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さらさらとした茶色がかった髪に、華奢な体つき。潤んだ双眸が俺を捉えている。
女みたいな顔だ。
そのせいだろうか、強く拒否が出来ない。
子供は嫌いだというのに、奇妙だ。
俺が俺でないような。
そんな気がする。
「違うだろ…俺が引っ越してきたらお前がここにいたんだ」
「ほんとにそう思ってるの?」
「初日に挨拶しただろ」
「ふーん?」
意地の悪い笑み。
それがどうも色っぽく見えるのは、俺が悪いわけじゃない。俺じゃない。
「にいちゃんさぁ、俺の名前覚えてないでしょ」
「いや、覚えてるよ…確かソーヤ、みたいな名前だったよな」
「相馬だけどね」
「なっ…そういうお前は俺の名前忘れてるだろ」
「?健二でしょ?」
「…」
覚えられていた。
「ソーヤでいいだろ、調子のんなクソガキ」
「にいちゃん、とりあえずアイス食べたいな」
「無視かよ」
名前よりアイス。
やはり子供、食欲には勝てないようだ。
いや、そもそも幽霊に食欲なんて無いはずだけれど。よくわからない。
「僕、これ。このアイス」
「一番安いやつだよなあ」
「これが一番美味しいんだよ」
俺のスマホ画面を覗き込んで、嬉しそうにする。
アイスが並んだスマホ画面。
そこまで人気がなさそうなアイスだなぁと一人思うが、本人にそれは伝えない。
伝えたところで、意味はない。
「アイスアイス!」
小さな体が駆け出す、というか浮く。
俺もつられて、ドアへ向かった。
ローズ苦手なのにローズの入浴剤買いました。
アホです。