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幕間

 化粧とは人を化かす為の道具だ。人を馬鹿にする為の道具だ。自分の醜さを隠す為の化けの皮だ。

 昨今の化粧技術の向上は目覚ましいものがある。どんなに容姿の悪い人間でも容易に美人になれる。まるで別人のように。

 そう、別人だ。化けるのは顔だけではない。人格もまた化けるのだ。化粧をする前とは違う人間になる。

 所謂ヴィジュアル系のバンドマンなどはその典型だろう。彼らは化粧をしてステージに上がっているときこそ自信のある演奏ができ、人々の憧憬の的でいられる。しかし、一度楽屋へ戻り、化粧を落とせば、何処にでもいるただの中年男に戻ってしまう。ステージ上の彼らと楽屋の彼らは別の人間なのだ。同じように、化粧をする全ての人間は偽りの自信を得ながら生きている。そしてその偽りの自信を使い、偽りの成功を収め、偽りの恍惚にとらわれていく。

 これほど卑怯で滑稽な技術があるだろうか。誰も本当のことは言わない。その癖、他人のことは知りたがる。そして相手の上に立つことを考える。

 ——正直、みっともなくて見ていられない。

「私のことが知りたければいくらでも知ればいい。知れるものなら知ってみろ」

 嫉妬と屈辱と鈍痛を噛み締め、彼女はいつもの場所へと赴く。

 誰もいなくなった部屋には新鮮な血溜まりだけが残されていた。

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