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第1話「月曜日」
通勤小説
第1話 月曜日
通勤電車の中で生まれた少年は次の駅に着くまでに小説を書き終えなければならない。
だけどさ、彼には一駅分の人生しかないから。
ロクな小説なんか書けやしない。
ただあるのは何かを書きたいという気持ちと、何かになれるんじゃないかという期待。
少年は駅に着くたび、係員の手によって銃殺される。
何かを掴もうとした瞬間に、ショットガンの銃口が彼のこめかみに突きつけられるのだ。
まだ吊革に捕まることも知らない少年たちは、反対車線に乗っている、万年筆を握った少女たちのことを知らない。
帰宅。