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16

 

 

 「それが…どうした……」


 椋は傷ついた体で一度立ち上がり、右足の光輪でその場からすぐにはなれる。

 跳躍先は出丘から少し距離をとった、一番最初に作った大穴の中だった。

 

 地に足をつけると同時に穴の中央から出丘にいう。


 「それに…俺とオマエを一緒にするな!」

 「オマエがどんな人生を歩んできたかなんて俺にはどうだっていいことだ。けどな、それが…沙希や真琴を巻き込むって理由にはならないだろうが!」

 「何度も言わせるなよ。僕は何もしていない!やったのは僕の部下だって言ってるだろ?」


 開き直りにしか聞こえないその言葉を聞き、椋が叫ぶ。


 「違う!!お前がやってるのはただのお仲間ごっこ……いや…ただの人形ごっこだ!自分が王様にでもなったつもりか?何があろうと命令を下したのはオマエなんだ!」

 

 「黙れ…黙れ黙れ黙れ!黙れ黙れ!」

 出丘が徐々に冷静さを失っていく。感情にゆだねたその言葉には自分への否定が多く含まれているような気がした。


 やっと穴の淵まで出丘がたどり着いた。


 「君に理解されてたまるか!友人なんてものがいなかった君に!裏切られるという事の悲しさが!虚しさが!」

 

 「知らねえよ!そんなこと!」


 出丘に椋が叫んだ。

 

 「行くぞ出丘…。これが最後だ……」


 椋が静かに言った。

 この静かな空間ではそんな小さな声でも相手まではっきりと届き、

 その言葉に反応した出丘がすぐさま後ろに跳び距離を取ろうとする。

 しかしその行為に意味はない。

 「『移り気な旅人!』(カプリシャス・フール)

 屋上周辺が金色のフラッシュに包まれた。

 周りが暗いのでそれは人の眼をくらますのには十分すぎる明るさだった。 


 〇~〇~〇~〇


 辻井の叫び声とともに、目がまるでフラッシュバンのように眼が痛くなるほどの閃光が視界に飛び込んできた。

 とっさのことだったので対処ができずに目つぶしを食らってしまう。

  

 宗は必死に目を開けるが、周りはぼやけて何が何だかわからない。

 そんな中で一つだけ誰でもそういうであろうものがそこにはいた。

 しかしはっきりしていることが一つだけある。

 目の前にいる生物だ。


 空中にいたそれは頭に光の輪をつけこちらに跳んでくる。

 そう。まるで天使だ。

 

 この状況的に辻井なのだろう。

 確実に自分が狙いだと分かった。左手は使えないため、右手の蛇槌をガードに使ってしまう。

 

 「おおおおおおぉぉぉぉおおおおぉぉぉ!!」


 と辻井が頭を付きだし、こちらにそのまま、辻井の頭と蛇槌が接触する。

 先程まで、辻井の頭の上にあった光の輪は腕にあった光の輪の10倍ほどでかいものであった。


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