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fate ・・・  作者: -彼方-
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再生理論 第23話

「はいこれ。依頼」

パソコンのディスプレイを見たまま、1枚の紙を差し出してきた。


「僕に渡すんですか?」


「調査してこいってこと。よかったな。その家、ここから2駅しか離れていないらしい」


その紙には依頼の内容と、ご丁寧に住所と周辺の地図が書いてあった。

依頼の内容を読んで、少し馬鹿らしくなったので声に出した。


「『閉めたはずのドアが開いていた。地震でもないのに棚が揺れる。いきなり花瓶が落ちた』って、なんですかこれ。完全にポルターガイストじゃないですか」


「バカか貴様は。どうしてここにその依頼が回ってきたと思う」


抑揚のない声で、冷静にそう言った。


「誰かの仕業ってことですか?」


「そう。ポルターガイストに酷似しているが、これは違うな」


アサカさんにはそう断言出来るだけの根拠があるらしいが、恐らく僕には理解出来ないことだらけなのであえて聞かないでおく。


「警察が捜査したところ侵入した形跡は無く、証拠になるようなものも無かった。どういう意味か分かるか?」


こういうところで性格の悪さがでるんだよなぁ何て、僕は口に出したら殺されかねないことを思った。


「家の中に入らずに、閉まっているドアを開けて、棚を揺らして、花瓶を落としたということですか。何者ですか、この犯人」


「それを調査するのがお前の役目。まぁそうだな。家の前で張り込みでもしてみればいいんじゃないか?」


「適当ですね。そんなんで本当に犯人なんか・・・」


「分かるよ。それで」


僕の言葉を遮るように、後ろから声がした。

いつの間に入ったのだろうか。開ければ軋む古い扉が、今回は無音だった。


「カエデはすでに見当が付いてるみたいだな」


「最初はRSPKだと思ったけどな。けどそんなことはどうでもいいよ。それよりもさ」


「分かったか?」


「あぁ。あいつ、読み取り専門だろ。自分が読まれたことに気づいてないよ」


2人は何事もなく、当たり前のように話を進めたが、僕は待ったをかけた。


「ちょっと待って下さい。RSPK?・・・えっと、何ですかそれ」


僕を見るその2対の目は『そんなことも知らないのか』と言いたげだった。


ため息をつきそうな間を開けて、アサカさんが説明してくれた。


「再起性偶発念力現象。ポルターガイストとは違うが、それのカテゴリのようなものだ」


分かるか?と聞いてきたが、僕は首を横に振った。


「ポルターガイストはオカルト現象ですよね?それのカテゴリってどういうことですか?」


ポルターガイストは、霊的な現象であって、それだけのものだと思ってた。

それにもカテゴリ。つまり種類があるとアサカさんは言うのだ。


「RSPKっていうのはな、思春期のこどもが無意識に働かせる念力のことだ。現象はポルターガイストと殆ど変わりはない。では一般的なポルターガイストと何が違うかというとだな。RSPKの場合、同じ現象が繰り返し起こるんだ。毎日のように、決まって棚から物が落ちる、とかな。だが依頼主に聞いたところ、特に同じ現象ばかり起こっているわけではなさそうだからな。これは違う」


そういうことか、と納得した。



「だからさ。もういいよ。そんな話は。それよりもアイツのこと。もういいだろ?」


「ダメだ。それに、きっと必要ない」


「必要ない?どうしてだよ。もう用無しだろ?」


「確かに用はないが、ダメだ。あれは人間だからな」


「・・・チッ」


カエデは小さく舌打ちをしてからソファーに腰を下ろした。


「でも確かに、要注意人物だよ。あいつ」


「素性、分かったのか?」


「あぁ。あいつのことならあいつより詳しいよ。脳髄の底から全部分かる」


「そうか。まぁ相手の能力が仇になったってとこか」


2人が言う『アイツ』とは、恐らく彼女のことらしい。


「彼女について、カエデ、何か分かったの?」


「だから、さっきも言っただろ。全部分かったって」


「全部って。じゃあ名前は?」


「名前なんて重要じゃない。重要なのは、何者かってことだ」


何者か。確かに彼女は普通じゃない。


「普通じゃない奴にとって、名前なんて重要じゃないんだよ。名前っていうのは個人を特定するものであって、それ以外に個人を特定出来るものがあれば、この際名前なんてものはいらない」


「名前なんていらない・・・」


そういえば、彼女は自分から名乗らなかった。

それを言いかえれば、名乗る必要がなかったのではないか。いや違う。名乗りたくなかったのではないか。



「マスミ。お前、騙されてるよ」



カエデの言葉が頭に響いた。

頭が真っ白になって、座ったままなのに、ヒドイ立ちくらみにあったような感覚が僕を襲った。


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