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無いなら作ればいいじゃない!

「司! 遊園地行きたい!」


 カオリが俺の服を引っ張った。


「えーと、お前さあ、自分が言ってる事分かってる?」

「何よ、言いたい事があるならはっきり言いなさい」

「俺に実質一人で遊園地に行けというのか、お前は」


 かくいう俺も、一人カラオケ、一人ボウリング、一人ビリヤードなど一人遊びには多少興じたものだが、不可視空気共を連れて実質一人遊園地は流石にレベル高過ぎじゃあありませんかねえ。


「それもそうね。確かに男一人で遊園地なんて私も引くわ」

「それじゃあ――」「遊園地と言ったか!? 私も行きたいぞ!」


 せっかくこの話を無かった事にできそうだったのに、チヒロの奴が聞きつけてやって来た。


「全く、あんたってば空気読めないわね」

「ん? 読むも何も、私が空気なのだが」


 怒っているカオリをよそに、チヒロは天然ボケをかます。そんな事はどうでもいいとして、チヒロが大声を出すものだから、アリスと、昼寝をしていたヨウコまでやって来てしまった。


「遊園地に行くのかい? 差し出がましい様だけどボクも付いて行っていいかな」

「身の程を知りなさい、砂利風情が。当然、司さんは私と二人っきりで行ってくださるのですよね」


 おいおい、どうしてくれるんだ。行く気満々だよこいつら。


「しょうがない。皆で客の少ない遊園地に行くか」

「え!? 私とデートじゃありませんの!?」

「ヨウコ、お前留守番な」


 どうして俺がストーカーと二人っきりで遊園地な行かなければならないのだ。


「ああ! お待ちください、司さん!」



 ***



 結局、全員で近場の客入りが少ない遊園地にやって来たのだが……。


「皆、残念だったな……」


『神奈川びっくりランドは五月十日をもちまして閉園致しました。長い間ありがとうございました』


 目の前の看板にも書いてある事だが、すでにやっていなかったらしい。無駄に金と時間を費やしてしまった。まあ、でも当たり前と言えば当たり前か。常時客がいなかったし、名前もダサいし。


「どうする皆? もう帰るか」

「司、あなたの預金って今どれくらいだっけ?」


 カオリが突然に訊ねる。


「えーと、今は五百億くらいだったかな」


 俺は最初に株で荒稼ぎした後、株取引にはまってしまい、あれから専門書を買って自力で株を動かしている。最初は失敗の連続で結構損をしたが、才能はあったらしく、今では実に五百億円という途方も無い金額の富を手にした。


「そう。……司」

「何だ?」

「遊園地……無いなら作ればいいのよ!」

「あー、オーケーオーケー。遊園地を作るのね……って、えええええ!?」

「そうとなれば、善は急げよ!」


 カオリに半ば強引に決められてしまった。



 ***



 結論を言うと、遊園地経営は成功だった。いや、まだ完成はしていないのだが、一番の問題である従業員はアリスとヨウコの合作の広告で多くの人材が集まった。資本はまだ足りていないが、いざとなれば今持ってる株を売っ払えば十分に事足りるだろう。安全確認だって、空気ズを乗せて動かしてしまえばノーリスクでできるはずだ。しかも皆がアトラクションに乗れて一石二鳥と来た。


「カオリ、お前すごいな。まだ開園まで少なく見積もっても一年はあるっていうのに、世間からの注目度が半端無いぞ」

「ふふん、もっと褒めるといいわ」

「いや、マジですげえわ。株の時といい、プロデュースの才能があるのかもな」

「そんな褒めるんじゃないわよ! 照れるでしょ!」


 どっちなんだよ。これはもうツンデレというより、理不尽デレだな。


 とりあえず、遊園地に行くという当初の目的こそ達成しなかったものの、待てば行く事ができるので、我慢をしてくれる様だ。よかったよかった。

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