狩猟日記 第6話
「7人目?」
「そう。あくまで分かっているものは7人だというだけで、実際にはもっと多いかもしれんが、まぁそれはないだろう」
巷を騒がせている殺人事件の被害者は、昨日で7人目に達したと、ニュースでは伝えているらしい。
アサカ曰く、6、7人目の被害者は、死体の様があまりにも酷く、発見直後は、付近のビルを封鎖。さらに四方を青色のビニールシートで隠すという徹底ぶりで、外からはまったく様子を窺えないようになっているらしく、数分後に撤去された後も、夥しい血痕の量から、その死体の異様さを物語っているらしい。
「しかし、どのニュースもこの事件のことばかり放送しているんだが。知らなかったのか?」
「興味ない」
正直、世間がばか騒ぎするのは、この事件が例を見ないほど特異なものだとか、話題性に富んでいるからだとか、そんなものまったく関係の無い話しだ。
「ただ単に、世間が騒ぎたいから騒いでいるだけじゃないか」
こんな残虐なだけの事件、1世紀もすれば珍しいものでもなんでもなくなるのは目に見えている。
「そうか。じゃあカエデ好みの話しをしてやろう」
「何だ」
その反応に、目の前の魔法使いは、ニヤリと薄い笑みを浮かべた。
不覚にも反応した手前、聞かざるを得ないのだが、別に聞きたくないわけでもない。
暇つぶしくらいにはなるだろう。
◇◇◇◇◇
『速報です。今朝6時頃、I県南部で若い男女の遺体が発見されました。通報したのはビルの清掃員の男性で(36)で、発見当時、男性の遺体は頭から鋭利で巨大な刃物で切り裂かれたような状態で発見されており、女性の遺体は首の骨を捻じ曲げられたような状態で、どちらも異様な遺体状況だったということです。警察はこれを殺人事件を断定し、これまでの事件と同一犯ではないかと見て、特別捜査本部を設置し調べを進めております。』
捻じ曲げられた、という表現は不適切ではないか、などと思う前に、ブツン、とテレビの電源を落とす。
正直、ブレーカーごと家の電気をシャットダウンしたくなるようなニュースの内容に、少々気分を害した。
「唯一バラエティを放送していた番組だと思ったんだけどなぁ・・・」
最悪だ、なんて、誰もいないのに愚痴ってしまうほど、僕は憂鬱な気分だった。
最近は、ニュースのみならず、普段放映している番組を潰して、この事件の解説やらなにやらで、あまり興味のない僕でもこの事件の内容は覚えてしまっている。
本当だったら、こんな事件の内容より、テスト前の学生である僕は、方程式の1つでも覚えたほうが得なのだが、毎日みているこの事件に、無理やり脳に刷り込まれている感は否めない。
そんな、最近巷を騒がしている事件の概要は、これまでに殺害された人数と、その死因以外分かっていないらしい。




