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女の子は、二人だけじゃない(O2)

 朝起きると、布団の横に女の子がいた。それも生まれたままの姿で。


「またか……」


 通常なら何かとんでもない過ちを犯したのかと疑うだろうが、大方予想は付いてるので驚かない。


「あれぇ? ここはどこですか?」


 その少女はもちろんカオリでも、チヒロでも無い。

 ふんわりと緩いウェーブの掛かった長髪は、自然な茶髪をしていて、彼女がこすっている目は目尻が垂れ下がっている。一見すると、品のいいお嬢様の様だった。年代は人間年齢で表現すると、小学生とも中学生とも取れそうだ。どうせ人間じゃ無いだろうが。


 その少女は見た目に違わず、丁寧な口調で喋った。


「はわわ、申し訳ございません! 見知らぬ殿方にわたくしのはしたない姿を見せるなんて、なんてご無礼を!」

「そうだ! 私だってそんな大胆な事はしないのに……うわっ、司よ! 何をするんだ!」


 いつの間にか起きてきて、少女にまくし立てるチヒロの襟を引っ張り、引き離す。


「いいから話をややこしくするな。君も気にするな、どうせ何か起こった訳じゃ無い。ほら、これでも着ろ」


 この前、空気ズの服を買いに行った時に、もしものために買っておいた服だ。ちょうどサイズが合っていた様で、少女は滞り無く袖を通した。


「私の無礼を許して頂いた上に、この様な服まで賜るなんて……えっと、司様……でよろしいでしょうか?」

「ああ茨木司だ。だが、様付けはやめて欲しいな。なんかくすぐったい」


 大体、様付けされる様な人間じゃ無いし。


「そんな、貴方の様な聖人に、そんな畏れ多い事……いえ、それでも貴方の願い、ここは妥協しましょう。私、酸素は茨木司さんをお慕いし、未来永劫付き従います」


 どうしよう。可愛いけど……すごく重い。




「やはり、貴様は生意気だ! 私の方が早くから司と一緒にいたのに」

「あら、年功序列なんて前時代的な考えですわよ。この世は所詮実力主義、司さんに纏わり付く虫はぶち殺してあげますわ」


 チヒロが酸素に突っかかる。酸素の物騒なセリフと手にしたナイフさえ無ければ、子ども同士の喧嘩など微笑ましいものだ。


「おい、酸素。もう少し慎みのある言葉遣いをしたらどうだ。表面だけ取り繕うはどうかと思うが……」

「ああ! 申し訳ございません! ですが、この子が何か勘違いしている様だったのでお灸を据えてあげようかと」

「うん、謝る気があるならその手に持ったナイフの投擲をやめようか」


 チヒロが涙目だ。空気なんだから刺さっても大丈夫なんじゃないの? とは、思ったが、そりゃ誰でも壁に突き刺さる勢いでナイフ投げられたら怖いわ。

 あと、こんなに騒いでいまだ眠っていられるカオリの図太さも何とかして欲しい。


「な、な、何をするか!? 殺空気罪で訴えるぞ!」


 何だよ、殺空気罪って。


 良くも悪くも、茨木宅はまたもや騒がしくなったのだった。

ヤンデレって難しいよね!

酸素はヤンデレキャラにしよう決めていたが、蓋を開けてみれば、ただの暴力系お嬢様だったの巻。

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