学生たちの楽園1~花車学園入学式~ 1
【2062年度前期第3期新入学生全員に通達します。このメールの到着より1週間後、4月の13日に入学式を開催いたします。同日朝6時に、メールに添付されている地図にて、指定された場所へ向かってください。服装などは自由、昼食は不要、注意する必要はないかもしれなせんが、天然結晶は常時装備しておいてください。以上】
といったような簡素な文章と礼儀的な一文、そして地図データが添付されたメールを椋、沙希、真琴、優奈の4人は見つめていた。
添付された地図についていた目印は3人そろって同じものであった。指定先は港、前とは場所が違うが、3人の予想では船での移動だろうと考えていた。先日のフードの少年1人ではどうにもならない人数だろうと思ったからだ。ものには限度というものがある。何度も移動できるほど便利なものではないだろう。
そう考えると船が効率的だ。
さすがに入学式に何かが起こるとは思わないが、気を引き締めていこうという事になった。
『確認の間』での出来事で、少し学園側を警戒しているのだ。
何の予告も行われなかったうえに、非人道的すぎる試験だったと今でも思っている。
入学式の後には一時帰宅するが、その後は向こうの寮に入寮することになるはずだ。
はずだ、というのも花車学園はあまり周りに情報を開示しない。何せ学校の位置でさえ公開されていないのだ。
これから少なくとも3年間は向こうで過ごすのだ。どういった環境かを調べるに越したことはない。
探索でもしようという事になりそのための準備も整えておくことにした。
言ってしまえばすべての情報が曖昧で不確かなのだ。
そんな学園でも世界で初めてできた、能力者を集めるための学校だ。人気が出ないわけがない。
創設(といってもまだ2年だが)以来、一向に入学志願者はやまず、それなりに合格率の低い学校でもある。
なんにせよこれから1週間何もずに過ごすわけにもいかない。
これから1週間、早朝はフールの指示により『光輪の加護』を使った修行をすることになっている。
フール曰く、
『毎回戦闘であんなにボロボロになられては、我の身も危険にさらされてしまう。』
とのことで、素早く能力のギアをあげられるようになるための特訓である。
彼は自分の、そして沙希、そして真琴の命の恩人なのだ。
彼のせいで事件に巻き込まれたという見解もできないことはないが、そもそも椋が自殺を決行しなければ、彼は椋の目の前に現れていなかったかもしれない。
そう考えると命の恩人である面の方が大きく感じられる。
それ故に彼の目的にも協力的になれるのだ。
命の危機にさらされることもあるかもしれない。それでもフールが居れば大丈夫な気がしていた。
出会って1か月ではあるが椋にとってもフールにとっても、お互いを信頼し合える関係になってきたのだ。
(なぁ、フール)
『なんだ?』
(これからもよろしく)
『ああ、もちろんだ。我々は運命共同体なのだ。死ぬときまで一緒にいてやる。』
普通の人が聞いていたらとんでも発言に聞こえるかもしれないが、椋にとっては心にしみる言葉だった。




