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覚醒の形6~黒蛇の悪魔~ 1

2062年4月5日

 

 この日ついに椋の足が完治した。

 今のままでも激しい動きはできるが、一応これからに備えて万全の態勢でいこうと考えたため、作戦決行はしばらく我慢することになった。

 堅苦しいギプスをつけていたわけではないが、なんだかすごく開放感を感じる。あの歩きにくい松葉づえともお別れである。

  

 完治の報告と作戦の最終確認のため、沙希と共に一度真琴の病室に行くことになったのだった。

 

 最近になって気がついたのだが二人はまだ真琴が何の病気で入院しているかを知らない。今思えば結構長い期間彼女はこの病院に入院しているのに不自然と思わなかったのが異常なくらいだ。

 気になってはいるが、今は出丘の襲撃作戦の方も大事である。

 この作戦が終わったら聞いてみようと思いながら、椋は沙希と共に真琴の病室に向かう。

 

 案の定今日も彼女はベッドの上で深く布団をかぶり横になっていた。

 前のように起こすための道具はないが、今日は沙希がいるので、病室に侵入し真琴をおこしてもらう。

 沙希も何となく察したようで潔く協力してくれた。

 

 しばらく扉の前で待機することになった椋。

 沙希が真琴の枕元まで近づき、真琴の右肩を揺らす。

 頭が少しだけ出ている程度だったので、布団を少しだけずらす。真琴の栗色のまっすぐな髪の毛があらわになるがこれだけしても真琴は起きなかった。

 きっと熟睡しているのだろうと思い、何度も何度も揺らす。

 そして沙希は気がついた。彼女の汗の量が以上に多いこと、そして彼女の苦しそうな呼吸に。

 最初はうなされているのかと思った。しかしそれなら起きないのはおかしい。

 「椋!ちょっと来て!」

 沙希の呼び声に、椋が急いで向かう。

 なぜか病室に異常な緊張感が走る。

 「どうしたんだ?」

 椋も真琴の顔を見てすぐに異常に気がつく。

 真琴には悪いが今は恥ずかしがっている状況ではない。

 「ごめん!真琴!」

 と椋が勢いよく掛け布団を捲り上げ、真琴の様子を見るようとする。


 「うそ…真琴!?真琴!しっかりして!」

 布団で一瞬視界がふさがれて、何も見えない間に、正面にいた沙希から聞こえてくる声。

 ただ事ではないと感じ、すぐに布団を足元に放り投げ、真琴の様子を確認する。

 そして椋は言葉が出なくなってしまった。

 

 真琴が横になっていたのは純白のベッドではなく、自らの血で紅に染まった、赤い、紅いベッドだった。

 

 

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