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勉強なんか嫌い! でも、学んじゃうっ!

 朝。気持ちのいい朝だ。部屋にはカーテンの隙間から全てを包む様なおおらかさを持った朝日が差し込み、外では漫画の如く雀たちが鳴いている。


「おはよう、カオリ。いい朝だな」

「あら、司。おはよう」


 珍しくカオリが早起きしていたので、俺はカオリの頭頂部に手をポンッと置こうとした、が。


「うおうっ!? 透けた!? やべえ、手が顔を貫通しててちょっとグロい!」


 特筆すべき事は全て口に出した。俺の手は本来ならばカオリの頭によって止まるはずだったのだが、現実はそれを通り抜け、あらぬ位置に手が存在している。俺は慌てて手を引っ込めた。


「何よ、うるさいわね。空気なんだから透けるのは当然でしょ」

「それもそうか」


 カオリの言葉により、俺は冷静さを取り戻す。


「でもカオリ、いつもより何か透明じゃない?」


 心なしか、カオリの後ろにある風景が透けて見える気がする。


「あら、そうかしら」

「あ、戻った」

「ちょっと気が抜けてたみたいね。……そろそろまずいかしら」

「何か言ったか?」

「いえ、何でもないわ」


 確かにカオリは最後の方に何かを呟いた気がしたのだが、はぐらかされてしまった。


「どうしたのだ、司」

「ああ、チヒロ。おはよう。何でもないよ」

「そうか、それは良かった。おはよう」


 チヒロも起床して、こちらにやって来た。他の二人も起きてきたみたいだ。


「おはよう。みんな起きたな」

「はいおはようございます」

「おはよう、司さん」

「みんな揃ったところで、話したい事があります」


 俺は皆に向かって正座をする。


「何よ、改まって」


 カオリはそう言いつつも、釣られて正座をする。三人もそれに続いた。


「実はな、俺、大学に行こうと思うんだ。今なら金もある。このまま自堕落な生活を送るのも良くないと思ったんだ」

「それで、何で私たちに伝えたのよ。司が決めた事にわざわざ反論しないわよ」

「もし大学に受かったら、お前らに構ってやれる時間も今まで以上に短くなるから伝えとこうと思った。それに今までの俺ならこんな事を考えもしなかった。お前たちが俺に将来への意欲を与えてくれたんだ。ありがとう」

「な、な、何よ急に! そんなかしこまっちゃって気持ち悪いわね!」


 そう言うカオリは、頬を赤らめてそっぽを向いてしまった。


「司さんにそんな無礼な態度! カオリ、許せませんわ!」

「落ち着けヨウコ! まずはその包丁を置いて話し合え!」


 カオリの落ち度でヨウコの怒りに触れてしまう。どこからともなく包丁を取り出したヨウコをチヒロが押さえるという混沌が一瞬の内に生まれてしまった。どうしてこうなった。


「今日も賑やかですねえ」


 アリスはと言うと、一人落ち着いてお茶なんかすすってる。


「……俺、大学行ってこの家開けていいのだろうか」


 俺が激しい頭痛に襲われている事など、空気どもは知らない。

なんかサブタイが迷走している。

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