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 『オマエはとりあえず攻め続けた方がいい。我の予想が正しければ、『光輪の加護』を使い、殴り掛かった場合、あいつは確実に勢いよく槌矛を振り回してしまうゆっくり振ってたのでは対処が間に合わないからな。しかしそれには大した威力はないという事だ。それがわかればさほど怖くもないだろう』


 フールの言う通りであった。

 

 普通に全力でぶつかっていれば何も怖くない。

 短期決戦で決めよう。そう思い、注意をしっかりと出丘に向け、拳を構える。


 高度が高く野外にいるので、それなりに寒い。

 街の明かりに照らされた戦場で再び二人がぶつかり合った。


〇~〇~〇~〇


 「何かつかんだようだね」


 宗が、自分の真後ろにいる辻井に向かいいう。そのまま勢いよく蛇槌を辻井に向かい振るが、ぱっと手で受け止められてしまう。

 辻井が受け止めたところを見るに、ある程度はこの能力について理解しているようだ。


 蛇槌と共に振り向いた体で辻井の姿を確認すると、彼は大きく右こぶしを構えている。

 固い地面に大穴を穿つほどのパンチを生身の人間が受けられる訳がない。

 とっさに身を引こうとするが、その行為は中途半端に終わってしまった。

 

 先程蛇槌を受け止めた手が、いま宗の服。正確には蛇槌を握っている右の袖をつかまれていたようだ。

 クイッと引っ張られ、移動を阻止される。

 さすがに全身の血の気が引いた。

 辻井の右腕が何倍にも大きく見え、それがそのままこちらに向かってくる。

 

 避けきれないと感じた宗は反射的に左手でそれを受け止めてしまう。


 「ぐっ…ぁぁぁあぁああ!!」


 喉から絞り出すような叫び声を上げてしまった。全身に猛烈な振動が走った様だった。

 左手が、釘で地面に打ち付けられるかのようになり、骨の砕ける音が響いた。しかしそれだけでは終わらない。

 宗の手には先程まで辻井の腕にあった光の輪が輝いている。


「まて……やめろ…!!」


 必死に辻井に言うが、今の奴の目は止める気どころかこちらを殺す気といったようなものだった。


 「はじけろ!!」


辻井の叫びが聞こえると、左手の光の輪が一層輝き、もう一度左手が潰れるほどの衝撃が走った。

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