カオリの日常
今回はカオリ視点です
六月上旬、今日も司はバイトらしいわ。梅雨で雨も大降りだと言うのにご苦労な事ね。
私はというと、チヒロとヨウコが昼寝をしている間に新しい事を始めようと思うわ。
それにしてもこの二人、口を開けば喧嘩しているのに同時に、しかも同じ場所で昼寝なんて仲のいい事だわ。喧嘩するほど何とやらっていうやつかしら。
「何はさておき、情報収集から始めようかしら」
私は司愛用のノートパソコンを棚から引っ張り出して、電源を入れた。
「司ってば、何でほぼ毎日使ってるのに毎回わざわざしまうのかしら。あれでいて意外と几帳面なのよね」
どうでもいい独り言を呟きながら、いつも司がする様にブラウザを開いた。
検索ボックスをクリックすると、司の見たくも無いアダルチックな検索履歴が出てきたけど、さすがにデリケートな問題だから帰ってきても知らん顔しときましょう。
「全く、いつの間にこんなの見てたのかしら。それにしてもタイピングって難しいのね」
あまりにすらすらやっていた物だから気にしてなかったけど、画面見ながらタイピングなんて高等技術に違いないわ。
「これね。……そうだ、メモ帳とって来なきゃ」
情報収集が終わったら、私はキッチンに立った。
どっかのバカ女と違って、ナイフで誰かの命を狙う訳ではないわ。
「さあ、初めての料理、始めようかしら」
作ったのはプリン。
ネットで見た限り簡単そうだったし、材料も家にあった。
勝手に食材使ったのは謝んなきゃね。
鍵を開ける音がした。ちょうど司も帰ってきたみたい。食べてもらいましょう。
司は美味しいって言ってくれたわ。
ヨウコは料理に失敗した上、司から罰を貰ったせいか、悔しそうに唇を噛んでいたわ。あ、それとも私が勝手に洗い物増やしたせいかしら。
でも私を恨むのは筋違いだと思うわ。全くのど素人が下調べもせずにミルフィーユなんて作れる訳無いじゃない。
***
「なあ、カオリ? お前、俺のパソコン使ったよな?」
「あ、あら……何の事かしらー……」
「白を切っても無駄だぞ。お前の検索履歴や閲覧履歴は残るんだからな」
「あ! いや、今のは違うの、唾にむせただけだから!」
「その反応……黒だな」
「ごめんなさーっい!」
来月、ヨウコ同様、一ヶ月掃除、洗濯、皿洗いの刑を課されたわ。




