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同日同刻、七瀬沙希は同じ病院の真琴の部屋に赴いていた。
念のためというか、一応昨日会ったことを彼女に話しておこうと思ったのだ。
最近場所を知ったばかりの彼女の病室のに向かい、歩みを進めていた。
途中に設置されていた自動販売機で緑茶を2本購入し、真琴が常に病室を構えている4階のA棟に向かう。
最初は難しい子と思っていたが、話をしているといつの間にか仲良くなっていたのだ。
病院に椋に会いに行くたびに、毎回会っていたので仲良くなるのは自然の摂理という物である。
病室の前に到着するとドアの前にある黒いボタンを押す。
自動で横にスライドした扉の先には、水色のパジャマに身を包んだ少女が眠りについていた。
日頃は少し乱暴な口調の真琴だが、こうして寝顔を見ていると、同性の沙希でもつい可愛いと思ってしまう。
「お姉ちゃんの寝顔ってなんだか可愛いですよね。」
と後ろから突然人の声がしたため思わず「ひゃぁ」と間抜けな声を出してしまう。
沙希の後ろで小柄な栗色の髪の少女が、ニコッと笑いながら挨拶をしてくる。
「おはようございます、沙希さん。」
やはりいつ見ても礼儀正しいというか、その場の状況を考えて発言しているというか、決して小学生とは思えない大人っぽさだ。
「もう!優奈ちゃん脅かさないでよ!」
とその声に反応するかのように、ベッドで眠っていた真琴が目覚めてしまう。
「あれ…沙希?優奈ちゃん?何してんのこんなところで…。」
「ごめん…起こすつもりはなかったんだけど…。何って…お見舞い兼報告というか…。」
沙希が人差し指で頬を掻きながら、微妙な顔をしている。
真琴がハッと思い出したような顔をし、
「そういや試験の内容は?結果はどうなったの?」
真琴の質問に沙希は落ち着いて答える。
「試験の内容は『確認の間』ってい……」
「『確認の間ぁ!?』」
沙希がすべて言い終わる前に、真琴が顔の色を変えて叫んだ。
「ちょっと…大丈夫だったの?」
と真琴が続けた。
「真琴はあの部屋の試験のこと知ってるの?」
質問に質問で返してしまったが、真琴は知っている限りのことは話してくれた。
「あくまで噂だけの話と思ってたんだけどね…。書類審査の時に何らかの理由で引かっかった受験生をその部屋に集め、その受験生がどれくらいの実力者か調べるために、自分の分身と戦わせるっていう話。」
「うん…大体あってるね。」
真琴が話してくれた話は大体どころかすべてが合っているようなものだった。
「その試験はあの学校で1番合格率が低い試験だっていうのも聞いたことあります。10%以下らしいですよ?半分以上の人はそもそも戦うことができないとか。」
姉の話に、優奈が補足説明を加える。
優奈の発言に、、沙希が少しの動揺を覚える。
「へ…へぇ…そ、そうなんだ…。」
開始直後に自分の最大技で潰したなんて言えない…。絶対。
「で!どうだったの?」
「どうだったんですか?」
真琴が目を輝かせながら先に問う。沙希から帰ってきたのは吉報には違いなかった。
「うん。二人とも合格だよ!」




