性往来者(トラフィックダイト)”。言うなれば、“性転換”のことである。性別が逆転する体質だ。男が女に、女が男になるという現象。この世界においては、稀にして、稀有な体質の一つである。だが、逆に言えば、その体質は不審がられ、忌み嫌われやすい体質でもある。

 この体質にも良い所が沢山ある。魔力循環が男女で異なることだ。男と女で魔力循環が違う。それを利用して、魔力を溜めることもできる。次は男と女で戦い方が変わることだ。たとえば、男の時は剣とか拳での肉弾戦、近接戦が得意。女の時は魔術特化で中遠距離型の戦い方に変わるだってある。さらに言えば、得意な魔術が変わる。たとえば、男の時は身体強化といった無系統魔術。女の時は炎や氷といった元素魔術。という風に性別によって得意な魔術が変わる。

 ただし、それらの良いところがある反面。悪いところがある。未熟な人が、性転換の異能体質は身体を酷使する。その特徴が男から女になった時の魔力循環が変わることによる体調悪化だ。頭痛だったり、吐き気を催したり、わけもなく気分が昂ぶって集中が出来なかったりする。そのため、“両性往来者(トラフィックダイト)”は自己魔力調整(セルフシャフト)を体得しないといけないのだ。


 息切れが激しい。動悸と吐き気もする。これは間違いなく、性別が男から女に変わる瞬間だ。でも、条件はなんだ?

 俺はさっきまで、異性。女性の見てはいけないところや柔らかなところには触れていない。だったら、いったい…。

 俺はこの時、窓越しに夜空に浮かぶ月を見る。しかも、月の形が満月だった。満月を見た瞬間、あることを思いだした。

 しまった。英雄だった頃、精霊たちから教えてもらったじゃないか。満月の夜はマナが充満するって…。それが下地になって、性転換を引き起こしたのか。これはもう忘れていたとしか言えない。クソ…。ハアハアと荒い息遣いをしたまま、ベッドに倒れ込む。

 頭が痛い。仕方ないがこのまま寝た方が良いな。このまま、男から女になるしかない。ちくしょう。また、自己魔力調整(セルフシャフト)を体得しないといけないのか。と、悔やみを抱いたまま眠りについた。

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