可愛い、女の子と、二人(CO2)
俺の家には少女がいる。少女は金髪のツインテールでつり目という見た目は 、あたかもライトノベルなんかに出てくるツンデレキャラの様でかなり強気そうな顔をしている。けれど、体の線の細さは触れると壊れてしまいそうな儚さを持っている。
彼女は一糸纏わぬ姿で、玄関の前で座り、俺を睨んでいる。
「オーケー、状況を整理しようか。君、名前は?」
「人に名前を聞くときは、自分から名乗れって習わなかったの?」
少女は頬を膨らませている。本人は怒っているつもりだろうが、その仕草が可愛く見えて全く恐くない。
「俺は茨木司――って何で俺が名乗っている!?」
あまりに当たり前の様に注意されたので、ノリツッコミをしてしまった。あと、目の前に裸の少女がいるのは刺激が強すぎるので適当に服を渡しておいた。
「何これ、ぶかぶかじゃない。ま、無いよりはマシだからありがたく受け取っておくわ」
少女は俺から目を逸らして服に袖を通す。照れ隠しだろうか。
「か、勘違いしないでよね。あんたみたいな変態に裸を見せたくない無いだけなんだからねっ!」
出ました、ツンデレの常套句。って、こんな漫才してたら先に進まねぇや。
「質問を変えよう。君、お家はどこ? こんな夜遅くに出かけていると親御さんが心配するよ?」
「家は特に決まっていないわ。強いて言うならば、この地球全体かしら」
少女は自慢気に、無い胸を張った。どうしよう、電波の上にまな板なんて。
「すごく馬鹿にされている気がするわ」
「き、気のせいだよ」
「そういえば、何故あんたは私の姿が見えるのかしら? 人間には肉眼では見えないはずよ」
「まるで自分が人間で無いかの様な言い方だね」
「そうよ。さっきからそう言ってるじゃない」
言ってない。断じて一言も言ってないが。
「私の名前は二酸化炭素。CO2とも呼ばれるわね。ご存知の通り空気中で四番目に多い気体よ」
……………………は?
「オウ、ジーザス。俺はどうすればいい」
この電波少女、精神病院に連れていくべきだろうか。いや、今の世の中、フリーターがロリッ子を連れて歩くなんてリスキーな事できた物じゃない。
「その顔、信じてないわね。いいわ、見せてあげる。私が二酸化炭素である決定的な証拠をね」
少女そう言うや否や、玄関のドアは閉まっているはずなのに風が巻き起こる。風がは少女を包み、巨大化させた。更には大きくなった体を分裂させて見せた。
「信じられん。彼女ができないあまり、俺は遂に脳内彼女を作ってしまったのか?」
「違うわよっ!」
「分かった。とりあえず君が本当に二酸化炭素だとしよう。何で俺は君が見える」
というか、そもそも人の形をしている時点でおかしいだろ。
「知らないわ、私が聞きたいくらいよ」
「そういえば、巨大化できるならわざわざぶかぶかに服を着る必要無いんじゃ……」
可愛いからいいけど。
「いちいちうるさいわね。小柄の方が可愛いでしょ!」
二酸化炭素なのに見た目とか気にするんだ。
「あと、私しばらくここのお世話になるわ。これも何かの縁だし」
「え、何それ困る」
「大丈夫よ、食事の必要とかないし。それとも私みたいな美少女がいるのが嫌っていうの?」
「いえ、大丈夫です。すみません」
何で俺謝ってんだろう。堂々と居候宣言している他人より頭が低い家主なんて……。
かくして、茨木司と二酸化炭素(自称)の奇妙な日常が始まった。