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幽霊とアイス  作者: 野干
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「こんばんは」


とにかく、何だかんだと言いながら結局はコンビニまで向かう俺に、背後から声がかけられた。

知っている声だ。

彼女が声をかけてくるのは、俺にとってはそこまで珍しい事ではないのだけれど、何故かご近所では不思議がられているらしい。

…そんなことは置いておいて。


「こんばんは」


別に無視をする訳でもない。

振り向いて、ちゃんと彼女に挨拶をする。

別に人付き合いが得意という訳でもないが、これ位は俺ぐらいだってするものだ。

相手が、美少女だからとか、そういうことでは断じてない。


「あ、あの」

「ん?」

「卵焼き、しょっぱいか甘い、どっちが好きですか」

「…甘いの」

「ありがとうございますっっ」

「いやおい、ちょっとまて!」


早速逃げるように帰ろうとする少女の手首を思いっきり掴んでしまう。

掴んだ手首は細くて折れそうで、握ったところは白くなってしまっていた。

まあそれはいつもの事なのだが。というか気にするところでもなくて。


「やあああああ」

「お前なあ、人に質問してすぐどっか行くのやめろよ…、で、今回はどうしたんだ」


今回。

前回、前々回もした事と同じ。

それは、恋バナである。

ただ、自分からふってくるにも関わらずすぐ逃げようとするが。


「卵焼き…いや、じゃなくて、お弁当をね?作ってあげようと思って…」

「彼氏にか。あのさあ、それは彼氏に聞くのが普通だろ?彼氏が甘いの嫌いだったらどうすんだよ」

「うっうるさいばか」

「ばかはおめーだよバカ」


睨み合う2人。

これでも仲が良いと言われるのはどうしてなのだろうか。

傍から見れば、じゃれあっているようでも見えるのだろうか。

…それはそれで問題だが。


「で、お前弁当作るのはいいけど、卵焼き以外になんか作れんのかよ」

「えっ、ウインナー…」

「他は」

「…れいとうしょくひ」

「言うと思ったけどそれは料理じゃねえからな」

「あと生魚」

「却下。駄目駄目じゃねえか」

「うう…」


呻き声をあげつつ項垂れる少女。

本当に、料理が苦手なようだ。

というか、きっと誰にも教えて貰ったことがないからなのだろう。それは、仕方のないことなのだろうけれど、それが自分にとって納得のできるものでは無かった。

だから、放っておくことが、自分には出来なかったのだ。

昔の過ちと同じように。


美しいものになりたいという気持ちはあるけれど、美しいものをずっと見ていられたらなあとも思います。

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