騒がしい誕生日
最近テッパン王道になってきた異世界転生やら転移チートやら、乙女ゲームの悪役令嬢ざまぁ、過去トリップ歴史改変やら新撰組系と、主婦になっても子供ができても変わらず好きでよく読んでいたラノベな話が、ここ最近ネットや書店で溢れかえって飽きてきた昨今。
実際に今、自分が体験して置かれてるこの状況に・・・・・戸惑う。
そう、なんと今!私は赤ちゃんだ!
ぷにぷにした赤チャンの手が、感覚で自分の手だと理解してからがパニックだ。
どうしてこうなったのか、思い出せない。
記憶がなかなか整理できない。
わーわーと、なんか周りは騒いでいるようで五月蠅いし。
視界はぼんやりしていて見えにくいが、大きな人が近くに何人かいるし、虫より大きなのがあちこち激しく飛び回ってるのはわかる。
だがなんて言っているのか、聖徳太子じゃないんだから、みんなの話1人1人、いや、一匹?一匹?の話を聞き取りにくいくらい騒がしいが、みな喜んで騒いでいる、らしい。
どうやら私の誕生がうれしい、とか。
目の前の、飛び交う妖精たち?がうじゃうじゃで!!
つーか!逆ギレしそうだわ!!
喧しい!騒ぐなッ!!
あ。静かになった。
心の声が伝わってなりより。え。心読めるのかな?
ん?違う?精神感応?ほー。すごい。
たくさんの小さな小さな声で、謝られ、嫌われたのでは、と戸惑いの感情が伝わってくる。
いや、嫌ってないよ。煩かっただけだよ。
泣かないでねー。
いやしかしメルヘンだわー。
夢落ちだったら、なんてリアル。
え。現実?やっぱ転生なんだ?
妖精て。精霊て。ファンタジーじゃん。と夢だと半ば本気で思ってたのに、これが現実て。
おわ。私、《異界神イデア様》って神の、《愛し子》?なんだ。
《愛し子》って。ナニソレ。しらんがな。
魂が偶然異界から異界へ渡ってきた貴重な存在なんだ?へー。
そしてなんとなんと!
妖精や精霊の存在にふんふんと話を聞きながら実感していると。
メイドみたいな服装の外人少女が中2病丸出しな呪文を唱えたら、ぼんやりした目でもとらえたよ!
その手から水の玉が出てきて!桶を満たし、私の身体は洗われて。
もうね、リアル魔法少女だよ!魔法少女!
魔法が使われてビックリ!&周りには絵本に出てくるような可愛いメルヘンな妖精たちや美しすぎる精霊たちが四六時中騒いでるしでリアルだし。
しかもワタクシ!みんなの話をまとめると、この国の正妃の待望の!唯一の子で第2王子!
転生王子様キタコレ!ナウ☆である。
あの苦しくて苦しくて、苦痛しかなかったあの騒音をシャットダウンしたくてもがき続け、頭を抱えたい、耳をふさぎたいと、自分の耳に、内側にギュウッ!っと押し込めた感覚がして、ピタッっと騒音は止んだ。
穏やかな声だけがちゃんと言葉として耳に届くようになった。
下級の数多いる精霊たちの声を遮断したらしい。
ごめんけどホッとした。
そうして月日は流れ。
生後4ヶ月も経てばいやでもわかる。
自分の生れの立場や周囲の状況が、赤ちゃん(私)以外いない部屋での会話や独り言を聞き集めれば、嫌が応にも理解できた。
あの長い時は胎児状態で、騒がしかった声は、精霊や妖精たちの声だったんだと、産まれてから理解し愕然としたものだ。
誕生し、空気が肺に初めて入った時、光の洪水が閉じた瞼越しに溢れ驚く。
文字通り、黄金色の光が室内に溢れたのだ。
そして私の右手の甲には光の聖霊文字が刻まれてた。
後日耳かじった話では、周りの大人たちは「光の聖霊様のの祝福だ!」「光の聖霊様が殿下のお誕生をお喜びに!」と騒ぎ、急遽宮廷魔法師長である白髭おじいさんが呼ばれた。
本来ならみな、3歳になる日に神殿にて魔力判定は行われるが・・・・。
第2王子とはいえ、正妃が初めて産んだ息子が、初代王妃であった光の聖霊王の祝福を受けたとなれば騒ぎになるはのは必然で。
だが結果は。
「・・・・・ダメです。何度お調べしても殿下に微量も魔力を感じられません」
「っ!で、では!《魔力なし》だと言うのか!?光の聖霊様の祝福があったのだぞ!!」
若き王は唾を飛ばす勢いで、王宮筆頭魔術師長に迫った。
「・・・それをふまえての慈悲による祝福かもしれませぬ・・・。
こればかりは聖霊様に真意を問わねば解りかねます」
「・・・しかし真意を問おうにも、最早初代王と光の聖霊妃様の血は薄れ、今や王族から誰1人として精霊と言葉を交わすものも視認できる力がある者もおらぬ!」
悔しげに歯噛みする王。
この人が父親かぁ。と、ベッドから見上げる。
うん、さすが王様。イケメン!
(私見えてるよ~。たぶん、魔力あるよ~。ギュウギュウに自分の内側に抑えちゃっただけだよ~)
「あう!あう!ぶぅ~・・・・!」
『レイフィル可愛い♪』
『最高神ラウル樣に匹敵するくらい魔力があるのに、これがわからないだなんて、無能ね』
『レイフィルを害するつもりなら、容赦しない』
色々上級中級精霊たちの会話がおっとろしぃデス。
いやね、僕を産んだお母様(王妃サマ)が小さく呟いたんだ。
「魔力が微量もないだなんて・・・わたくしの子じゃないわ。
精霊にとりかえられたのよ・・だからわたくしの子じゃないわ・・・」
それ確実に聴いた精霊たちが怒ったんだ。
で、部屋の中の温度が急激に冷えていったんだけど、必死に止めたさ!!もうね!
必死に!!
この体はまだ弱くて小さくて、魔力や神力が強すぎるから内側に封印しちゃったけど、ある程度成長したら解放するから大丈夫だと説得。
さてさて。
悲運の王子様の運命やいかに!?
『『『レイフィルに害するなら容赦しないから!』』』
だからやめたげて~!!!