表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/414

 

 真琴の病室では3人が少々真剣な雰囲気に包まれていた。

 個室のためベッドが一つしかない病室の奥の方に設置された黒いテーブルセットに3人は腰を下ろしている。

 少し重たい空気の中、真琴が沙希に告げる。

 「この前の集団リンチ事件の黒幕らしき奴の正体をつかんだの。」

 真琴の発言には2つの意味で驚かされることとなった。

 一つはそんな情報をこれだけの速さで手に入れていること。

 もう一つは、小林達は操られていたのが確定し、彼らの意思であの犯行に及んだのではないという事が判明したという事だ。

 行き場のない怒りを今は沈め、真琴と優奈との話に集中する。

 「その黒幕ってのはいったいどこのどいつなの?何のために私たちを?」


 「黒幕の名前は出丘宗(デオカシュウ)沙希たちの学校の周辺を仕切ってる不良集団のリーダー的存在よ。」

 沙希にはその名前に心当たりがなかった。あまり不良たちとかかわりを持たないからかもしれないが、それでもそんな人間に恨みを買うようなまねはした記憶がない。

 真琴がそんな先の困惑したような顔を見て察したようだ。

 「やっぱり知らない人なのね?」

 と真琴の言葉に沙希は首肯する。

 「あったこともないし、恨みを買うようなまねをした記憶もない…。」

 真琴は少し困った顔をし、沙希に告げる。

 「どうやって小林達を操っていたかはも何となくわかってるの。出丘は《悪魔》の正の能力者みたいなのよ。」

 沙希はその言葉をなんとなくだが認知していた。

 「それって椋と同じっていう?」 

 沙希が真琴に疑問を飛ばし、真琴はそれを補足付きで先に返す。

 「そうよ。出丘の能力は、自分より立場が下の人間を二人完全に操ることができるって能力らしい。その操られた二人は更に自分より立場が下の人を二人出丘の支配下における、そのあとはネズミ算式ね。その立場の上下をもっとも簡略的に示すことができるのが暴力ね。屈服した時点でもうそいつは出丘の支配下に置かれるみたい。」

 真琴は結構簡単に言っているが、かなり恐ろしい能力である。

 「じゃあ、小林達はその出丘に支配されていて私たちを襲ったってこと?」

 「いや、完全にそうでもないって話よ。ネズミ算のピラミッドの下に行くほど支配力は薄くなるらしし。少しは自分の意思があったのかもしれないね。」

 この言葉に不謹慎かもしれないが沙希は少し安心していた。

 犯行に及んだ少年が完全に洗脳されていて、「実のところは犯行の意思がなかった」となれば、向こうからしたら、意味も分からず刑務所に入ることになるのだから。それではこちらもやるせない。

 

 と、ここで今まで黙っていた優奈が、ボソッとつぶやく。

 「この話って、椋さんを混ぜなくてもいいんですか?」

 沙希と真琴が一度目を合わせ、今度は優奈の方に向く。

 「「忘れてた……」」


 二人が同時にそう呟いた。 

 

 







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ