狩猟日記 第3話
私は獣。
私は、あなたを殺したい。
◇◇◇◇◇
「・・・へ?」
僕は現在テレビを見ながら一週間後に控えたテストに備えて猛勉強中。
その合間の息抜き。
テレビのチャンネルを変えようとしたとき、聞き慣れた言葉が耳に入った。
『11日朝、I県Y市の民家で、「人が死んでいる」との通報がありました。
死亡したのは伊崎豊さん(35)とその妻、有紀さん(33)とその子供の隼太くん(5)。遺体には巨大な爪で引っ掻いたような傷が無数にあり、死因は失血死とみられています。警察はこれを殺人事件とみて捜査を進めています。それではまた、情報が入り次第お伝えします。』
白いコートを着た女性リポーターが一礼して、画面が切り替わる。
I県Y市は僕の住んでいる町。そして、テレビには見覚えのある建物が背景と化していた。
恐怖とか、不安とか、そんな気持ちはなかった。ただ、へぇーそうなんだ、程度で。
だから僕はこの事件を他人ごとのように考えてた。
一昨日までは。
3日連続で続いた、Y市の殺人事件。
さすがに3日続けば関連性について気がついてもいい頃だろう。
狩猟殺人なんて、小説のサブタイトルめいた名前を付けるというのも、センスとしてどうなのかと思ってしまう。
まぁ実際そんなことを考える余裕もないほど、このときの僕は混乱していたのも事実のひとつだった。