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22

 椋が再び目を覚ますとすでに朝と呼べる時間をとうにすぎしまっていた。

 ふと回りを見るとそこには沙希と優奈、二人の姿があった。

 「おはよう、椋。」「おはようございます、椋さん。」そんな二人の声が椋の耳に入ってきた。


 四月の柔らかい光が病室の中を仄かに暖かくしている。

 真後ろに人の気配を感じたため、すっと後ろを振り向く。

 フワッと揺れるカーテンに身を包んだ、栗色の髪の少女がこれまで見たことがないようなニコッとした笑顔で、

 「おはよう。」

 と柔らかく、長い栗色の髪を風に靡かせながらそう言ってきた。


 そんな光景を見る事ができて初めて“すべて終わった”という実感を得ることができた。

 そんな表情の椋を見た沙希が、

 「終わったね。」という。

 「終わったな。」と椋が沙希に言葉を返した。

 2人の間に笑顔がこぼれ、昨日までの出来事がすべて嘘のようだった。


 そんな会話とほぼ同時に、椋、沙希、真琴の三人の携帯が病室に鳴り響く。

 病院内では強制的にマナーモードに設定されるはずの携帯が、なぜかマナーモードを無視して鳴リ続いた。

 不思議に思って携帯を見た真琴が一瞬驚きの表情をしボソッと呟いた。

 「終わってないわよ…」

 その一言を聞いた二人があっけにとられたような顔をしているが、それを無視するように真琴が鼻をフンッとならしながら、声を張り上げた。

 「入学式よ!!」

 その叫びに不安の声音は含まれておらず、期待に心踊らせるといったような叫びだった。


 

 第一章 覚醒の形 終

 

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