狩猟日記 第4話
「ちぇ。部活が出来ないなんて、何しに学校来てるのか分からないじゃんか」
「でも、仕方がないんじゃない?一応“緊急時”なんだしさ」
「あのな、部活やってないお前には分かんないかもしれないけど、休むとその分腕が鈍るっていうか、なんて言うんだろう・・・。ともかく、休みすぎるとダメなんだよ」
「へぇ〜」
確かに部活に入ってない僕には到底解りっこないことだ、なんて思いながら、何気に羨ましかったりもした。
Y市で起きた連続殺人事件が発生してから、そろそろ1か月が経とうとしていた頃。
学校側は部活動の活動を禁止したのだ。
被害者は、このペースだと2桁に突入してしまいそうな勢いで出ている。
対して犯人の情報。事件解決に結びつくような証拠は未だに出ていない。
この所、暗くなるとよく警察が巡回しているけど、その甲斐空しく事件は起き続けている。
と、そんな物騒な話しが学校中に広まる中、部活が出来ないと悔やんでいるのは、隣にいる裕人だけではないはずだ。
「どうせ、俺らが襲われるわけがないんだからさ。正直、関係ない話しだよな。っと、それは言いすぎか」
「まぁね。僕らが襲われる確率なんて、無いに等しいだろうね」
そんなことを話しているうちに、下校中の僕らはお互いの自宅付近に着いた。
僕と裕人の家は、道路を挟んで向かいの家の隣。
裕人と別れたあと。と言っても、1分と経たないうちにだが、雨が降ってきた。
僕は急いで家に入る。
テレビをつけると、やはりあの事件のニュースだった。
『正直、関係ない話しだよな』
そんな裕人の言葉を思い返す。
それは、正直言って、僕の本心でもあった。
自分の住む街で起こっているというのに、どうにも他人事のように思ってしまう。
実際、自分の身に起こっていない点、他人事には変わりないのだろうけど、だからと言って事件を傍観出来る立場でもないことに、僕は気がついていなかった。




